タイトル未定『花』に寄せて
タイトル未定の『花』には二つの花があると思う。
一つは「いまだまだ名もない花」。
そしてもう一つは「その花を未来と呼ばせてほしい」と歌われる花。
タイトル未定というグループ名にあるように、グループのコンセプトは「何者かになろうとしなくていい。何者でもない今を大切に。」だから、「いまだまだ名もない花」の「花」とはグループやメンバーそれぞれと響きあうもの。
そして、この曲はタイトルを「花」としているから、もう一つの花もはじめの花と重なり合うように思うけれど、この二つ目の花をどう受け取るかによって、この曲は違った顔を見せるように思うし、その受け止め方もこれからこの曲が育っていくなかで変わっていくのかも知れない。
『花』という曲は、タイトル未定のデビュー曲『踏切』と重なるところが多いけれど、『踏切』では「未来に名前はまだない」と歌われている。
それが『花』では「その花を未来と呼ばせてほしい」と歌われていて、「花」という名前が未来に寄託されている。
この違いは、「君と行こう」にあると思う。
『踏切』では、その歌い手はまだ一人だ。迷いもがくそのなかで、自分を探し続けているけれど、まだ名前のない未来に向かって今から会いに行こうとしている。タイトル未定のデビューライブが無観客のネットライブであったことは象徴的にも思える。
『花』でも、まだ「君」には出会えていないのかもしれない(「いつか君に届くように」「待っていてね 君に会いに行くから」)。けれど、「君」とともに行くから、その花が咲かせられることがはっきりとわかっている。だから「君と行こう」なのだ。
まだ出会えていないかもしれないと書いたけれど、このように歌えるようになったのは、この3年間に出会えた人たち(いまは遠くにいる人も含めて)がいるからだと思う。だから彼女たちが確信を持って、その花を未来と呼べると歌えるようになったのだろう。
未来に名前はまだないし、これからも「いつか君に届くように」と歌い続けていくのだろうけれど、『花』のMVでのように、集まった仲間と一緒ならきっとそこまで行ける。
そう歌ってくれるのはとてもうれしいし、その花(どんな花かは想像つかないけれど)をいつか見られることを楽しみにしている。
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