【自由に人生を生きたくて】黄金の羽根は拾えたのか? −オカネの奴隷から開放された人々−③
私「社長!終わる時間に合わせて社用車で待機していますよ!」
社長「(ニヤリ)青っち!ナイスじゃんね〜。」
しかし、ちょっと私には不安な事がありました。
社用車はシャコタン・フルスモークのトヨタ・ソアラZ20型ツインターボだったのです。(完全に社長の趣味です笑)
私「あ、けどあのソアラで行ったら逆に失礼ですかね?」
社長「あの車は青っちの私物ってことにすれば話盛り上がるから〜」
えええええ?
そんなアホな……話で乗り切れるの……か。
そしていよいよ接待当日
プー太郎だった私には有り余るほどの時間がありました。
昼から赤坂を下見し、取引先役員の自宅付近までのルートも予習しました。
社長はプログラムや提案力という武器がある。
私には何もない。
けど、運転が好きという部分で役に立てる筈だ。
そんな事を考えながら路駐して携帯が鳴るのを待つ。
夜10時すぎ、携帯にメールが来ました!
「今から下降りるから横付けして待ってて!」
心臓の鼓動が高鳴ります。
程なくして、見慣れたメッシュのアイパーが降りてきました。
「社長だ!」
私「お疲れ様です!」
社長「紹介しますよ。ウチの社員の青野です。たまたま今日は休みでこのへんに居たみたいなので、よかったら送ります。」
私「(え?社員って……アルバイトなんですけど)」
取引先「おお!2.0GTじゃないか!懐かしいなぁ〜。良いの?送ってもらって悪いねぇ」
マジかよ…。こんなヤンキーみたいなソアラで良いんだ汗
取引先「んじゃよろしく!ガチャ」
私「は、はい!失礼します!」
社長「青っち、よろしくね〜」
取引先「君、自分の車なのに失礼しますはないだろ。ハハッ」
良かった〜。気さくな人で……。
って、この人も派手だなぁ〜。金のロレックスに金のネックレスだよ驚
取引先「青野くん、って言ったっけ?少しドライブしないか?霞が関から上にあがってくれ。外回りだ」
私「は、はい!」(あれ逆方向だぞ)
取引先「私は昔は車が好きでねぇ。よく走ったもんだったよ。首都高を」
私「C1本気組ですか?」
取引先「それは今の言葉だろ。でも、それに近い言葉で呼ばれていたな〜。はははは」
私と取引先の役員を載せた、どシャコのソアラは首都高に上がります。
マフラーがうるさいので車内での会話は難しいのですが、失礼があってはならない!と相手の言葉に集中です。もちろん、ステアリングにも集中。
取引先「霞のジャンプって知ってるかね?」
私「はい、ゲームでジャンプした事あります。」
首都高C1外回りにおいて、3号渋谷線との合流した後、霞が関の出口トンネル前に大きく落ちるように下る箇所がある。そこにスピードに乗って進入すると、車がジャンプするように飛ぶのだ。
もうすぐ飯倉……。
霞のジャンプまでもうすぐだ。やれって事なのか?
よし!
私は意を決したようにアクセルを踏み込みます。
この当時の車にありがちな、少しのターボラグの後、ソアラは猛然と加速。
谷町を右にカーブし、いよいよ!
ドン!
軽い衝撃音
ジャンプとは言えない程度のジャンプでした。
だって、ビビってアクセル全開には出来なかったですもん。
ゲームじゃないんだから。
取引先「あっはっは!愉快だ。こんな感覚だったなぁ〜。」
取引先「実に楽しかったよ。もう1周して目黒方面に曲がってくれ」
その後の車内は終始和やかでした。
私も取引先もF1が好きだったので、アイルトン・セナの話で盛り上がりました。無事に送り届ける事に成功したのです。
翌日、アルバイトで出社すると
社長「青っち!でかした!契約大成功じゃんね〜」
どうやら、取引先との商談は成立したようです。
2年にも及ぶ大規模プロジェクトだったそうで、プログラマも大幅増員しないと間に合わないほどだとか。
私「社長、あの本ありがとうございました。学校と違って、会社では何をすれば良いのかよく分かりましたよ。」
社長「はぁ?あの本では霞のジャンプをしろなんて書いてないから〜。青っち解釈を間違えているじゃんね〜。読書感想分書いたら〜?」
私の今回の行動は、たしかに「黄金の羽根の拾い方」に書いてある事とは根本的に違う。
しかし、この時、社会と個人はどのようにリンクされるのか?という感覚を手触り感を持って実感する事ができた。
社長「あの取引先、青っちを気に入ってさ、シニアSEとして青っちを指名してきたんだよ。青っち社員になって仕切ってきて!」
えええええ?それは困る。
本当に光栄な話でしたが辞退しないと。税理士試験の勉強を始めたところで、会計事務所へのインターンも決まった局面だったので。
黄金の羽根
抽象的な例えですが、私にとって人生訓のような体験でした。
学歴とか生い立ちとか一切関係ない。
いつでも目の前に黄金の羽根は落ちている。
知的に人生を設計するのは自分自身なんだ!
社長「青っち、K内、お祝いにキャバクラ行くぞ〜」
さて困った
どうやって知的に、インターンが決まった事を切り出そうか。
黄金の羽根……落ちてねぇかなぁ……。
終わり
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