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高校生クイズに出た話③学生証がない

20年前(!)に、高校生クイズに出た話を書き連ねている。よければ①から順にお読みください。

予選の前日に応募していたことを思い出し、
追試が重なっていた問題を見事クリアした私たちだったが、まだ問題は山積みだった。

今治までどうやって行く??と、心配するA子をよそにアキエとS子の心は(相談することもなく)決まっていた。

「ヒッチハイクでいいじゃん」

この頃私たちの間ではヒッチハイクが流行ってて(レジェンド猿岩石)
ヒッチハイクで松山まで、なんてのは日常茶飯事。
アキエとS子は福岡のスペースワールドへ行ったり、岡山の鷲羽山ハイランドまで行ったこともあった。

今考えると無謀でトラブルに巻き込まれる可能性も
存分にあったと思うけど、あの頃は楽しんでやってた。
もちろん両親には内緒でやってたので
それなりにリスクがあることもわかってるつもりだったのが逆ににこわい。
それでも、そこで生まれる出会いにはとても恵まれていたので、若かりし頃のいい思い出だ。
お父さんお母さんごめんなさい。

「ヒッチでいこや♬」
と、電車でいこや♬並のノリで言うアキエとS子。
根が真面目なA子はちょっと引き気味だったけど、「おもしろそう!」ってのってきた。
さすがA子。その順応力ステキ。

・ヒッチで誰もつかまらんかったらどうするん?
・間に合わんかったらどうするん?
なんてことは考えないのが私たちだ。

とりあえず足も決まったし(いや、決まってないけど)
そのままS子宅で準備物をチェックする。
紙には
ー同封している出場整理券と学生証を持参してくださいー
と書かれていた。

特になんも要らんね~!
なんて笑っていたのもつかの間。

「あ・・・!わたし学生証持ってない。」

そうつぶやいたのは・・・

私(アキエ)だった。

ここにきて痛恨のミス!!
ずっっと前に財布を落としたときになくしたのはわかってる。
でも、学生証がなくても生活に困らないので、
ずっとほったらかしていたのだ。

時間があればなんとななるものの、なんせ予選は明日。
そう、A・SHI・TA!

やばいよやばいよ。
ここまできてこんなことで行けないとか、ぜってーヤダ!

と、アキエ、頭をフル回転。

ポクポクポク…チーン!

「よし、学生証をつくろう」

決意を固める。

S子の学生証をたよりに偽造開始。

詳しくは覚えてないけど試行錯誤の末、
結構いい感じのものが完成。
ただ、みんなのと一緒に提出するってなるとやっぱ偽造感が否めない。
一枚ならニセモノだってばれなくても、
本物と並ぶとやはりニセモノはニセモノなのだ。
だからかわいい子の隣には並びたくないのだ。
そうだそうだ!

・・・

そもそも本物はプラスチックで加工されてるし。
さすがにそんなラミネート技術は持ち合わせていない。

アキエ、頭をフル回転。

ポクポクポク…チーン!!

すべてを解決する魔法を思いついたのだ。
左端に赤ペンで『仮』という文字を付け加えてみる。

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なんということでしょう。
(劇的ビフォーアフター風にお願いします)
左上にあしらわれた『仮』という一文字が、違和感ある学生証を大変身させました。
まるでこちらに語り掛けてくるかのようです。
「僕はニセモノなんかじゃないんですよー。
 みんなと少し違うのは仮発行だからなんですよー。」
という語りが今にも聞こえてきそうです。
**********************

匠もびっくりの
すべての違和感を解決させてくれる一文字である。

あとは写真さえ貼れば完璧という
偽の仮の学生証(ややこしい!)を枕元に置き、
私たちは安心して眠りについたのであった。

(トラブルもまだまだ)つづく

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