ダメな時はケープハイラックス_博論日記(2023/07/15)
2024年2月1日予定の口頭試問まで、あと200日。
京都は祇園祭の宵々山を迎えた。くもり。朝から蒸し暑い。長刀鉾を少し眺めてからバイト先に向かう。疫病邪悪を祓うという大長刀が、すっくりと天上を指している。早朝は人が少ないので、落ち着いて写真を撮ることができる。
今年の祇園祭はコロナが五類感染症に移行したこと、さらには宵々山・宵山・山鉾巡行が土日祝に重なったことから、人出がはなはだ多そうだ。
宵々々山ならばまだ、と思い、昨晩少し散歩をしてきた。
山や鉾の提灯に灯りがともり、頭上から囃子方の人々の熱を入れたお囃子が響く。歩みを進めるごとに、お囃子の音色が近くなり遠くなり、街を包んでいた。行き交う人もどこか華やいだ表情をしている。お祭りだ。
本格的な露店は翌日の宵々山からとはいえ、もうすでに山町鉾町にあるお店が軒先でビールやかき氷、着物や陶器などの店頭販売を始めていて、すでにとても賑やかだった。
お祭りの空気にくるまれるのは久しぶりで、調子はいまいちなのだが、それでも、浮き立つ気持ちになった。
*
今週の振り返りをすると、はっきり言って状況は芳しくない。同じく調子のよくなかった先週は定例ミーティングに出れていたのに対し、今週はその最低限のラインすら守れなかった。どうしても起きることができず、眠り続けてしまった。
やってしまったという気持ちで落ち着かないので、過食もそれに伴う浪費も強いし、それに対してさらに気持ちが滅入り、悪循環で作業がほとんど進んでいない。
今日で寝込まない記録42日目、いよいよよくない兆候だ。そもそも今年度上半期、1ヶ月半を超えて寝込まず過ごせたことがまだない。寝込む時期がきたということか。
ここをなんとか、超えたい。
まず、散歩だ。
*
バイト終わり、大学に向かい必要書類をカバンに詰め込み(今日は大学で作業できるメンタルではなくこれが精一杯)、普段乗らない系統のバスに乗って適当なバス停で降りた。
知っている道とまだ歩いたことのない道とをジグザグと縫うように歩いた。朝、どんよりとした曇だったのに、ぶ厚い雲はどこかに消えていた。約1時間歩いていると、汗はだらだら、ローソンで買ったメガサイズのカフェラテの氷はすっかり溶け切り、半袖からむき出しの腕がじりじりと焼かれるのを感じた。
昼時になり、5月に一度訪れたことのある喫茶店に着地し、涼を取った。健やかな食欲が生まれたので、オムライスも食べた。
*
さて、今回のnoteタイトルのケープハイラックスである。
イワダヌキ目イワダヌキ科。一見、ネズミやウサギの仲間のように思えるけれど、分類的にはゾウに近い不思議な生き物。アフリカ中・南部に生息する。
私はケープハイラックスがとても好きだ。いくつも好きなところがあるが、一番好きなところは、いつ動物園を訪れてもじっとしていて、あまり動かないところだ。背中にうらうらと日差しを浴びつつ、一点を見据えて、微動だにしないところがとてもよい。
ケープハイラックスがあまり動かないのには理由がある。哺乳類、つまり恒温動物なのだが、体温調節機能があまり発達していないのだ。寒い時はひなたぼっこをしたり群れで体を寄せ合うことによって体温を上げている。暑い時は日陰でじっとして体温の上昇を抑えている。また、比較的短時間に活動時間をおさえることで、体温を維持しているそうだ。
ケープハイラックスの好きなところで言うと平爪の話もあるのだが、そこを語り始めるとキリがないので控える。
とにかく私はあまり環境に適応できていない(ように見える)けれど、それがなんじゃいと生きている彼らを至極気に入っている。
*
「さあ、これからどうするか。先週と比較してTo Doにほぼ変化が見られない。進捗がなかったからだ。これをなんとかせねば」というnoteを書きたくなくて、喫茶店でオムライスを頬張りながらぼんやりしていた時、なぜかケープハイラックスのことが思い浮かんだ。
調子のコントロールが下手なのはもともとのこと。ここで罪悪感に苛まれるのも違うし、寝込んで当然と諦めてしまうのも違う気がする。
活動できる時間は短時間だけど、体温を維持できればそれでよし。晴耕雨読というわけではないが、寒ければひなたぼっこして、暑ければ日陰で休めばよい。できることをできる範囲でする。それが今の私のすべてなのだから、ケープハイラックスのように淡々としていよう。
ざわざわとした気持ちに支配される前に、ケープハイラックスを召喚すべし。さあ、来週もやってみよう。
<To Do>
・システマティック・レビュー:一次チェック作業終了 / 二次チェック作業用フォーマット作成
・投稿論文:1本目(英文校閲後修正)
・投稿論文:2本目(共著者コメント反映)
・博論本文:執筆(現状:43,175字)
・分担書籍原稿:8,380字
!注意! 先生からは投稿論文を最優先にという指示が出ている。