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江戸おいらん髪型・年代別一覧

江戸吉原の髪型を一覧化する。
例えば「おいらん」といえば「伊達兵庫」だが、時代によって形状が微妙にことなる。

青楼絵抄年中行事 傾城道中双録 近世人物誌


また、簪の本数や挿し方も異なる。

簪の本数の変遷


一覧表

パブリックドメインで集められる浮世絵を元に一覧化を試みた。
出典含め、以下、時代別に列挙する。



〜文化(1818)

髷:高く盛り上がった丸い髷が多い。(島田髷)
鬢:横に大きく広がっている。(燈籠鬢)(形が崩れないように芯を入れているはず)
簪:装飾がない。シンプルな耳かき型。

大見世

中見世

出典
まつはや内 松しま 東京都立図書館
高名美人六家撰 扇屋花扇 東京国立博物館
青楼名君花合 丁字屋内 太田記念美術館


1804年時点の髷の形

意外と横兵庫の肖像がない。
上から順にランクが高い遊女

喜多川歌麿 国立国会図書館

「昼三」以上が横兵庫を結っている?
意外と最高位の「1両1分」の遊女は横兵庫を結わなかったのかも?
単に歌麿の趣味でなかっただけかもしれないが。

他は島田髷ではなく、勝山髷に見える。



〜文政(1830)

簪の先に装飾が付き出した。櫛を2枚使っている。
伊達兵庫が花扇(ほぼ唯一の1両1分の遊女)の肖像に登場。
簪は基本的に下から上へ挿している。上から下に挿す場合も1本が限度。

大見世

中見世

出典:
傾城道中双録 国立国会図書館
傾城泉流合 玉屋内小式部 東京都立図書館
文政8 [1825]吉原細見 国立国会図書館


特徴

英泉の絵柄かもしれないが、元結が上に張り出した?絵の流行りは、頬の肉がなくなった。

鬢は大きいが、やや丸みが出た?

伊達兵庫の構造



〜天保(1844)

上方向の簪が2本に増えた。
また、下げ髪の絵が見られる。

大見世

中見世

出典
青楼美人合 扇屋内 花扇 東京都立図書館
玉屋内若紫 国立国会図書館
十二支全盛松の粧 東京都立図書館
新吉原江戸町一丁目倉田屋内、代々衣 東京都立図書館



〜幕末(1868)

髷の根本が布で覆われている
鼈甲簪・玉簪、種類問わず「挿せるだけ挿してみよう」という具合。

大見世

中見世

出典
新吉原江戸町壱丁目玉屋内濃紫 国立国会図書館
新吉原江戸町一丁目平和泉屋内泉山 東京都立図書館
新吉原角町中万字屋内中川 東京都立図書館
新吉原江戸町二丁目稲本屋内小稲 国立国会図書館


簪の量と反比例して、よびだしの値段は徐々に下がったようだ。



明治


伊達兵庫の形状

伊達兵庫の形状が丸くなっている。

「近世人物誌」「やまと新聞附録」「第十」「錦織剛清」 1887 月岡芳年

出典



簪の本数

1872年

  • 左から挿した簪:6本

  • 右から挿した簪:6本

  • 上から挿した簪:6本



参考資料


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