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プレイリスト_音楽_202410

本稿は、近場に「作業用bgm何にしてる?」以外の音楽話のできる知人がいない筆者が、最近聴いている曲とそれにまつわるあれこれを書いて発散するための記事である。



マキシマム ザ ホルモン 『シミ feat.新しい学校のリーダーズ』(MV Special Ver.)

全てががっちり噛み合って最強の「シミ」が爆誕してしまった。

AGはすっかり実力者として認められ音楽界に定着、SUZUKAのベテラン感も相まって早くも中堅の貫禄さえ見える。

音楽好きたちからの信頼を獲得したAGと老舗ホルモンのコラボ、タイミングも選曲も最高だ。椎名林檎とのコラボでもSUZUKAとの曲が一番好きだったが、私たぶんSUZUKAの声と歌い方めっちゃ好きなんだと思う。

そして歌のみならず映像もめちゃくちゃいい。
VFXが多用されているが、CGに興醒めすることがないし非常に美しい。
かっこいいなあ〜〜〜〜〜!!


脱線

私がホルモンを認識した頃はアルバムでいえば3枚目の「ロッキンポ殺し」までがすでにリリースされていて、当時は「包丁・ハサミ・カッター・ナイフ・ドス・キリ」が特に好きだった。

程なくして4枚目のアルバムである「ぶっ生き返す」がリリースされ「シミ」もそこに含まれていたが、アルバムを出すごとにどんどん洗練されて垢抜けていく様を見せながらも決して綺麗になりきらないかっこよさがホルモンたる所以である。

高校の頃の男友達はホルモン好きが多い(ていうかその人たちに教えてもらった)のでその辺とカラオケに行くと未だにホルモン祭りになったりするが、私も私で「maximum the hormone Ⅱ~これからの麺カタコッテリの話をしよう~」のナヲ姉パートを振り付けごと完コピしている😂

亮君パートが得意な人、ダイスケはんパートが得意な人と上手い具合に人員が揃っているのでいつも非常に盛り上がる。

しかし社会人になってからカラオケに行って「誰かしらいけんだろ」と当たり前のようにホルモンを入れたら「ホルモン歌えるやつなんか普通いないよ?!」みたいなことを突っ込まれたことがあるので、高校の友人たちは変わり者揃いだったようだ。

高校メンツとのカラオケ超楽しい。



加藤ミリヤ×椎名林檎『愛楽』

「愛楽」と書いて「あいぎょう」と読む。
2024年10月25日の公開以来1曲リピートにして聴き続けている曲だ。
めちゃくちゃいい。

日本語詩を英語のように聞こえるよう歌うという点でミリヤは前述のホルモンと共通しているが、ミリヤはシャレオツ度合いが全然違う笑

さらにこの曲ではまさかの椎名林檎まで参戦していて、ミリヤが椎名林檎の「本能」をカバーした縁か!?なんて思っていたが、どうやら二人の通っているジムが同じなのだそうだ。

歌詞はミリヤらしいシリアスを存分に纏っているものの、PVでは美しい筋トレ姿を延々見せつけるというまるで椎名林檎みたいな世界観の映像が採用されている。

曲自体も好きでひたすらリピートしているが、このPVの外しあってこそここまで好感を持っているような気がした。


椎名林檎曲へのオマージュ?

廻るレコード 運命のフレーズ
類ない存在に触れ
あたしを永遠にして皆

愛楽/加藤ミリヤ×椎名林檎

上記は愛楽の歌い出しの歌詞である。
これを見て私は、東京事変「能動的三分間」を思い出した。

I'm your record, I keep spinning round
(我々は使命を果たしたと思う)
But now my groove is running down
(しかし始まったものは終わる)
Don't look back brother get it on
(決して振り返ってはいけない)
That first bite is but a moment away
(任務を全うせよ)
When I'm gone, take your generator, shock!
(我々が死んだら電源を入れて)
Raise the dead on your turntable
(君の再生装置で蘇らせてくれ)
Up, up and away!
(さらばだ!)

能動的三分間/東京事変

これは「能動的三分間」の終盤の歌詞である。

冒頭で「I'm your record」といい、「我々が死んだら電源を入れて、君の再生装置で蘇らせてくれ」といっている。

これは「肉体的な死あるいは解散・引退などによって"活動"が停止しても、自分たちの音楽が誰かの耳に届く限り我々は何度でも蘇る」という意味だろう。

それを受けての「廻るレコード(中略)あたしを永遠にして皆」であるならば、「永遠にして」は「再生装置で蘇らせてくれ」ということだ。

「我々が死んだら電源を入れて、君の再生装置で蘇らせてくれ」
という椎名林檎と、
「あたしを永遠にして皆」
という加藤ミリヤ。

異音同義の表現であって、かつそれぞれのアーティスト性の違いを明確に提示しているのはさすがというほかない。


再び脱線

私の中で椎名林檎はGreatest of all timeの座を一生譲ることがないくらい好きなアーティストだが、加藤ミリヤも「世代」なので思い出深い。

青春真っ只中に「ディアロンリーガール」「SAYONARAベイベー」「Love Forever」がリリースされ、あの頃は仲間内でカラオケに行くと女子は猫も杓子もミリヤを歌っていた。

ディアロンリーガールは歌詞やPVがまさに自分たちの思いや生活そのままを切り取ったようであったし、歌詞にたくさん出てくる名前の中にケータイ小説「Deep Love」の登場人物「アユ」「レイナ」が含まれているという同世代の共通言語感や、自分と同じ名前を見つけることができる嬉しさなども相まって、当時のJKに思いきり刺さっていたのだと思う。

一方でミリヤのラブソングはつらい恋愛をしているイメージが強く、正直共感できない曲が多かった。

幸い私の元彼たちは誠実な人ばかりだったと思うし、私自身が不誠実な恋人や思わせぶりな男性に執着するような気質ではないので「どう考えても浮気してるとしか思えない彼氏/都合よく扱って大切にしてくれない男に縛られ離れられないままずるずる関係を続ける女」になったことがない。

そもそもラブソング全般、恋愛もの全般にあまり共感できないし楽しめないという悲しい生き物ではあるが、それでもミリヤの声や歌い方が好きだったりトラックが良かったりするので今でもいくつかの曲はよく聴いている。

SAYONARAベイベーもそのうちの1曲だが、ちょっとメンヘラ気味の彼氏とカラオケに行った際に歌っていたらいつの間にか彼の方がハマっていたので、ミリヤは女子だけでなく男子にも刺さるようだ。



梅田サイファー - Rodeo13 (Prod. Chaki Zulu)

レゲトンをはじめとした3-3-2のリズムが大好きな私にとっては好きにならざるを得ない曲だった。

テークエムのいい意味で日本っぽさのないスペイン語みたいな歌唱が当然のようにレゲトン的なサウンドにマッチしていてめちゃくちゃ聞き心地がいい。

R-指定の1回目のバースを聞いて「今回はおとなしめだね」とか思っていたのだが、すっかり油断したところでぶちかまされた2回目のバースに度肝を抜かれた人は多いんじゃないだろうか。

呼吸音まで楽器的に活用する歌唱は今や珍しくないが、とはいえしっかり効果的で気持ちのいいタイミングで使われているし、ラップ自体もはや滑舌がいいとか呂律が回るとかそんなレベルの話ではない。

DJ松永がレコーディング時のR-指定について「あれだけ複雑なラップをしているのにRの声の波形がBPMの基準から全くずれない」と言っていたことがあったように記憶しているが、なんか……もう……すごっ



CHEHON 『韻波句徒』

中学でEDMにどハマりし椎名林檎にどハマりしDaddy Yankee経由でレゲトンにどハマりしていた流れでレゲエにもしっかりハマったのに、なぜかジャパレゲは通らずに来てしまった。

それゆえ有名な曲もほぼ知らないのだが、これは最近教えてもらってかっこよかったのでプレイリストに加えている。

自分の好みとして「治安の悪いサウンドで濁声でがなるように歌うレゲエ」が好きな自覚があり、それならばジャパレゲも好きな曲はあるはずだが、どこから掘っていったらいいか全然わからん。



m-flo loves Maya / "HyperNova"

m-floも中学高校の頃によく耳にしたイメージがあるが、2024年も相変わらず絶好調なようである。

Panty&Stocking with GarterbeltのOSTを☆Taku Takahashiが担当していたために派生して細々とウォッチしていたが、Maya、素敵すぎた。

歌声の美しさも素敵、PVでもビジュアルも素敵。
夜ご近所を徘徊する際に聴いているが、すごく気分がいい。



The Beatles - Eleanor Rigby (From "Yellow Submarine")

ビートルズの曲は超有名な曲こそいくつか知っているが、バンド自体を好んで聴くことはない。

それでもなぜかこの曲は好きで、定期的にプレイリストに入れて聴いている。

歌詞も和訳してみたことはないし、英詞自体もテキストで見たことはない。
ところどころ聞き取れてしまう単語はあるが、頑張って聞き取ろうとはしたくない。

「何を言っているか分からないけどなんかかっこいい」という古き良き洋楽の楽しみ方をしている曲である。



The Emptiness Machine - Linkin Park

one and onlyのボーカリストChester Benningtonの逝去から7年、もうLPの新曲は望めないし、マイクはおそらくプロデューサとしてもアーティストとしてもLPに留まらずにやっていけるだろうし、我々はチェスターが遺した数々の名曲をデジタル上で飽きることなく再生させながらその不在を悲しむことしかできないのだと思っていた。

そんな2024年9月、なんと新ボーカルにEmily Armstrong、新ドラムにColin Brittainを迎えてLPが再始動。

マイクがプロデュースしているおかげもあって曲はしっかりLPの雰囲気を引き継ぎつつ、満を持してのエミリーの歌唱。

結論からいえば、思った以上に抵抗なく受け入れることができ、ハモリに移行したマイクの声との相性も非常によくむしろかなり好印象だった。

そりゃあマイクやらメンバーやらが認めたのだからいいに決まっている。

コリンのことは比較的すんなり受け入れられるファンが多い反面、エミリーは嫌が応でもチェスターと比べられてしまうだろうが、エミリーの歌唱は十分に魅力的だ。

再始動LIVEでは新曲のThe Emptiness MachineだけでなくLPのレジェンダリーナンバーも(原曲よりもキーを上げたりしつつ)披露していたが、チェスターの真似にならず、されど曲の雰囲気を壊さずに歌いきっていたのは本当にすごいと思う。


余談

残念ながらチェスターの遺族が新ボーカルを迎えたLPの再始動に不満らしいとの記事が出ているが、

If I could tell the band members anything it’s that I feel betrayed. You made a promise to me that you would let us know and you didn’t. If you were going to do this, this is the wrong way to do it. Don’t put her out there to sing Chester’s songs and then act like this was always the way it should have been. It’s like making him go away, erasing the past. You don’t have to worry about going through the old songs and finding new ones, new Chester songs to put out. Now you can just put out new songs. But don’t bother to put out Chester’s songs with Emily singing them.

Rolling Stone: Chester Bennington’s Mom: ‘I Feel Betrayed’ by Linkin Park

部外者の立場から好き勝手言わせてもらえば、この内容が真実であれ歪められたものであれ、親の立場、配偶者の立場、子供の立場からLPに口を出す権利があるとは到底思えない。

私が自分の両親や夫や子供の会社の事業に「私の大切な人が作ったプロダクトに別の人間を介入させるな!他の誰かに代わりをさせるな!」と口を出しているのと同じだ。

素晴らしいボーカリストはチェスターで、LPの一員なのはチェスターで、チェスターがファンやメンバーから愛されているのであって、その家族にまでバンドの方針に対する発言権があるわけではない。

それに、"It’s like making him go away, erasing the past."だなんて、まったく、チェスターを見くびってもらっちゃ困る。

遺族は「チェスターがボーカルを務めた曲をエミリーに上書きされる」のが許せないようだが、エミリーがチェスターの曲を歌っても、それをきっかけにチェスターや彼の歌声を忘れるファンなんかこの世にもあの世にもいない。一人もいない。

チェスターの独特な発声、美しいシャウト、イノセントな声、繊細さ、危うさ、身を削るようなパフォーマンス。

何百回、何千回とLPの曲に触れてきたファンたちはエミリーの些細な違いにチェスターを思い出し、エミリーがどんなに素晴らしく昔の歌を歌い上げようとも心のどこかにはチェスターがチラつくことになる。

過去の曲を披露することはむしろチェスターの存在をありありと思い出させる行為だ。

もし、遺族がいう"making him go away"の一環として、仮に、万が一、チェスターの音源が公式から消される日でも来ようものなら、世界中のファンがとんでもなく猛抗議して絶対に撤回させるに決まっているのだから安心してほしい。

エミリーがどんなに素晴らしいボーカリストだろうとチェスターの代わりにはならないし、LPのメンバーも「チェスターの代わり」をしてほしくてエミリーを入れたわけではない。

エミリーにはエミリーの魅力があって、だからこその"新生"LPだ。

LPの動画についているコメントの中にはとんでもない言葉でエミリーや新生LPをこき下ろしているもの(英語)があるが、チェスターを懐かしみ惜しむ気持ちこそ共感するものの、そのチェスターの仲間たちが前に進もうとしている姿に対してひどい言葉を投げつけている自覚くらいは持ってほしい。

私は新生LPの活動を楽しみにしているけれど、これから先もLive in Texasを繰り返し観るし、Hybrid Theory、Meteora、Minutes to Midnight、A Thousand Suns、Living Things、Collision Courseを聴き続ける。

それくらいチェスターという人の存在は大きいのだから、新しいボーカリストに対する頭ごなしの文句なんか言わずに見守ってほしいな、なんて思ったりした。


さらに余談

The Emptiness Machineお披露目のために舞台に上がったエミリーの顔を見た私の脳裏に浮かんだのは「ベデリア!?」だった。

泣く子も黙る傑作ドラマ「HANNIBAL」に登場する精神科医ベデリア・デュ・モーリア博士(演:ジリアン・アンダーソン)に似ていると思ったのだが、冷静になってから画像を見比べてみるとそんなに似ていない。

系統は似ていると思うが、エミリーにベデリアを見たのは「欧米人から見るとアジア人の顔の区別がつかない」みたいなレベルの話だと思う。
悔しい。

それにしてもエミリーはすごい。

仮に私がボーカリストとしてエミリーと同じ才能を持っていたとして、とてもじゃないけどチェスターと比較されるようなポジションに就こうなんて思えない。

それなのにエミリーは堂々とした振る舞いで、謙遜や引け目を微塵も感じさせないパフォーマンスをしていた。マジで積んでいるメンタルの仕様が違いすぎる。