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2021年8月13日


2019年6月1日
譲り受けた愛とかいて『譲愛(ゆずる)』が
私の家の家族になった


あんなにダックスフンドが苦手と言っていた妹が
「この子がいい!」と愛護センターから貰ってきた




捨てられていた犬が集まった愛護センターは山奥にある

施設はダンボールで1匹ずつ区切られていて夏は暑そうで冬は寒そうな場所

犬が10匹、猫が5匹くらいいた

話を聞くと何匹かは既に家族が決まっていた
しかし
白内障の犬だけ、まだ家族が決まってなかった

それがゆずるだ


捨てられた犬だからか人間を怖がっていた様子でこちらを見る

2日間ワン!とも吠えず
前の飼い主に声帯を壊されたのかと心配していたが

ご飯をあげたらすぐ食べ終わって
しっぽを振って

何日かしたら慣れたのか
目覚まし時計のように朝6時に毎日吠えていた


ある日あまりにも口が臭くて
病院に連れていった


歯石が溜まったせいだと医師に伝えられ

2ヶ月後には手術をした

これが1回目の手術


それでも匂いは払拭されず、2020年の終わりごろ
もう一度病院に行ったら口に癌があると告げられた

今年の3月に2度目の手術

老犬の手術は1回1回リスクが高い

麻酔をしただけで死ぬかもしれない恐れがある


それを覚悟しての手術だった


手術は成功に終わったものの
様態は全然良くならない


4月からは口から血を吐き出す毎日

朝起きると白い床のリビングが赤く染っている

抱っこをすれば服に血がつき
匂いも耐え難いものだった

口も腫れ上がり、歯も全部抜けた


医師からはご飯が食べられるだけで奇跡と言われ
4ヶ月が経った

2021年8月10日

ついにご飯を残すように

13日の朝4時
「ゆずるが亡くなった」

その電話で起きた

(その時私は新潟の家にいて、私以外の家族と犬は東京の家に)

急いで新幹線で東京の家に戻る

やせ細ったゆずるは固まっていた


過去に13年間共に暮らした愛犬が亡くなった時も
私は死に目に会えなかった

家に戻ってから亡くなってる姿を見る

慌てて家を出たあの時
最後のバイバイを言えたかな


前の犬の記憶もフラッシュバックして
涙が止まらない


遺骨を燃やしたあとに分かったことだが
ゆずるの口の癌は胃と腸にも転移していた

身体に3箇所もガンを抱えていたこと

毎日血を吐き出すほど辛かったはずなのに

いつも名前を呼ぶとしっぽを振ってくれた


「もう寝るね」と妹とママが夜中の2時に
頭を撫でた時も血を吐きながらしっぽを振ってくれたらしい

安心したのかな。



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『同情なしに僕が死んで悲しむ人は居ますか?』
と言っていた僕へ

(同情と捉えられるかもしれないから)
悲しむよ、なんて言えなかったけど

絶対に取り残された家族は悲しむ

それは経験した人にしか分からない感情だけど

普通で当たり前に過ごしてる毎日が特別であることに気づいた時

ひとりじゃないことを知るから

疲れた時は癒えるまで休もう

この世からではなく今の状況から逃げよう


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