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vol.11 左ききの日常を解決するデザインたち。

「左利きなんですね!」

と話しかけられると、私が左利きだと気づいてくれた嬉しさと同時に、勝手にプレッシャーを感じています。なぜかというと、次の会話で「頭いいんだね!」「クリエイティブな感じ!」などと左利きのプラスのイメージを言われることがあり、その度に「私もそんなふうになりたかった....。」と思うからです。

そのプラスのイメージが描かれているなと思うのが、漫画「左ききのエレン」です。メインキャラクターであるアーティスト、山岸エレンは天才的な創造力で作品を制作し、世界的に評価され....正にカッコいい左利きのイメージそのものでした。

「天才になれなかった全ての人へ——…。」

「左ききのエレン」のキャッチコピーであるこの言葉にグサッと心に刺さっている私にとって、エレンは憧れのキャラクターです。私はエレンから程遠い生活を送っていますが、彼女のトレードマークであるフード付きのパーカーの心地よさに気づき、最近はフードを被るようになりました。でもやっぱり、エレンのような芸術的センスが湧き出ることもなく(笑)、左利きならではのちょっぴり困った日々を送っています。

まず左利きにとって大きな問題となる文房具。ハサミや左綴じのノート、定規のほとんどは右利き用に作られています。学生の頃、学校にたくさんのハサミが置いてあっても、ほとんどが右利き用で「このハサミじゃ切れない...。ああ、これもダメか....。」と私にとってくじ引きを引いているようでした。左利き用のハサミが見つからないので右手でハサミを使ってみるものの、うまく切れず。(涙)

そして多くの定規も右利き用に作られています。お店に並んでいる定規は、左から右へ「0, 1, 2 ...」と目盛りが書かれてあります。右利きの人にとって、その目盛を頼りに決まった長さの線を引くことは簡単かもしれませんが、左利きの人は少しテクニックが必要なんです!

定規 右

無印良品「アクリルクリア定規 15cm」

どういうことかというと、左から線を引く場合、利き手である左手により、目盛りが隠れてしまいます。この「目盛りが見えない問題」を解決するために、私は「0」の目盛から反対側の右端から線を引くことがあります。

例えば、「5cmの線を引くには、10cmから5cmまで線を引けばいいのか。」と考えながら定規を使います。

もしくは、左側から「ここまでが大体5cmくらいかな。」と直感的に線を引くこともあります。その結果、うまく線を引くことが難しく...。左利き、というより私が大雑把な性格だからなのかもしれません。(笑)

この問題を解決する、画期的な定規を見つけました!

左 定規

無印良品「両面目盛の定規 15cm」

よく見ると、目盛りが右から「0,1,2...」と書かれています。

今まで計算しながら線を引く、もしくは、当てずっぽうで書くことが当たり前だったので、この定規を使ったら難なく線を引けそうです。

この定規をデザインした無印良品は、「ハートフル・左利きプロジェクト」を立ち上げていて、左利きの消費者に対する調査を通じて左利き用の商品を開発しています。アンケートの回答を読むと、「左利きあるある」が書かれていて「うんうん。わかるわかる!」と頷くことばかりでした。左利きの人のために詳しく調査をしてくれるなんて...左利きの私にとって嬉しい調査内容でした。

https://www.muji.net/lab/project/left-handedness/

そして文房具に留まらず、ファッションにも左利き用のものがあるんです!それがこちら!

シャツ

「左ききのシャツ」

一見すると、「どのあたりが左利き用なんだろう?」と思う方がいるのかもしれません。この「左ききのシャツ」、左利きへの細やかな配慮が施されています。

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左手でボタンを掛けやすくするために、シャツが重なっている部分を左前にしてあったり...


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胸ポケットが右に付けてあったり!

改めて私が持っているシャツを着てみると、右手を使ってシャツのボタンを開け閉めする時や、左胸ポケットから何かを取り出す時、少し手こずるなと感じました。胸ポケットが大好きな私は、「左ききのシャツ」を着て、右胸ポケットからスマートにアイテムを出し入れしてみたいです。


今回は左利きのユニバーサル・デザイン*について書きましたが、
定規の目盛を右からの表記にしたり、胸ポケットの位置を変えるといった、とてもシンプルなアイディアが、たくさんの人にとって役立つデザインになっているんだなと感じました。

みなさんも普段の生活の中で「何となく不便だな」「これがここにあれば / なければ」と思うことがあるのではないでしょうか。その小さな違和感や、ふと思ったことに「慣れて対応する」だけではなく、それについて言葉にしてみたり、カタチにすることで、同じ悩みを抱えている人と共感する機会が増え、多くの人を助けることができるのかもしれません。私も最初の一歩として、ちょっとした違和感をメモしてみようと思います。

ユニバーサル・デザイン*
文化、国籍、年齢、性別、能力など関係なく、多くの人が使うことができるデザインのことです。

参考文献:
左ききのシャツwith 10YC, 
<https://hidari-kiki.jp/hidarikiki-shirts/>

KOKUYO MAGAZINE, 2015,「左利き用の文房具あれこれ・・・右利き用との違いとは?」
<https://www.kokuyo-st.co.jp/mag/Life-and-Work/2015/06/000107.html>

MdN Design Interactive, 2019, 「左利き用品から考える、誰にでも使いやすい道具とは……? 番外編/菊屋 〜左利き用品編〜(前編)」,
<https://www.mdn.co.jp/di/contents/4538/64649/>

無印良品, 2012,「3 左利きについてのアンケート(ステーショナリー編)結果報告」, 
<https://www.muji.net/lab/project/left-handedness/120829.html>

無印良品, 2012,「プロジェクト ハートフル・左利き」, 
<https://www.muji.net/lab/project/left-handedness/>

無印良品, 「両面目盛の定規 15cm」,
<muji.com/jp/ja/store/cmdty/detail/4547315916153?searchno=11&sectionCode=S107013902>

読売新聞, 2020,「左利きでも困らない! 広がるユニバーサルデザイン」,
<https://www.yomiuri.co.jp/kodomo/fromeditor/latest/20200210-OYT8T50074/>




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