帰り路
今日という一日がもう終わろうとしている。
こんなに楽しかったのに、いや楽しかったからというべきか。
時間が経つのはあっという間だった。
人気のない通りを二人で並んでゆっくり歩く。
後ろから車のヘッドライトが二人の影をどこまでも遠くへ伸ばし、やがて抜き去っていった。
振り返ってみれば、これの繰り返し。何の話をしたかも思い出せない。
街灯の光が通り過ぎる車体に反射して、暗がりになれた目に飛び込んでくる。
めっちゃ眩しい。
思わず目を背けると、昔ながらの緑地の掲示板の存在に気が付いた。
チラシの四隅に留められていたと思しき配置で画鋲がたくさん刺さっていた。
わずかに残った何年も前の迷子犬のチラシや催し物のお知らせからは使われている痕跡を読み取ることはできない。
何故そうしたいと思ったのか自分でも分からないが、余っていた画鋲を使って剥がれかかっていた神の教えを留め直しておいた。
写真提供:おまつさん(@omatsu_uuu)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?