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フェンス越しの景色
色とりどりの落書きが施された外壁の一角。
昔はフェンスを乗り越え、廃車になったトラックの荷台にお菓子や宝物を運び込んで、秘密基地にして遊んだものだ。
あれから10年以上の月日がたった。
高校からは地元を離れたので、旧友の消息を知る術はなかった。
今日久しぶりに通りかかったが、廃材やタイヤが無造作に置かれた様子が当時の面影をまだ残していた。
ここで最近、傷害事件が発生したらしい。
犯人は秘密基地に寝泊まりしていたそうだ。10年以上前に消費期限が切れたお菓子も見つかったことから、かなり長い間住み着いていたとされているらしい。
今では立ち入り禁止区域になった、そのエリアを大人になった僕はフェンス越しにただ見つめることしかできない。