私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【4月-その1】
🔷白井貴子
2021年6月の尾崎亜美の公演以来の大和田ホール。今年は三月半ばに開花した桜が、四月になってもまだ咲いていました。
私が見たかったのは白井貴子でした。今回はきたやまおさむとのトーク・ショーとのことで、歌はないものと思いながら見に行きました。
きたやまおさむは1970年頃に加藤和彦らとともに結成したザ・フォーク・クルセイダーズの北山修のことです。「戦争を知らない子供たち」「白い色は恋人の色」等が有名です。後に引退して医師になりました。
白井貴子は2016年に「涙河 白井貴子 北山修を歌う」というアルバムを出していて、その頃からのつながりのようです。今回の後半にはその時の歌が何曲か歌われていました。
最近、かつて聴いていたミュージシャンのライブにも時々行ってみるようになりました。細々と活動を続けていたり、リバイバル的にイベントが開催されたりしています。チケット販売がインターネットが主流になった結果、検索が可能になり、それらミュージシャンの活動情報を得やすくなりました。そうやって私も、今回の白井貴子のほか、尾崎亜美や大貫妙子のライブに行くことができています。
かつてからのアーティストライブに行って感じるのは、まず聴きに来ている人の年齢層が高いことです。概ね65~75歳が中心層のようです。私は彼らよりかなり年下の一番若い世代で、私より下の世代は会場にはほとんどいないようです。
年長者たちは、定年退職後に時間ができて、経済的にもある程度余裕ができる世代なのでしょう。良い余暇の過ごし方だと思います。夫婦連れ立っての参加もちらほら見えます。彼らにとっては、懐かしさとともに、激しいノリの若いミュージシャンのライブと異なり、安心して参加できるのだと想像します。
一方で、あまり好きではないのは、会場がすぐに手拍子になってしまうことです。今回もほぼ全曲手拍子が起きていました。手もみが入るのではないかと思うような表拍の演歌ノリを、私は恥ずかしく感じてしまうのです。曲のイメージが、手拍子で台無しになることがよくあります。
かつて聴いていたアーティストのライブに行ってみた後に、私の気持ちは大きく二つに分かれるようです。
一つは、円熟していて、以前と違うまたは以前に増して歌が素晴らしくなっている場合。
もう一つは、かつての私の中で像が完成されてしまっていて、行ってみて残念に感じる場合。同窓会に行ってがっかりする感じに似ています。憧れていたのは当時の私であって、当時のミュージシャンなのです。ずっと追い続けて一緒に歳を重ねて、同じ時代を生きて来たのなら、思いもひとしおだと思います。でも、ずっと会わずにいて突然会いに行ってしまったら、そこにいるのは歳をとった、おばあちゃんになったあの人な訳です。だから、想像の中の人にとどめておく方が良い場合もあるのだと思います。
そんなことを思いながら、久しぶりに渋谷の街をゆっくり歩いてきましたが渋谷の街の変貌にビックリしました。渋谷はどこか荒んだ暗さを持つ街だったのに、キラキラ感が増していて、清潔さを前面に押し出しているよう。なんだか未来都市のようになりつつありました。
🔷Cocco
前回書きましたCoccoツアーの三公演目です。
会場の客席に点在するピンクはこのひとのせいです。桃色の象、「ももぞう」とも呼ばれています。かなり前からCoccoが連れている象です。
美しいメロディの曲「ウナイ」の中に、「桃色の象が運ぶ夢を見なさい」という詞があります。
最近では、「潮満ちぬ」のMVの中で、ソファの上にももぞうが座っています。
昨年、25周年を記念して、期間限定で頒布されました。うちのももぞうも、今回は膝の上のリュックから顔を出して、ライブに参加しました。彼がかぶっているのはCoccoマークのキャップで、アップルグリーンのロゴは会場限定モデルです。
Cocco手製の車のコスチュームです。最近では異色の謎意図の曲「お望みどおり」MVでCoccoがまとっている車で、ライブでも装着していました。ライトが光ります。
Coccoは舞踊家であるとともに、海外で専門の創作技術を積んだアーティストでもあります。本を出している料理家、小説やエッセイをを書く作家でもあります。
この日も、ライブ終わりに町が輝いて見えました。
気持ちが満たされた、好きな時間です。
文・写真:©青海 陽2023
🌼 次回の更新は 未定です 🌼
🧸 連載無期限休止中 🧸