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心筋梗塞 発症~入院~退院 【まとめ】/典型的な症例として見る私の経過

私が心筋梗塞になった時に一番欲しかった「見通し」を、今まさに渦中にいる誰かに伝えたくて書いています。

いずれの病気も、初めての人にとっては、見通しがないことが一番辛いと思います。

今回の入院は、私にとっては生きるか死ぬかの瀬戸際の体験、特別な出来事でした。それは、その後の死生観や価値観を変えてしまう程のものでした。

一方、退院して様々な本などで調べると、私の経過は心筋梗塞としては、典型的な症例のようです。

もし、ご自身やご家族などが似た状況にある時には、(個人差が大きいことは当然の前提としながら)ぜひとも参考にご活用ください。

1.発症と原因

(1)発症時の生活

心筋梗塞について、思い当たる直接のきっかけはない、というのが率直な気持ちです。喫煙歴は以前にあるため、もちろん要因にはなり得ますが、それによる高血圧等は認められませんでした。飲酒習慣もまったくありませんでした。

週に4~5回プールに通っており、毎回約1時間半かけて2,000メートルを泳いでいました。10年前の膠原病による歩行障害の改善を目的に、継続して運動量と体重をコントロールしていたため、どちらかといえば健康的な生活を送っていたのではないかと思います。


心筋梗塞を発症する約1カ月前に健康診断がありましたが、血液検査を含め特に異常はありませんでした。発症後に、もう一度ドクターに健康診断書を見てもらいましたが、「異常は特に見出せない」とのことでした。

もし健康診断で血圧等が「要注意」となっていれば、気をつけていたと思いますが、まったく想定していませんでした。そんな風でしたので、当日胸に違和感があった際にも、心臓の異常は全く思い浮かびませんでした。

もし、ここから得られるノウハウがあるとすれば、心筋梗塞は「前触れなく突然、誰にでも起きる可能性がある」ということでしょうか。

(2)考えられる原因

その上で、今後同じような事態を防ぐために、敢えて原因を挙げてみたいと思います。

①喫煙歴
喫煙は心臓そのものにも負担をかけますが、特に血管の硬化や、もろくする害があるのは、よく知られているとおりです。膠原病の入院中に医師に訊いたところ「喫煙には害しかない。喫煙を良しとする医者は絶対にいない」と言われました。「硬化した血管は、元には戻らない」という話が、私がタバコをやめたきっかけでした。禁煙方法については、いずれ別のところに書きたいと思います。

②塩分摂取
実は盲点でした。私は体重のコントロールを中心に、取り組んでいました。そのやり方は一般的なもので、カロリー摂取を抑えること(炭水化物、糖分、油分を意識して減らす)と運動でした。

心筋梗塞後に振り返ってみた時に、塩分についてはあまり気にしていなかったことに気づきました。例えば、カロリーを抑えるために便利だったのは、コンビニのおでんでした。大根や白滝のカロリーは0なのです。しかし、あれは煮詰まっていることもあり、かなり塩分濃度が高いですね。極端な見方をすれば、激しい運動後に塩水を飲んでいたような感じでしょうか。低カロリーを気にしながら空腹を満たそうとして、誤ったやり方をしていたのかもしれません。

③ステロイドの副作用
高脂血症
心筋梗塞時までの約10年間、膠原病の症状を抑えるためにステロイド剤(プレドニン)を服用していました。膠原病発症後1年くらい経った頃、血液検査で(ステロイドの副作用としては一般的な)高脂血症傾向になることがあったため、クレストール錠(のちロスバスタチン錠に変更)を処方され、血液検査値は「正常」の範囲内となっていました。しかし、ステロイドは、梗塞の原因となり得る高脂血症を引き起こす副作用があることは、念頭に置いておいた方が良いようです。

食欲の増進
そもそも、私がなぜ水泳等の高い運動量を確保しなければならないかというと、副作用による食欲の増進があるからです。食欲を止めるのが難しいため、運動量を確保することでバランスを取らざるをえません。間接的ではありますがステロイドの影響で、運動し、体重を増やさないために食べ物の制限をせざるを得ない状況にありました。

この他、心臓で入院した際の循環器内科の医師から、様々な場面で(専門外だとは思いますが)「ステロイドを飲んでるからねぇ」と言われました。虫垂炎の時に、止血しにくく傷が治りにくい原因としてステロイドが言われました。このように本に載っているメジャーな副作用の他にも、医師の日常の診察の中で、「ステロイドが悪さをする」と考えられる症例が、多く見受けられるのだと思います。

④膠原病によるもの
これは推測です。膠原病は血管組織にしばしば影響を及ぼす病気のようです。膠原病は、他の病気と異なり、「膠原繊維」と呼ばれる細胞同士を結び付ける成分組織の異常を指しています。この繊維組織は、血管を含めた体中のすべての器官にあるため、あらゆる部位に異変が起きる可能性があります。また、それが同時に起きることもあり得ます。現在は、必ずしも膠原繊維に異常があるのではなく、結合組織に走っている血管の内壁や壁周囲に、病気の原因となる白血球の反応が起きることがわかってきているそうです。いずれにせよ、粥種(じゃくしゅ)=プラークができる血管内壁と膠原病は、何か密接な因果関係がありそうです。


2.入院生活


私の入院中の経過について、簡単に整理します。これが、心筋梗塞の典型的な経過とお考え下さい(個人差はあります)。

※下記(1)(2)については、
 『心筋梗塞入院日記② 初期症状のまとめ』に詳しく書きました。
  ご参照ください。

(1)救急搬送


(2)CCU(手術日~4日目)

・手術後の心臓機能を中心に24時間の監視体制となっていました。
・手術の炎症等による発熱が続き、やや吐き気がありました。
・頭痛が続きました。血管拡張剤(点滴)によるものとのことでした。
・原因を特定できなくなるため解熱剤は使えないとのことでした。
・導尿の管が入っていました。
・許可されている動作は、ベッドの背もたれを少し起こすことだけです。
・気分的にはかなり参りました。「死ぬのかも」と思いました。
・心室頻脈による不整脈がずっとあり、気になりました。
・2日目までは点滴で栄養補給、3日目からは固形食(最初普通の白米が出ましたが食べられず、おかゆに変更、その他少しのおかず)が出ましたが、気持ち悪くて食べられませんでした。
・CCUでは、鼻に酸素吸入のチューブがずっと装着されていました。
・両手に点滴の管が刺さっていました。(左手が緊急用の点滴、右が通常点滴)
・胸に心電図の電極が貼られ、24時間心電図モニターが動いていました。


(3)一般病棟(4日目~19日目)


①発熱
・一般病棟に移った時にも38℃の熱がありました。
・4日目の夜、頭痛の薬が欲しいと伝えると初めてロキソニンが出ました。
・5日目の朝、薬が効いたのか36.8℃に下がりました。
・7日目、36.3℃で初めて平熱になりました。
・熱が下がると、食欲が出て調子が良くなりました。

②服薬とその目的
■心臓の負担を軽くする薬(ARB、ACE阻害薬)
 …エナラプリルマレイン酸塩錠 5㎎
■心臓の負担を軽くする薬(β遮断薬)交感神経の働きを抑える
 …カルベジロール錠 2.5㎎
■コレステロールを下げる薬(脂質代謝異常治療薬)
 …ロスバスタチンOD錠  2.5㎎×4錠
■血栓を予防する薬(抗血小板薬)ステントへの血小板付着を防ぐ
 …アスピリン腸溶錠 100㎎
 …エフィエント錠 3.75㎎
■入院前から飲んでいた薬
 タケキャブ錠       20㎎
 プレドニン錠       5㎎
(上記、ロスバスタチンも飲んでいた)

③リスク
医師から説明があったリスクは以下でした。
・心筋梗塞後の不整脈。致死性の心不全。
・cK値 心停止の場合が8,000~10.000。心筋梗塞の平均値が2,000~3.000。
 今回は中程度で2,000だった。心機能は2/3になっている。

④処置
・5日目午前まで、左手の点滴で栄養補給と薬剤投与されていました。
・右手のラインは薬液をつながずにラインが最後まで残されていました。
・携帯心電図モニター(信号がナースステーションに電波で飛んでいる) 
 が外れたのは退院日でした。
・カテーテル検査前日に点滴開始、検査後は造影剤排出のために生理食塩水を点滴。
・17日目(カテーテル検査終了後)に点滴のラインが全部抜けました。

⑤食事
・5日目、全量食べたところ、経口から栄養が摂れれば点滴は不要とのこと で点滴がなしになりました。

⑥排泄
・5日目午後、導尿の管が抜かれて尿瓶となりました。
・歩けるようになった時点で尿瓶終了
・7日目、便通

⑦リハビリ
・5日目、歩行練習開始
  ・歩行前、アキレス腱のストレッチ、スクワット各10回
  ・はじめ廊下を少し歩行、以後退院まで毎回400m歩行 
・7日目、ベッド上、ベッドサイドで少しずつ自分でリハビリ開始。
  椅子に座るようにして体を慣らしました。
・9日目、単独歩行が許可されました。
・9日目、500m歩行
     自己リハの脈の基準と許可が出たため以後歩行の自己リハ
・12日目、初めて階段でリハ きつく感じました。
・退院まで毎日、自主リハ約1000mを2回程度

⑧入浴
・6日目、初めて清拭のお湯がもらえました。
  背中のみナース、あとは自分で清拭。
・7日目、洗面台での洗髪が希望して叶いました。
 入院以来初めて鏡を見てショック。
・10日目くらい、繰り返し希望してシャワー許可出ました。


⑨メンタル
・熱が下がり気分が良くなりました。
・心臓の動き、違和感がとても気になります。
・眠り浅く、夢を見ては目を覚ますを繰り返しました。
・9日目あたり、夜中に目が覚めるものの睡眠時間は長くなりました。
・11日目あたり、気持ちが落ち着くが、退院の見通しが立たず落ち込みあり。

⑩検査
5日目、レントゲン
8日目、起床前にNsの採血
9日目、心エコー
12日目、心電図、レントゲン
16日目、カテーテル検査(造影剤を使用)
・1カ所のみが硬化しプラークができていた。
・剥がれ落ちてストロカインを吸着して血栓となった。
・不整脈は出ていない。
17日目、心電図、レントゲン
18日目、運動負荷試験 80ワットくらいまで可。


⑪退院の判断 
・急に動くと心臓の壁が破れるので、一般病棟に移ってから2~3週間のリハビリ後に退院するとの診断。
・2週間リハビリをして、15日目にカテーテル検査して異常なしなら退院。
・16日目、カテーテル検査で異常がなかったため、19日目以降退院可との許可。
・19日目、退院
・退院後は機能低下をリハで補いながら、薬を続けて心臓を休ませる。
・退院後1月24日に造影剤MRI検査
・6か月後、カテーテル検査
・血圧の変化に気をつける(急な変化で血管の壁がはがれる)

⑫学習会
・11日目、心不全学習会
・19日目(退院日)、心筋梗塞学習会

⑬余暇
・本、写真の多いリーフレット
・ラジオ

⑮その他
・12日目、保険上限額手続き(入退院会計窓口)
・朝の体重測定と記録、血圧・脈拍測定、尿量測定


3.かかった金額(計算中)

再計算中

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本稿 Ⓒ2020 青海 陽

読んでいただき、ありがとうございます!☺ かつての私のように途方に暮れている難病や心筋梗塞の人の道しるべになればと、書き始めました。 始めたら、闘病記のほかにも書きたいことがたくさん生まれてきました。 「マガジン」から入ると、テーマ別に読めます(ぜんぶ無料です)🍀