私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【6月-その1】高円寺・阿佐ヶ谷編
とにかく新しい体験をしたい。感じることで、生きていることを実感したい。そんな私の2023年の新しい試みの一つが、中央線沿線の阿佐ヶ谷、高円寺あたりの開拓でした。今回は、新しい街での体験を少し書きます。
🔷ライブハウス 高円寺HIGH
エイプリルブルーというバンドが好きになりました。どうしてかと改めて聞かれると、よくわかりません。懐かしく感じるメロディーでしょうか。ボーカル船底春希の声でしょうか。管梓の気持ちを揺さぶるギターもあると思います。「見つけた」と思いました。小さいライブハウスに通うと、こういう出会いがあるのだと知った体験でした。
5月に引き続き6月も、ライブハウス高円寺HIGHで毎月末の日曜日に開かれるシュー・ゲイザーのイベント”TotalFeedback”に行きました。シュー・ゲイザーについては、5月の記事に詳しく書きました。そこで見つけたバンドが、エイプリルブルーでした。
このライブイベントは午後3時半くらいに始まります。各バンドが約30分演奏し間に転換(機材入れ替え)が約15分あります。
毎回5組程度が参加するので、新たなバンドを知る機会になります。同じジャンルでも作りたい音は皆違っているので、幅広く楽しめるイベントです。
今回は、RAYというアイドルグループが異色でした。このグループは、アイドルでありながら音楽のモチーフはシューゲイザーとのこと。衣装の衣擦れの音が聞こえる近さでのダンスパフォーマンスは、アイドルも偶像のような遠い存在ではなく、人を感じさせるものでした。
エイプリルブルーのボーカル船底春希は、学生時代を含めて音楽経験がないのだそうです。こういったバンドの世界では、まったく音楽経験がないというのはかなり珍しいことのようで、彼女について「発掘」「奇跡」等と称されています。イベント企画会社のスタッフだった彼女を、イベント打ち上げの際のカラオケを聴いた管が強く誘ったのが発端とのこと。
他のバンドボーカルのような派手さはありません。音程がやや上にスライドしつつ目をつぶりけだるく歌う彼女には、独特の存在感があります。これから追いかけてみたいと思いました。
終演後に物販でCDを買い、ボーカルの船底さんに持参したペンでサインをお願いしました。すると、ステージで撤収作業中のメンバーをわざわざ招集してくれて、全員がサインをしてくれました。
🔷劇場 座・高円寺
新しく知った町を歩いている時に前を通って、ずっと気になっていました。高円寺にある、区が運営する劇場「座・高円寺」(正式な名前は杉並区立杉並芸術会館)。公営ホールを持つ区市町村は都内に多い中、いくつかの区は演劇専用の劇場を持っています。
私は自分で演劇を見に行ったことはありません。生活圏に演劇を見られる場があるというのが新鮮で、何でもいいから見に行きたくて、チケットを取りました。演劇を見るのも、2023年の私の新しいチャレンジの一つでした。劇団チーズtheaterで、演目は「ある風景」。
演劇専用のその劇場は小さくて、すぐ目の前に低い舞台がありました。定員は約300名。目の前で、生身の人間が家族の人間模様を演じていました。演じていることを全く意識させない自然な姿。本物の世界がそこにあるようでした。
俳優の中で気になったのは大浦千佳。主役ではなく、登場する家族の中の一人でしたが、役の姿が等身大に感じられました。凛とした緊張感をもっと見てみたいと思いました。それでこの後、数少ない彼女の出演作を追いかけることになりました。
🔷映画館 Morc阿佐ヶ谷
阿佐ヶ谷の商店街のはずれに、二つの小さい不思議な映画館を見つけました。一つは洋画の旧作とドキュメンタリーを中心に上映しているMorc阿佐ヶ谷、もう一つは日本映画の旧作(それも昭和20~30年頃のものが多い)を上映しているラピュタ阿佐ヶ谷です。いずれの作品も1000円位で見られるのでリーズナブルです。
どんな映画がかかっているかというと、こんな感じです。
ラピュタにはまだ行っていませんが、Morcには十回くらい行きました。本当にかわいい映画館で、スクリーンは畳4枚分くらいでしょうか。席数は30くらいだと思います。お客さんは毎回5人くらい。一度は私だけで、貸し切り状態でした。
今回は、以前に見逃していた「ニュー・シネマ・パラダイス」と、高校の頃、街で見たポスターの可愛さに身動きができなくなってしまったソフィーマルソーの「ラ・ブーム2」を、それぞれ休みの日に見に行きました。
今度はドキュメンタリーや社会派の映画を見てみようと思います。
🔷気象神社
映画「天気の子」のはじめの方に出てくる神社です。主人公の穂高が東京の編集プロダクションのアルバイトで、天気の取材で訪れる神社です。社殿の天井に伝説の龍が描かれている設定で登場します。
高円寺駅からライブハウス高円寺HIGHに行く途中にあります。映画以来「聖地」になっているのでしょう。短時間の間にも小さいミラーレスカメラを持った女性や、一眼レフを持った若い男性が来て写真を撮っていました。
実は…写真を撮ってすぐに帰っていく人の多くは気づいていないのですが、気象神社はこの社殿ではなく、左側にある小さい鳥居の奥にある社なのです。
映画でも少しだけ映る、下駄の絵馬やてるてる坊主のおみくじも、左側の鳥居の奥にあります。
天気の子の舞台になった新宿から代々木のあたりは、私が若いころ過ごした見覚えのある風景です。それから、主人公の穂高が東京に来てあてもなくさまよっていた時にぶっ飛ばされた歌舞伎町の映画館TOHO前は、大森靖子のファンミーティングで行く”LOFT+1”でした。
そして私は、今度は高円寺で気象神社に来ることになりました。映画の世界と現実とがあちこちで重なり合っている不思議を感じます。
そして、夢と現実の線引きをしなくても、夢の中で生きていてもいいのかなって最近思います。だって、ライブも映画も演劇も、暮らしている町の中にあるのです。いつでも触れられる、そこにあるのだから。
文・写真:©青海 陽2023
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