見出し画像

私のスマホ写真で振り返る今年のイベント体験 2023 【7月-その3】高円寺・阿佐ヶ谷・新代田

地元のライブハウスはなんだか落ち着く。ホームグランドに戻って来たような感じがする。
知らないライブハウスって、いつも緊張しているんだ、と改めて思う。

初めてのライブハウスでは、まず入口がよくわからない。地下に潜るのか階上に上がるのかもわからないまま、整理番号を呼ばれて順に列に加わる。
チケットをもぎられてから、入り口でドリンク代を払ってチケットをもらうのはだいたい同じだけれど、ドリンクに交換するバーカウンターの場所がわからない。先にバーカウンターでドリンクを受け取ってからステージ前に進んだ方がいいのか、終演後にドリンクを受け取るのがいいのかも、迷いどころだ。スタンディングのライブでは、立つ場所が自由だから早い者勝ちになる。ドリンクを受け取っている時間も惜しいのだ。

そしてステージのフロアに向かうのだけれど、館内はたいていお化け屋敷のように薄暗いので、向かった先がトイレだったり、ロッカーだったりする。ここでも時間をロスして焦る。

ステージの前に出て、初めてステージの大きさや客席の奥行きを知ることになる。
ボーカルマイクの位置を何度も確かめながら、ステージを見通せる場所を素早く探す。大きい人の壁の後ろ立たないように。大きな人が並んでいる場合には、二人の間からステージセンターが見える位置を見極めて素早く左右に動く。状況によっては、センターを捨てて、人の層が薄い上手下手に動くこともある。ただ、左右のスピーカー前も考えものだ。激しいシューゲイザー・バンドなどの場合、スピーカーからは、音圧で空気が振動する爆音が出る。ノリとしては面白いが、繊細なボーカルが霞んで聞えない。そんなことを瞬時に考えながら、素早く左右に移動する。

この立ち位置が決まるまでの時間が、私の中では緊迫している。ポジション取りを間違えると、ライブの満足度が半分以下に下がってしまう。だから必死なのだ。恐ろしいのは、フロアの真ん中に柱があったり、ステージが見えない死角がある会場だ。空いているからと柱の後ろに入ってしまってから、ステージを方向を見て愕然とするのだった。

初めてのミュージシャンの場合には、ファン層の年齢も雰囲気もわからない。遠足でよその学校の列に紛れ込んでしまったように、みながよそよそしく感じる。若いボーカルのミュージシャンのファンは話しながら待つことが多い気がする。一方、バンド系のファン同士は、ほとんど会話を交わさずに、開演までスマホを見ている人が多い。この雰囲気がまたちょっと怖い。

7月16日 April Blue @LIVEHOUSE FEVER

それと、私が緊張しているのには、ライブ前の時間が関係あるのだと思う。たいていの場合、直前まで仕事をして、車でライブ会場そばまで向かう。間に合うかどうかと焦りながら運転して向かうことが多い。
車を止めてから、身支度をライブ用に着替える。最近は間に合うかの瀬戸際の会場の時は、自転車を積んで行って、駐車場から会場まで突っ走る。
ポーチの中のチケットを何度も確認しながら会場に向かう。十分くらいまえに会場前に着くことが多い。時々番号の呼び出し時間が繰り上がることがあるため、少しでも早く着いていたいのだった。

今回行ったのは新代田FEVERのシューゲイザー・イベント”pacific ocean park"
April Blueのギターの菅さん(このイベントの主催者の夏botさん)にメールして、チケットを取り置いてもらった。
高円寺HIGHで出会ったこのバンドがずっと気になっていて、ライブを探して見つけた。有り難かったのは、ライブハウスに問い合わせると、演奏順と時刻を教えてくれたことだった。仕事で開演に間に合わない可能性があったので、April Blueの時間がわかっていることで、焦らずに済んだ。

大きなライブハウスのイベントでは「公表されていない」と言う理由で演奏順や時刻を教えてくれない場合も多い。
一方、あるハウスでは、電話で事情を話すと女性のスタッフが「はっきりとした時刻は言えないことになっています」「でも…もしよければ…来場する時刻を言っもらえれば、お目当てのバンドがそれよりも前か後は言えるかもしれません」と、小さい声で言われた。「19:30」と言うと、「もう少し後なのでたぶん間に合いますねー」。「20:00くらいだとどうでしょう?」と聞くと、それだと始まってから10分くらい経ってしまうかもしれませんねー」とのこと。こういうルールを少しだけはみ出してくれる対応は、優しくて本当に嬉しい。

7月16日 April Blue @LIVEHOUSE FEVER

前に見たHIGHでは、聞き込んでいたいたアルバム”Blue Peter”の曲をほとんどやらなかったが、今回は定番曲を多く聴けて嬉しかった。
前にも書いたのだけれど、このバンドのどこに魅かれるのかをずっと考えていた。前回は、懐かしさ、菅さんのエモーショナルなギター、船底春希さんの声と書いた。

今日ふと思ったの。「隙」なのかもしれない。
今この原稿を書いている2024年春までにも、数多くのライブを見てきた。その中には大手レーベルが売り出したボーカリストもいて、バックバンドは優秀なプロのスタジオ・ミュージシャンが担っていた。彼らは完璧なリズムとテクニックで演奏する。技術的に相当高いのだと思う。そんな音楽を聴き慣れてから、小さいハウスのシューゲイザーバンドを聴くと、ホッとする。音が温かい。たぶんそこにあるのは息づかいような揺れ。グルーヴと言われるものとも少し違う「隙」がある。
そしてたぶん、船底春希さんの声には、自然にできる隙があるのだと思う。菅さんは、意識して隙を作ることができるのかもしれない。

7月16日 April Blue @LIVEHOUSE FEVER

物販にいた船底さんに声をかけて、購入した”いつかの海”のジャケットに、バンドメンバー全員のサインをしてもらった。
後で聴いてみると、前回のライブはこのアルバムの曲中心だったようだった。このアルバムがまた独特の雰囲気があってよいので、スポンサー購入をして限定動画を見せていただいた。

●おまけ●

ここからは写真だけでお楽しみください。

🔹高円寺HIGH

こちらは高円寺の月例イベント。

7月30日 Total Feedback @高円寺HIGH
7月30日 Total Feedback @高円寺HIGH


7月30日 Total Feedback @高円寺HIGH
7月30日 Total Feedback @高円寺HIGH

🔹Morc

そして、阿佐ヶ谷の小さなかわいい映画館 ”Morc”




文・写真:©青海 陽2023

🌼 次回の更新は 未定です 🌼
🧸 連載無期限休止中 🧸



読んでいただき、ありがとうございます!☺ かつての私のように途方に暮れている難病や心筋梗塞の人の道しるべになればと、書き始めました。 始めたら、闘病記のほかにも書きたいことがたくさん生まれてきました。 「マガジン」から入ると、テーマ別に読めます(ぜんぶ無料です)🍀