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非弁行為を条文と生成AIとで考える ~行政書士の業際問題 第4回~



はじめに

こんにちは!
行政書士の業際問題の第4回です。

行政書士の業務は補集合であるという話は第1回第2回で説明させていただきました。

補集合であるという事は他士業の業務を知らなければいけません。

私の法律理解のレベルでは業際のグレーな部分の解釈はわかりようもないですが、条文に書かれていてわかりやすい部分だけは避けておきたいものです。

そこで今回からは各士業の非○○業務に関する条文を中心に生成AIの力を借りながら見ていこうと思います。

非○○業務の条文とはこういうものですね
こちらは行政書士の条文となります。

(業務の制限)
第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第一条の二に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。

e-gov法令検索 行政書士法

※業際問題について自分なりに調べていますが、内容を保障できるものではありません。
第一回にも書きましたが、
①この記事は私個人の調査に基づくものです。間違いがあるかもしれません。
②一部AI機能を活用して作成しています。間違いがあるかもしれません。
③業際問題のグレーゾーンに関しては意見が分かれる場合があるため、ご自身で全詳に確認してください。

非○○業務の罰則

その前になぜ業際に注意する必要があるのか?
その辺を説明します。
第一回で非行政書士業務に触れましたが、各士業も同様に非〇〇業務に対する罰則が定められています。

こちらが罰則ですね。
私は法律に詳しくないのでなぜ各士業罰金額が違うのか?とか不動産鑑定士さんのみ併科もあるのか等の細かい事はわかりませんが、おおむね100万クラスの罰金となかなか厳しい金額になります。
(中小企業診断士さんは独占業務がありませんので、罰則もありません。)

この表は業際を侵した場合の罰則についてまとめていますが、
行政書士同様名称についても罰則が定められています。
勝手に士業を名乗ってはダメという訳ですね。

と、いう訳で本題へ進みます。
今回は有名である弁護士法にある非弁行為の条文について見ていきましょう。
弁護士さんといえばその業務範囲はめちゃくちゃ広いです。
他士業様のように具体的な業務が指定されている訳ではないので
補集合である行政書士から見たら一番気をつけないといけない部分ですね。

自分は非弁行為を避けるため『争いごとには関わらない』ぐらいしか知識がないのですが…

弁護士法七十二条

条文

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

e-gov法令検索 弁護士法

こちらが有名な非弁行為の条文ですね。

こちらを文言ごとに区切った形にして生成AIに解説させてみました。

1.『報酬を得る目的で』とは

「報酬を得る目的で」とは、金銭や物品、サービスなどの対価を受け取るために法律事務を行うことを指します。

  • 無償での助言や善意の支援は該当しない

  • 実質的な利益がある場合は「報酬」に含まれる可能性あり


2.『訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件』とは

訴訟事件は裁判所での紛争解決、非訟事件は家庭裁判所の相続手続きなど、不服申立事件は行政庁への処分取消や減免請求等が該当します。

  • 訴訟事件:離婚訴訟、損害賠償請求訴訟

  • 非訟事件:後見人選任、相続放棄手続き

  • 不服申立事件:税務署への異議申立、建築確認取消請求


3.『その他一般の法律事件』とは

権利義務や法律上の関係に影響を及ぼす事案全般を指します。

  • 契約書作成

  • 解雇や労働問題の相談

  • 金銭貸借契約のトラブル対応


4.『鑑定、代理、仲裁若しくは和解』とは

法律事務の具体例として以下を含みます。

  • 鑑定:専門的な法律知識に基づいて事案を分析し、判断を提供する行為

  • 代理:依頼者に代わって法律行為を行うこと

  • 仲裁:当事者間の争いを中立的立場から調整する行為

  • 和解:紛争を解消するための合意形成を支援する行為


5.『その他の法律事務』とは

法律事務に関して具体的に列挙されていないものの、同様の性質を持つ業務を広く含むための表現です。
『法律事務』とは法律に基づき権利義務や法律関係に影響を与える行為全般を指します。

この文言により、条文に明記されていない活動も法律事務として扱われ、無資格者が業務として行うことを防ぎます。時代や社会情勢に応じて変化する法律問題にも対応できる柔軟な規定と言えます。

  • 契約書・遺言書作成

  • 訴訟準備書面の作成

  • 紛争解決に向けた助言

  • 新しい法的分野(デジタル資産の管理)に関する助言


6.『周旋』とは

当事者間の調整や取り持ちを行い、問題解決を図る行為を指します。

  • 例:貸主と借主の条件交渉、トラブル解決の調整役


7.『ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。』 行政書士の該当業務

行政書士は、行政書士法に基づき、次の業務が認められています。ただし、紛争性のある事案や法的代理行為は弁護士法第72条により禁じられています。以下、行政書士が行える業務を具体的に説明します。

認められている業務の例

  • 官公署提出書類の作成
     例:建設業許可申請、会社設立に関する定款認証の書類作成

  • 官公署提出手続の代理
     例:許認可申請の代行、行政庁への意見書提出

  • 権利義務・事実証明に関する書類作成
     例:契約書、示談書、内容証明郵便、事業計画書

  • 書類作成に関する相談(法律相談は含まれない)
     例:申請書の作成手順、必要書類の確認と助言

  • 不服申立手続の代理(特定行政書士のみ)
     例:審査請求、再調査の請求

行えない業務(紛争性のある業務)

  • 訴訟代理や紛争解決のための調整

  • 裁判所への書類作成や法的判断を伴う助言

  • 他者間の争いを含む交渉や仲介

行政書士の業務範囲は明確に法律で定められており、特に紛争性のある案件には注意が必要です。他士業(弁護士や司法書士)との協力を視野に入れることで、適切な業務の遂行が可能です。

生成AIの解説をみた感想

7.は行政書士法の条文を載せたうえで生成AIに生成させてみました。

それにしても『ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。』って困りますよね。
行政書士法にも第一条の二 2 『行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。』
とあってバッティングしてたらどっちが優先なの?ってなるじゃないですか。

こういうところは法律の解釈の部分となって判例やら解説書を読まないとわからない部分なんでしょうね~。

詳しい方はどのように感じられましたでしょうか?
各都道府県の弁護士会のHPをいくつか軽く見ましたが、概ね同じ感じだったように感じます。

報酬がお金のみでない事は知らなかったです。
鑑定はお宝鑑定と同じ意味と勘違いしてました。
あと周旋はその言葉自体初めて知りました(笑)
勉強になりますね。

他士業と違って弁護士業務との違いを把握するのは大変ですよね。
結局のところは『紛争性』に帰結するのですかね~~???

さて、弁護士の条文をもう一つ紹介したいと思います。

弁護士法七十四条

(非弁護士の虚偽標示等の禁止)
第七十四条 弁護士又は弁護士法人でない者は、弁護士又は法律事務所の標示又は記載をしてはならない。
2 弁護士又は弁護士法人でない者は、利益を得る目的で、法律相談その他法律事務を取り扱う旨の標示又は記載をしてはならない。

e-gov法令検索 弁護士法

先述したとおり弁護士も行政書士と同様勝手に名乗ってはいけないのですが(おそらく他士業も同様の事と思います。)弁護士と名乗るだけでなく、
法律事務所・法律相談も弁護士以外は使用する事が出来ないんですよね。

例えば行政書士事務所の場合ですと『法務事務所』はありますね。
私はオーソドックスな名字行政書士事務所です

法律相談は気を付けないといけないですね。
我々は書類作成に関わる相談をうける事は出来ますが、法律相談は出来ません。
たまにSNSでその辺をやらかしてしまう行政書士の先生を見る気が…。

終わりに

と、言うことで今回は非弁行為の条文を生成AIと共に見てみました。
結論としてはやはり『争いごとには関わらない』がわかりやすい判断なのかなと…

最後に『法律事務』と『法律事件』について生成AIにちょっと長めに文章を書いてもらいました。
この2つの言葉の表す範囲が広すぎて自分にはよくわからないんですよね。
おそらく解釈等あると思いますので、色々意見はあると思いますが、
生成AIの解答ですのでその辺ご容赦ください。
ちなみに自分は読んでもよくわかりませんでした(笑)

それではまた!!

法律事務について生成AIに聞いてみた

質問『弁護士法で定められている法律事務とは何ですか? 』

弁護士法で定められている「法律事務」とは、弁護士が独占的に行うことができる業務を指します。
しかし、その具体的な範囲については明確な定義が法律上に記載されていないため、解釈が分かれる部分もあります。
以下に法律事務の一般的な定義と、諸説ある解釈について説明します。

1. 弁護士法第3条の規定
弁護士法第3条には以下のように規定されています。
弁護士は、当事者の依頼または官公署の委嘱を受けて、訴訟その他一般の法律事務を行うことを業とする。
この条文の中で「一般の法律事務」という言葉が具体的に定義されていないため、これが議論の焦点となります。

2. 一般的な定義
一般に「法律事務」とされる内容には以下が含まれます
法的助言・相談
法律問題に関する相談に応じ、法的な助言を提供すること。
代理業務
裁判、交渉、和解手続き、調停などの法的手続きにおいて依頼者を代理すること。
書類の作成
訴状、契約書、内容証明郵便など、法律関係の書類を作成すること。
法律解釈・法的判断の提供
特定の事案に関する法律解釈や法的な結論を提示すること。
これらの業務は、弁護士でなければ行うことができないとされています(弁護士法第72条による非弁行為の禁止)。

3. 諸説ある解釈
「法律事務」の範囲については以下のような解釈の違いがあります。
(1)広義の解釈
法律に関連するあらゆる業務が「法律事務」に含まれるとする解釈。
例として、行政手続きや契約書作成、許認可申請などの業務も、法的な知識や判断を要する場合には「法律事務」に該当する可能性があると考えられます。
(2)狭義の解釈
訴訟や裁判に関する代理業務、交渉、法的な争訟性を含む業務に限定されるという解釈。
この場合、行政書士や司法書士が行う業務(例:許認可申請、簡易裁判所の訴訟代理)は「法律事務」には含まれないとされます。
4. 判例による整理
判例では「法律事務」の範囲が一定程度明確化されています。
争訟性の有無
法律事務には争訟性(法的な争いを解決する性質)が求められるとする見解があります。例えば、契約書の作成が単なる事務的な作業に留まる場合、それは法律事務ではないとされることがあります。
依頼者の法的利益の保護
依頼者の法的利益を保護するための法的判断や助言を含む業務は、弁護士が行うべき「法律事務」として認識されます。
5. 他資格者との関係
以下の業務については、法律事務に該当するかどうかで議論が行われています
行政書士の業務
書類作成が法律事務に含まれるか否か。
一部では、行政書士の行う許認可申請は「法律事務」に含まれないとされています。
司法書士の簡裁代理権
簡易裁判所における訴訟代理権は、特例として法律事務に該当しますが、これは司法書士法に基づく特別な権限です。
結論
「法律事務」とは、弁護士が法的知識や判断を駆使して行う業務全般を指し、争訟性や依頼者の法的利益の保護を伴う業務が主に該当します。しかし、具体的な範囲については広義・狭義の解釈や資格間の境界の議論が続いており、事案ごとに裁判所や行政機関の判断が必要となる場合もあります。

法律事件について生成AIに聞いてみた

質問『弁護士法にある法律事件の定義を教えてください』

弁護士法には「法律事件」という言葉は直接的に定義されていません。ただし、弁護士が取り扱うことができる業務として「法律事件」に関連する表現が含まれており、その解釈から「法律事件」の範囲が考えられます。

弁護士法第1条および第72条に関連する表現

弁護士法第1条(目的および使命)
弁護士の使命として、以下が記載されています

「弁護士は、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする。弁護士は、裁判及び法律事務を行うことによって、…」

この中で「法律事務」が「法律事件」を含む広い概念とされています。

弁護士法第72条(非弁行為の禁止)
弁護士でない者が取り扱ってはならない業務について、次のように規定されています

「弁護士または弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で、訴訟事件、非訟事件、または法律事件その他一般の法律事務を取り扱い、またはこれらに関して斡旋してはならない。」

ここで「法律事件」という言葉が使われていますが、具体的な定義は条文にはありません。

「法律事件」の解釈
「法律事件」とは、一般的に以下を含むと解釈されています
1. 訴訟事件
裁判所での訴訟を指します。
例:損害賠償請求訴訟、離婚訴訟、遺産分割訴訟など。
2. 非訟事件
裁判所が関与するが、訴訟とは異なる形式で処理される法的な手続きです。
例:成年後見の申立て、相続放棄の申立てなど。
3. その他の法律事件
訴訟や非訟に至らないが、法的な権利義務に関連する紛争や手続き。
例:紛争性のある契約書の作成、示談交渉など。

裁判所や実務における「法律事件」の理解
「法律事件」とは、広義では法的権利義務や利益に関する争いや手続き全般を指すとされています。特に以下のような特徴を持つものが「法律事件」に該当します

法的判断が必要とされる事案
例えば、契約の有効性、債務の有無、不法行為の成立など。
紛争性があるか、または紛争性が予見される事案
将来訴訟に発展する可能性がある場合も含まれる。
当事者間で争いが明確なもの
例えば、貸金返還請求における返済の有無に争いがある場合。

まとめ
弁護士法における「法律事件」は明確に定義されていませんが、条文の文脈や実務上の解釈から次のように理解されます
・法的な権利義務に関する争いを含む具体的な事案。
・訴訟事件、非訟事件、およびそれらに類する法的な問題を含む広い概念。
・紛争性の有無に関わらず、弁護士が専門知識を活用して対応すべき法的な事案。
弁護士法第72条では、この「法律事件」を報酬を得て扱えるのは弁護士のみとされています。他の資格者(行政書士、司法書士など)は、紛争性がない業務のみ取り扱うことが可能です。


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あおめがね
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