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税理士法の条文と生成AIとで考える ~行政書士の業際問題 第5回~


はじめに

こんにちは!
行政書士の業際問題の第5回です。

前回の弁護士法(非弁行為)に続きまして各士業の条文を見ながら業際について考えてみたいと思います。
全ての士業をやる元気はないと思いますので、主に業際を知っておきたい士業を中心にやっていこうと思います。
今回は税理士法です。

今回からはおそらく短めの回が続くと思われます。

税理士業務の制限(五十二条)

(税理士業務の制限)
第五十二条 税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。

e-gov法令検索 税理士法

税理士業務は第2条に定められています。

(税理士の業務)
第二条 税理士は、他人の求めに応じ、租税(印紙税、登録免許税、関税、法定外普通税(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第十条の四第二項に規定する道府県法定外普通税及び市町村法定外普通税をいう。)、法定外目的税(同項に規定する法定外目的税をいう。)その他の政令で定めるものを除く。第四十九条の二第二項第十一号を除き、以下同じ。)に関し、次に掲げる事務を行うことを業とする。
一 税務代理(税務官公署(税関官署を除くものとし、国税不服審判所を含むものとする。以下同じ。)に対する租税に関する法令若しくは行政不服審査法(平成二十六年法律第六十八号)の規定に基づく申告、申請、請求若しくは不服申立て(これらに準ずるものとして政令で定める行為を含むものとし、酒税法(昭和二十八年法律第六号)第二章の規定に係る申告、申請及び審査請求を除くものとする。以下「申告等」という。)につき、又は当該申告等若しくは税務官公署の調査若しくは処分に関し税務官公署に対してする主張若しくは陳述につき、代理し、又は代行すること(次号の税務書類の作成にとどまるものを除く。)をいう。)
二 税務書類の作成(税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書その他租税に関する法令の規定に基づき、作成し、かつ、税務官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下同じ。)で財務省令で定めるもの(以下「申告書等」という。)を作成することをいう。)
三 税務相談(税務官公署に対する申告等、第一号に規定する主張若しくは陳述又は申告書等の作成に関し、租税の課税標準等(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第六号イからヘまでに掲げる事項及び地方税(森林環境税及び特別法人事業税を含む。以下同じ。)に係るこれらに相当するものをいう。以下同じ。)の計算に関する事項について相談に応ずることをいう。)
2 税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。
3 前二項の規定は、税理士が他の税理士又は税理士法人(第四十八条の二に規定する税理士法人をいう。次章、第四章及び第五章において同じ。)の補助者として前二項の業務に従事することを妨げない。

第二条の二 税理士は、租税に関する事項について、裁判所において、補佐人として、弁護士である訴訟代理人とともに出頭し、陳述をすることができる。
2 前項の陳述は、当事者又は訴訟代理人が自らしたものとみなす。ただし、当事者又は訴訟代理人が同項の陳述を直ちに取り消し、又は更正したときは、この限りでない。

e-gov法令検索 税理士法

例によって私の頭ではよくわかりませんので生成AIに解説してもらいます。
以下生成AIによる解答


税理士法 第二条

第一項

  • 項目: 租税に関する事務

  • 説明: 税理士は、租税(特定の税目を除く)に関して以下の業務を行う。

  • 例示:

    • 税務代理

    • 税務書類の作成

    • 税務相談

第一号: 税務代理

  • 説明: 税務官公署(国税不服審判所を含む)への申告、申請、不服申立てなどの代理や代行。

  • 例示:

    • 所得税の確定申告を納税者に代わって行う。

    • 税務調査における納税者の主張を代弁する。

第二号: 税務書類の作成

  • 説明: 税務官公署に提出する申告書や申請書などを作成する業務。

  • 例示:

    • 法人税の申告書作成

    • 消費税の申請書作成

第三号: 税務相談

  • 説明: 申告書作成や課税標準の計算に関する相談に応じる。

  • 例示:

    • 不動産所得の計算に関する相談

    • 消費税の仕入税額控除の計算方法の相談

第二項

  • 項目: 税理士業務の付随業務

  • 説明: 税理士業務に付随して財務書類の作成や会計帳簿の記帳代行などを行うことができる。

  • 例示:

    • 決算書の作成

    • 日々の仕訳記帳の代行

第三項

  • 項目: 補助者としての業務従事

  • 説明: 税理士が他の税理士または税理士法人の補助者として業務を行うことが認められる。

  • 例示:

    • 税理士法人での補助業務

    • 他の税理士が作成した申告書のチェック

第二条の二

第一項

  • 項目: 補佐人としての陳述

  • 説明: 裁判所で弁護士とともに補佐人として陳述することができる。

  • 例示:

    • 税務訴訟において弁護士と協力して納税者の立場を主張

第二項

  • 項目: 陳述の効果

  • 説明: 税理士の陳述は当事者または訴訟代理人の陳述とみなされる。ただし、直ちに取り消しや更正が可能。

  • 例示:

    • 税理士が発言した内容を訴訟代理人が訂正する。


解答ここまで

これらが税理士の業務となります。
これらを税理士以外の人がやってはいけないという事ですね。

五十二条以外にも気を付けないといけない条文があります。

税理士等でない者が税務相談を行つた場合の命令等 第五十四条の二

(税理士等でない者が税務相談を行つた場合の命令等)
第五十四条の二 財務大臣は、税理士又は税理士法人でない者(以下この項において「税理士等でない者」という。)が税務相談を行つた場合(税理士等でない者がこの法律の別段の定めにより税務相談を行つた場合を除く。)において、更に反復してその税務相談が行われることにより、不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れさせ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けさせることによる納税義務の適正な実現に重大な影響を及ぼすことを防止するため緊急に措置をとる必要があると認めるときは、当該税理士等でない者に対し、その税務相談の停止その他当該停止が実効的に行われることを確保するために必要な措置を講ずることを命ずることができる

e-gov法令検索 税理士法

税理士業務の制限だけでなく税務相談について追加で条文があるんですよね。
そして制限の条文・この条文共に『業として』や『報酬を得て』等の文言がありません。
そうです。税務相談等の税理士業務は無償でもやってはダメと言う事なんですね。
(個別具体的な相談がダメであり、一般的な説明はできるとの事)

この辺は行政書士法や弁護士法と違うところですね。

そしてもちろん名称の使用制限もあります。

名称の使用制限 第五十三条

第五十三条 税理士でない者は、税理士若しくは税理士事務所又はこれらに類似する名称を用いてはならない。
2 税理士法人でない者は、税理士法人又はこれに類似する名称を用いてはならない。
3 税理士会及び日本税理士会連合会でない団体は、税理士会若しくは日本税理士会連合会又はこれらに類似する名称を用いてはならない。
4 前三項の規定は、税理士又は税理士法人でない者並びに税理士会及び日本税理士会連合会でない団体が他の法律の規定により認められた名称を用いることを妨げるものと解してはならない。

e-gov法令検索 税理士法

勝手に士業は名乗れないですね。

さて、話を少し戻しますが、税理士業務の制限の条文にこんな記述がありました。『この法律に別段の定めがある場合を除く』
実は行政書士にとって大事な条文が税理士法の中にあるんですね。
それがこちら

行政書士等が行う税務書類の作成 第五十一条の二

(行政書士等が行う税務書類の作成)
第五十一条の二行政書士又は行政書士法人は、それぞれ行政書士又は行政書士法人の名称を用いて、他人の求めに応じ、ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、事業所税その他政令で定める租税に関し税務書類の作成を業として行うことができる。

e-gov法令検索 税理士法

税理士法施行令(政令)

(行政書士が税務書類の作成を行うことができる租税)
第十四条の二 法第五十一条の二に規定する政令で定める租税は、石油ガス税、不動産取得税、道府県たばこ税(都たばこ税を含む。)、市町村たばこ税(特別区たばこ税を含む。)、特別土地保有税及び入湯税とする。

e-gov法令検索 税理士法施行令

税といっても全てが税理士の独占業務という訳ではなく、行政書士ができる業務もあるのですね。
またこの他にも税理士業務の対象としない租税もあります。
(税理士法施行令 第一条)

わかりやすいのは自動車関連の税金でしょうか?
自動車税や自動車重量税等はこの二つに当てはまります。
行政書士が車の登録を行う際にこれらが扱えないと大変な事になりますしね。
と、言うことはここで出てくる税は行政書士の許認可業務と深く関わってくる税となるのでしょうね。

ここまでみてきて大体想像通りだったのですが、一つ疑問が出てきました。

行政書士って会計記帳出来るんじゃなかったっけ?

税理士の業務第二条2 税理士は、前項に規定する業務(以下「税理士業務」という。)のほか、税理士の名称を用いて、他人の求めに応じ、税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。ただし、他の法律においてその事務を業として行うことが制限されている事項については、この限りでない。

この条文を見ると本当に行政書士が会計記帳は出来るの?と疑問を持ちます。
そこで再び生成AIに聞いてみました。
以下生成AIによる解答です。


以下に、「行政書士が会計記帳をできる法的根拠」を整理しました。


1. 行政書士法による根拠

行政書士法 第1条の2

「行政書士は、官公署に提出する書類、権利義務または事実証明に関する書類を業務として作成することができる。」

  • ポイント:

    • 会計記帳は、権利義務や事実証明に関連する書類(例: 会計帳簿、決算書など)を作成する行為に該当します。

    • 行政書士法第1条の2が、この業務の根拠となります。

行政書士法 第1条の3

「行政書士は、その業務を行うために必要な相談に応じ、また、その業務に関連する手続について代理することができる。」

  • ポイント:

    • 記帳業務を行う際の相談対応も行政書士の業務範囲に含まれると解釈できます。

    • ただし、税務申告に関連する内容は税理士の独占業務となるため、慎重な判断が必要です。


2. 税理士法との関係

税理士法 第2条第2項

「税理士は税理士業務に付随して、財務書類の作成、会計帳簿の記帳の代行その他財務に関する事務を業として行うことができる。」

  • ポイント:

    • 税理士法では税務申告に付随する会計記帳を税理士が行うことを定めています。

    • 一方、税務申告に直接関与しない記帳代行業務については、税理士の独占業務には該当しないため、行政書士が行うことができます。


3. 実務における根拠と注意点

記帳業務の範囲

  • 行政書士が行える会計記帳業務は、税務に関連しないものに限られます。

  • 具体的には以下が挙げられます:

    • 日常の会計記帳(領収書・請求書の整理や仕訳)

    • 簿記に基づく帳簿の作成

税務業務との区別

  • 税理士法に基づく税務相談、税務書類の作成、税務代理は税理士の独占業務です。

  • 行政書士がこれらに関与すると、税理士法違反となる可能性があります。


4. 実務指針(行政書士会や他資格の見解)

  • 行政書士会の解釈:

    • 会計記帳が行政書士法第1条の2の範囲に該当する業務であることを支持。

  • 注意点:

    • 記帳代行が税理士法に抵触しないよう、明確に税務申告や税務相談に関連しない業務として扱う必要があります。


まとめ

行政書士が会計記帳を行う法的根拠は、行政書士法第1条の2に基づきます。ただし、税理士法との関係に注意し、税務に関与しない範囲で業務を行うことが重要です。行政書士が記帳業務を行う際は、依頼内容を明確化し、必要に応じて税理士と連携することが推奨されます。


解答ここまで

おわりに

税理士法の条文を確認しながら生成AIと共に業際問題を考えてみました。
いかがでしたでしょうか?

特に注意したい点は無償でも税務相談は出来ない点ですね。
相続絡みの業務をする場合に相続税の話は出てくる事が多いと思います。

基礎控除がいくら等の一般的な説明は別として、この場合はいくらになりそう等の話は税務相談とされてしまいます。
しっかりと注意していきたいですよね。

前回の弁護士と今回の税理士は特にやってみたかった士業になります。
これ以外はだいたい想像がつきやすいかなと思いますので…
とはいえ他士業様の条文みると新しい発見があって勉強になりますね。

それではまた!

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あおめがね
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