私たちは誰のために毛を剃るのか~女性の体毛は恥ずかしいもの?~
お久しぶりです。
唐突ですが、今回、私は女性の体毛にまつわる話をしたいと思います。
全然、SexyZoneとは関係ないのですが、私はマリウスさんのテキスト担、マインド担でして、こういうお話、いわゆるフェミニズムの話をするのが好きですし、私が今関心を持っているものをシェアして、お互いに考えを深められたら嬉しいので、よろしければお付き合いください。
発端はこの記事
Vol.1 私たちの体毛は”恥“じゃない【クラーク志織のハロー!フェミニズム】
https://www.elle.com/jp/culture/career/a28572736/shiori-clark-190816/?utm_source=instagram&utm_medium=social&utm_campaign=post_ig_el_20190817&utm_content=story
この記事を読んで、そう言えば日本ではまだ「Body hair-pride」「Woman body hair positive」的なムーブメントは起きていないな、タブーではないけれど女性同士でもあまり体毛の話ってされてきてないなと思って(私の周りだけ?)、今までの体毛にまつわる個人的な話をしてみようと考えたわけです。ほんと超個人的な話です。
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私は幼い頃から体毛に悩んできた。
初めて自分の体毛を意識したのは小学1年生のとき。プールの授業で、男の子たちから「うわっ!毛がいっぱい。男だ!いや、オレらより濃いから、ゴリラだ」と言われた。
私は他の子たちよりも発育が早くて、確かに体毛が目立っていた。ゴリラと言われて顔から火が出そうになるぐらい恥ずかしくて、恥ずかしくて、無視をしていたけれど何度も何度も言われてすごく傷ついた。
そのときに初めて「一般的に女性の体毛は男性より薄い、もしくは無いとされている」ことを知った。
――よく考えると、この刷り込みは小学生から既にあるということだ。恐ろしい。
そして、私は最初のカミソリを買ってもらった。
「そのままでいい。毛が生えてるのは恥ずかしいことではなくて自然なことだし、今はまだ小さいから肌にも負担をかけることはやめたほうがいい」と優しく言ってくれる母に何度も頼んで、最終的には泣きながら頼んで、やっと買ってもらったのだ。
プールの授業が嫌だった。毎回、母に剃ってもらっていた。まだ子どもの肌だから傷つきやすく、たまにヒリヒリした。よく考えたら、傷ついた肌でプールに入るなんて、衛生上、絶対に良くない。けれど、それを上回るぐらい言われたのが嫌だったのだ。
それからというものの毎日が自分の体毛との戦いになった。手脚の毛を剃り続け、確かにそこに私の体毛はあるのに、ないものとしてきた。毛を剃っているということ自体、恥ずかしいことのように思っていたから、処理を怠って、毛が生えてると「あ、体毛が多くて、剃ってるんだ」と思われてしまう、それは耐えられないと毎日毎日剃った。
本当に色々なことをした。毛の成長が遅くなるとかいう、パイナップルと大豆が原料のローションを自作して(効果はあったけど、とてつもなく手間と時間がかかるし、パイナップルの糖分でベタつく最悪のローション)毎日塗ったり、脱毛器やワックスで痛みに耐え、時には血を流しながら毛を抜いたり、数万円する光脱毛器をお年玉を貯めて買ったりした。その間もなくなることはないので毎日どこかしらの部位の体毛を剃っていた。
日々、体毛と戦ってきたのである。
こんなこともあった。高校生のとき、台湾に行く機会に恵まれた。そこで優しくしてくれた台湾人の若い女性が脇毛の処理を全くしていなかった。男子はそれを見て「うげー」と笑っていた。女子は汚いものを見るかのように怪訝そうな顔をしていた。
私は彼らの反応にまたショックを受けた。私も自然なままでいたらこういう反応をされてしまうのだと、小学生の頃の経験がフラッシュバックした。恐ろしかった。けれど、黙っていた。だって「私の体毛はないことになっていた」から。そして私も少なからず「女性の体毛は恥ずかしい」という認識があり、話せなかったからだ。
思春期がすぎて、大人になり、体毛の濃さも落ち着いた。(思春期はホルモンの関係で毛が濃くなったりするらしい)そして何より10年以上ほぼ毎日剃っているわけだから、自分の見える範囲の毛の存在を忘れていたころ、彼氏から「驚いたんだけど、女の子なのに毛があるね。普通、女の子は毛がないよ」と言われた。私は自分でできない、背中の毛は処理してなかったのだ。
「そんなことないよ。みんながんばって処理しているのよ」と言っても「いや、みんな全身ツルツルだったよ」と言われて衝撃を受けた。本気で女の人に体毛は生えないと思っているタイプの人だったのだ。
「あなたの今までの彼女は知らないけれど、お母さんとか、気を抜いたら毛が生えてるでしょ?」「いや、生えてないと思うな。男性ホルモンが強いの?脱毛したら?電車の広告でよくあるやつ」と言われた。
脱毛の仕組みや値段を知らなそうだったので、話をしたら「高いし、やけどとか怖いし、結構大変なんだな」と言われた。
そう、女性の身体のことや、毛の処理の大変ささえ知らないあなたに言われたくない。私はひどく腹が立った。
でも知らないのは彼らのせいではない。世の中的に「女性の体毛はない」ことにされているんだから。テレビを見ても、広告をみても、雑誌をみても、頭や顔以外に体毛がある女性なんていない。街をみてもほとんどの女性は体毛がないようにみえる。
やり場のない怒りを感じながらも、理不尽だと思いながらも、毛を剃る範囲が全身になった。
全身を剃るのは本当に大変で、たまに手を抜くときがある。大概は何も言われないけれど、不意打ちで他人から指摘される。
その度に傷ついて、また剃る。剃る。剃る。
20代の半ばをすぎて「いつまで毎日毎日剃り続けなければならないのだろう」とこれからのことを思うと嫌になった。既に20年剃り続けているのである。
そして、働きはじめて何年か経ち、私はついに今年から医療脱毛を始めた。合計数十万円。
脱毛サロンは本当に何度も行かなければならないし、医療脱毛はなかなか痛い。予約もなかなかとれない。知らないスタッフさんに裸をみられる。高額(軽く私のボーナス1回分)だし、様々なリスクもある。術前の裸の写真を撮ったりする。嫌なことだらけだ。それでもこれまでの20年の体毛との戦いを思い出せば、全然苦ではないように思える。
私は女性も男性も同じように、体毛が生えていても、ツルツルでもどちらでもいいと思う。全てはその人がどちらを快適と思うかなのだ。(髭だって生えていてもいいと思う。生えるのが自然なんだし)
心からそう思っている。でも、刷り込みは恐ろしい。
本当に剃るのが大変で、嫌で嫌で、処理をやめてみたこともあった。けれど、見られてないのに人の視線が気になって居心地がわるかったし、ツルツルな肌に慣れていて、毛がある自分の肌に違和感があった。デリケートゾーンなんかはない方が圧倒的に快適だった。
脱毛するのはら「女性のツルツル信仰」に従ってしまうようだけど、私の心持ちは違う。
「私は毛を生やしたままでも勿論、変わらず素敵だけど、私は私の快適さや心地良さのために毛を処理をする」と思って体毛とおさらばする。
決して、人の価値観を侵害したり、非難したりするものではなく、自分自身の選択としてやる。
私は私のために。
全ての人が「毛を処理しない選択肢もある」そう思えるような社会をつくるためには男女ともに幅広い価値観への理解と女性の身体への正しい認識が必要だ。何せ、このような刷り込みは先述した私の経験をみてもらってもわかるように、就学前からあって、年季がはいっている。なかなか手強い。
10年前だったら、このような話は出てこなかったと思う。眉毛が繋がっているショーモデルや、脇毛が生えてるインスタグラマーがいたり、脱毛する男の人がいたりする。世の中は確実にだんだんと良くなってきている。
さらに20年後にはきっとまた違う未来がある。私は楽しみだ。
この記事をみても、理解されないかもしれないけれど、「体毛をあえて処理しない」という選択があるということを知ってほしくて書きました。
自己満足の記事ですが、マシュマロ貼っておきますので、よければあなたの話を聞かせてください。
https://marshmallow-qa.com/amariusyolover?utm_medium=url_text&utm_source=promotion
女性の身体のことが正しく理解されて、女性に限らず全ての人が、その人にとって心地の良い選択をできるようになりますように。
おわり