ペーパームービー
9月1日。
この日付から私が思い浮かべるのは樹木希林さん。
以前読んだ「9月1日 母からのバトン」という本で、亡くなる2週間前の9月1日、樹木さんが入院中の病室で、窓の外を見ながら子供たちを思い、「死なないで 死なないで」と必死に祈っていたというエピソードが心に残っています。
「せっかく生まれてきたんだからもったいないよ」
9月1日に命を絶つ子供たちが多いことを嘆いて発せられたこのメッセージは、樹木さんの生き様が集約された言葉だと、のちに樹木さんの娘の内田也哉子さんが語っています。
今日は樹木さんを思いながら也哉子さんの本を読みました。
これは也哉子さんが19歳の時に書かれたエッセイですが…
まさに映画を観ているような。
「ペーパームービー」とは秀逸なタイトル。
書いた当時19歳だった也哉子さんの真っ直ぐな文章。
所々に光る、也哉子さんにしかない表現。
世間の基準からは少々ぶっ飛んだ家族のこと。
面白いのは、この文庫本では3回分のあとがきが読めるところ。
ペーパームービーを書いた19歳当時に書かれたあとがき。
10年後、文庫版に収められたあとがき。
そして四半世紀を経て、新装版として再び書かれたあとがき。
それらを含めて、也哉子さんの半生をまるっと飾らない言葉で綴ったペーパームービー。
久々に本を一冊読んで、こころ熱くなる良い時間を過ごせました。