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食べ語り鳥取出張2

昨日、はせがわさんへ行く道中、曲がり角に素敵なお店を見つけた。

ここも行きたいねと先輩と話し、
とりあえず今日は違うお店へと足を運ぶ。
予約で満席だった。
じゃあもう一つ、教えてもらったお店へ。
こちらもなんと満席。

じゃあ、一か八か行ってみよう。

居酒屋が立ち並ぶ明るい商店街を抜け、小さな路地へ。街灯も止まっていない住宅街を抜け、小さな公園の横を通ると、お、灯りはついてないけどやってそう、入ってみるか。

そんな偶然から始まったfaroさんとの出会い。

店主さんは明るく私たちを出迎えてくれた。
アンティークの棚、並ぶワインの瓶、所々に置かれたものからお店のセンスが光っていた。


最初のお酒はおすすめを出してもらった。
泡が好き、と伝えると出してくれたのがこちら。

イタリアの中でも最南端に位置する島で取れた貴重なブドウで作られたというワイン。
もともとあるワインをもじって“brutto”(イタリア語で醜い)という名前をつけ、ラベルには醜いアヒルの子からとって可愛いアヒルが描かれている。

微炭酸ですっきりとした果実の甘味がする、とてもとても美味しいワイン。2人で顔を見合わせて美味しい!と口々に言うと、好きそうだな、と思って。と微笑んでくれた。

メニューから選べずおすすめを聞くと、お店の1番がパルマの生ハム。
店主さんが5年間、住んでいた都市のものとのこと。これを食べながらゆっくり選んでください、と。
(右上の塊をオーダー後スライスしてくれた)

それでも選べない私たちは3,500円でお任せコースを作ってもらうことに。

生ハムを食べていると、パンを出してくれた。

友人が作っている蜂蜜を練りこんだパンだという。お店を開く時絶対に使うと約束したのだそう。外はパリッと中はもっちり。
(後ほど奥様が焼いているパンだと知る。)
(お土産にこの蜂蜜買いました)

前菜は生クリームを混ぜ込んだモッツァレラチーズ(これもきっとお洒落な名前があったはず)

と、ルッコラ、そしてこの日も出会えた”とっておき”のカプレーゼ。この方もイチゴ狩りをしてきたとのこと。

お次はパスタ。ホタルイカと菜の花。

ホタルイカの肝で和えてあるとのことで、菜の花も相まってほろ苦さと魚介の旨味がたっぷり。鳥取に行っている間いろんな調理法でホタルイカを食べた。
パスタは太めのアルデンテ。そこまで話が弾んでいたので、カウンターにいる店主さんにとっても美味しいです!!と口々に伝えた。

最後はカサゴの香草焼き。

下にカリフラワーと春菊のムースが敷いてある。カサゴは鳥取の漁師さんから買い付けたもので、数日置いて熟成させたものだという。
熟成肉は聞いたことあったが、魚も熟成できるとはじめて知った。
また、衣に混ぜてある香草は店主さんが自分で育てたものだという。いつか全ての野菜を自家栽培でやりたいと話していた。
さくっとかじるとふわっと広がるカサゴの身。
香り豊かな香草。控えめだけどしっかりと野菜の美味しさを活かした野菜のムース。
気取りすぎてないのに、隙のない美味しさ。

2人で幸せに浸っていた。

それから、どういうきっかけだったか店主さんがどうして料理人を目指したのかという話を聞かせてもらえることになり、気がつけば夜10時を回っていた。

現在、食について講師も行っているとのことでどんな思いで授業をしているのかという話も聞くことができた。
その思いが私が大学生の頃、誰かに伝えたかった”食べること“に対しての考え方ととても似ていて、聞きながら涙が出そうになった。

そして、持った夢を実現させていく店主さんの力に大きく感動したし、自分の薄っぺらさに落胆したりもした。
自分が誰かに何かを伝えるかだなんて、大人になっていくにつれそんなつまらない考えが頭を支配していて適当な理由をつけて色々ことを諦めていった。頑張らなくなった。

それも間違いではないし、生き方のひとつではあるけれど動いてみるを頑張ることもいいなと改めて思った。けど今この記事を書いている今も何もできていない。

いつかはこの店主さんみたいに、どんな逆境も乗り越えてやってみたいに向かっていけるだろうか。

お会計を終えて、外に出るとお店に入るときには付いていなかった灯りがともっていた。
“鳥取は雨が多くて、山陰なんて名前がついているけどそんな暗い名前吹き飛ばすような、心に灯りを灯せるようなお店になりたいってfaro(イタリア語で灯り)って名前つけたんだけど、最初つけ忘れてたよ〜笑”なんていうからこのお店が一段と大好きになった。

またいつか来た際には絶対に来ます。
そうやって別れて帰り道を歩いていた。

なんか、どこか違う国に行ってたみたいな…現実感ないね。と2人で話しながら帰った。

その日の夜はずっとこの気持ちを忘れないようにと話したことをつらつらメモに書き残した。

気が向けばつづく

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