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なんで、MATCHAに出資してくれたんですか? - 元Yahoo! JAPAN 執行役員 志立正嗣さん

月1回ほど株主のインタビューを行っています。第一回は元三菱商事副社長の田邊さん、第二回目は星野リゾートの星野さん。第三回目である今回は、元Yahoo! Japanの執行役員である志立さんです。

志立さんと知り合ったのは、今いる株主の中で一番早い。自分が大学2年生の時にTwitterでフォローしてもらったのをきっかけに、DMをしてお会いしていただきました。20歳か21歳の時です。

「男とデートするつもりはないよ」と断られながらも、「今度三軒茶屋で三茶会という立ち飲みの会があるから、良かったらそこに来てください」との誘いをもらいました。そこから自分の世界が大きく広がったのは言うまでもないです。

会社を作る前から相談にのってもらい、Yahooのオフィスに何度行ったかわからない。そんな志立さんが、Yahooを辞めたという知らせを聞きました。またとないタイミングだと思い、出資の経緯や、志立さんの今後の話を聞いてみました。


本業はフーテン

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ー 志立さん、簡単に自己紹介お願いします!

本業はフーテンです。英語で言うとVagabond。全国を放浪しながら、日雇労働をしてマドンナを探す旅をしています。基本は寅さんと同じ。副業でdipの社外取締役、顧問を4社ほどやっています。

インターネットに関わったのが1994年から。それから25年以上、インターネットを仕事のフィールドとしています。Yahoo知恵袋、Yahoo不動産を立ち上げ、検索事業の責任者を長く務めていました。

その後は、R&Dの責任者やIDCフロンティアの代表をし、YahooのCIO(最高情報責任者)を務めた後退社。軽井沢に移住して8年で、新幹線通勤のハシリです。三茶会や麻婆豆腐の会の会長もしています。


三茶会という場

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自分と志立さんが初めてお会いしたのは、三軒茶屋で開いていた会合でした。

ずっと南青山に住んでいて、子育てとともに三軒茶屋に住むことになりました。その時に三軒茶屋に縁がなかったので、人の広がりをつくるために、三茶会という立ち飲みでゆるく飲む会を始めました。

インターネットの業界を中心に面白い人が集まってましたね。偉そうな人は出ていってもらうし、そもそもそういった人がいない。今も年に1回など、定期的に開催しています。

青木さんとは、TwitterでDMをもらったのがきっかけでしたね。


起業家としての三大要素とは

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ー なんで、MATCHAに出資してくれたんですか?

インターネットメディアに長年携わっていますが、MATCHAは当時すごいニッチでした。インバウンドという言葉が、世に出ていない頃でしたから。普通の常識で考えたら、事業として成立しません。

ただ、狂ったことを真面目にやりたいというのに応援したいと思いました。そういうのを応援するために、エンジェル投資というものがある。

あとは、青木さんはしつこくて、厚かましくて、チャーミングというのもある。この3つを、起業家としての三大要素だと考えています。


もっと旅行者に寄り添ったほうがいい

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ー MATCHAに期待していることはなんでしょう。まだこれやれてないじゃんというのでも...。

前からずっと言っているけど、どこまでインバウンドの人に寄り添えているのかわからない。できているかもしれないけど、自分にはあまり伝わってきていないですね。

また、メディアとしてのMATCHAを考えた時、世界の人がほしいことを本当にできているかというとまだまだな感じがする。MATCHAが勝てるポイントはそこなんじゃないですかね。10倍課題解決ができたら、10倍稼ぐことができる。つまり、10倍課題解決しない限り、10倍儲からない。

今はウィルスの影響で、旅行者が止まっている状況。オペレーションをしながら大きな改善はしにくい。止まっているというのは、大チャンスでもあるんですよ。

ー ちなみに、アフターコロナはどう見ていますか?

旅行熱は間違いなく上がるでしょう。コロナのあとは、みんなウズウズしたものが大爆発する可能性がある。その爆発した時に、上質的な旅行体験を提供できるかどうかがMATCHAにとって重要です。

コロナのあと、どう訪日旅行ブームを一過性にしないようにするか。「日本の旅行は最高だ」と思ってもらうためには何が必要かをもっと考えたほうがいい。


3つの日本の課題に向き合いたい

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- Yahooを辞めたニュースは正直驚きました。Yahoo! JAPANを退社された今、志立さんが今後取り組んでいきたいことを教えてください。

3つあります。1つは有期雇用社員に対するサポート。

有期雇用社員(アルバイトや契約社員)って、ハイリスク、ローリターンなんですよね。給与水準もなかなか生活だけで精一杯。そういう状況の中で、家庭が作れるのだろうかという不安がある。この世の中が不安定な状況では、まず第一に仕事がなくなる可能性がある。

インターネットが日本中に広がって、格差が是正されているかというと、益々広がっているんです。どうしてもビジネスの観点から、こういった方へのサポートは蔑ろになっていた部分がある。

こういった方のためにできることは山程あるし、課題も沢山ある。ロボットでもできることをやらされている人も沢山いる。人間らしい課題解決はなにかに向き合っていきたいですね。


2つ目は女性の働き方のサポートです。今、ウーマンイノベーションという団体の顧問をやっています。今の世の中は、男性が女性の制限にフリーライドしてしまうところがある。具体的な提案としては、女性が育児休暇を取るのは当たり前だとして、男性も強制にするくらいにしないとダメ。構造上でイコールになるようにしないと。

最後は、地方に寄り添って仕事をしていくことです。地方が元気にならないと、日本が元気にならない。さきほどの有期雇用の格差の話と近いけれど、インターネットによって、むしろ格差が開いている状況にある。そのために、まず自分の足で日本全国を見て周りたいと思います。



最後に

気づいたら株主インタビューより、志立さんの今とこれからについての比重のほうが大きくなっていました。

本文では書いていないですが、「従業員としての幸せ」をどうつくるか?という話が印象的でした。決算書ではどれだけ売上が上がったか、利益がでたかはわかるけれど、従業員が幸せかはわからない、と。

働くことのあり方や生き方のあり方が変わり、会社としての透明性が求められていく中で、働く人の幸せをどう支えていくかも会社の役割です。

当たり前だけれど、働いている人が不幸せな会社よりも、働いている人が幸せな会社のほうがいい。結果として、それは読者かクライアントにも伝わっていくものだと思います。

志立さん、貴重な時間をありがとうございました。まずは生き延びながら、もっと旅行者に寄り添うようなサービスにすべく、頑張っていきます。

写真:@yansukim

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青木 優 | MATCHA Inc.
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