「青騎士」第18A号作品紹介 その①
「青騎士」第18A・B号は、2月20日に2冊同時発売!
18A号から、掲載作品紹介その①をお送りします。どうぞ!
萩埜まこと『窓辺のリノア』
まずは18A号の表紙を飾った『窓辺のリノア』から。扉絵では象さんといっしょに佇むリノアの姿に思わず心和みますが、本編はいたってシリアス。
舞台は時間軸を少し遡った1991年、フランスのテレビスタジオ。自身がてがけた物語がヒットしたことで、作者としてトークショーにゲスト出演することになったテオ。
あまり乗り気ではないものの、一度きりとの約束で出演することになったようです。
そして始まったトークショーの話題は、物語の主人公「ピート」について。
”人間のように話す、二足歩行の猫”という個性的な設定の主人公「ピート」は、どのように生まれたのか?たたみかけるように話すホスト。
創作の世界のキャラクターである「ピート」と、現実世界のテオと一緒に旅をしてきた相棒の姿が重なります。「ピート」とは、テオ自身が生み出した想像の産物だったようです。
話し続けるホストに、動揺を隠しきれなくなっていくテオ。そして…。
その後、舞台は前回の続き、1992年の10月へ。続々と明かされていく謎。テオとリノアはどうなっていくのでしょうか。
『窓辺のリノア』単行本第1巻が、18AB号と同日、2月20日に発売されました!
蔵本千夜 『Battle Scar』 ※読み切り
新人作家・蔵本千夜(くらもとかずや)先生による読み切りは、2022年2月ロシアのウクライナ侵攻をモチーフに、実在する一人のウクライナ兵の姿を描いた力作です。
日本でもお馴染みのニンジャヒーローに憧れる青年「シノビ」は、兵士としてハルキウ戦線へと赴きます。
「一人も傷つけさせねぇ 俺が守る!」そんなヒーローの言葉を胸に抱くシノビですが、戦場で次々に起きる悲劇は、シノビの心をたやすく打ち砕きます。
絶望に打ちのめされそうになるシノビですが、それでも1人の人間としてできることがあると、残酷な戦場で再び立ち上がります。
現在も難局が続くウクライナ情勢や、世界各地で起こっている紛争。私たちには何ができるのか。
実在の人物、「ボフダン”シノビ”」氏の協力を得て制作された本作。ぜひご一読ください。
鈴木りつ『ストーンフラワー』 ※新連載
「青騎士」4号での読み切りデビューを経て、ついに初連載がスタート!
親に先立ってこの世を去った子どもが、父母を想いながら石を積む場所とされる「賽の河原」が物語の鍵を握ります。
舞台は京都。主人公の「かな」は、若者のように見えますが、ある秘密を抱えています。
どうやら”不老不死”の存在として、時代を超えてこの世に留まり続けているようです。
そんな「かな」がふと河原で目にしたのは、「ロックバランシング」によって不思議な形に積まれた石の姿。
これまで、ただひたすら、無為に続けてきた石積みに、こんな様式があったとは。石積みに「喜び」や「楽しみ」という、これまでなかった価値を見出します。
「死に損なった」主人公と、「賽の河原」と「石積み」。これからどんな物語が繰り広げられるのでしょうか。ぜひ本誌でお楽しみください。
デビュー読み切り『全てが劣化する』は「青騎士」4号に掲載されています。
今回の作品紹介はここまで。輝ける、幾つもの、青き騎士たちへ。「青騎士」18A号をぜひお楽しみください!