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イメージを形にする力(パワー)

とあるお昼ごはんを作りました。
晩御飯とは違い、気張らずに実験感覚でカジュアルにできるのがランチ。
今回は、数日前に某ロックバーのマスターに教えてもらったヒントを元にしました。
鶏ハンバーグです。

某マスターに尋ねたのです。
僕「○○さんがハンバーグ作るとしたら、どうします?」
???「んー、まずは鶏肉。そして豚。牛はしつこくなるから使わん」
僕「ほぇー。そこから味付けはどうします?」
???「大葉やね。あるだけ刻んで入れたったらええ。ほんで胡麻。」
僕「つくねですやんw」
???「そう。タネが余ったら鍋もできる。いっぱい作って冷凍しとくんや」
僕「(´º∀º`)ファーw」

その日のインスピレーションは絶大でしたが、なかなか実行には移せませんでした。
ただ、時間とともに妄想は肥大化し、やがて全身を覆い隠さんとする勢いで僕の全身を駆け巡り続けたのです。
そしてイメージは熟成されていきました。
拙い僕の料理への解像度の中ですら、そのアイデアは猛烈に燃え盛る炎のように、天を目指して毎夜のように踊り狂っていたのです。
燻ることもなく。

ついに僕の体から外へ、イメージの炎が吹き出したきっかけとなったのは、何気ない息子の一言でした。
「なんか作って」
世の父親がいきなりこんな言葉を投げかけられたなら致命傷を負っても不思議ではありません。
しかし今日の僕には、狙わずとも差し替えしからリーサルまで持って行ける手札があったのです。
冷蔵庫には鶏挽肉と大葉、ゴマもある(多少賞味期限切れ)。
条件とイメージが絶妙な噛み合いを見せ、やる気のスイッチがへし折れるほどONになりました。

豚挽肉はないけど仕方ない。
おそらくこの戦力でも十分に戦える。
そう確信した時には既に体は動いていました。
決心とはこういうものです。
考えているうちは動けません。
思考が完全にまとまっているならば、体は勝手に動いて勝手に結果を出すのです。

まず大葉とニンニク(青森県産)をみじん切りにします。
ボールに鶏挽肉(多分250gくらい)を出し、材料を全部まぜまぜしていきます。
ゴマ、パン粉、塩コショウを少し。
既に香りが美味い。
成功を確信しました。
ハンバーグこねこねは、もう得意な気がしています。
空気を抜きながら整形するコツを覚えました。
息子のハンバーグ好きが父を成長させたのです。

タネができたらフライパンに並べます。
並べて蓋をしてから火をつけます。
超弱火にしてまず片面五分。
じっと待つのが楽しい時間です。
小さな火の中でゆっくり成長する鶏肉の姿は、大自然が生み出したファンタジーそのもの。
人によっては涙を抑えられないかも知れません。
五分経った頃には、換気扇では排出が追いつかないほど香ばしい匂いで部屋がいっぱいになっています。
優しくお肉をひっくり返してあげて、また蓋をして五分待ちます。
焼けた片面の焦げ具合も美しい。
どんな快晴の絶景とも勝負できるでしょう。

さらに五分が経過しました。
最後にもう一回ひっくり返して一分待ったら火を止めます。
この焼き方は牛と豚の時のものなので、もしかしたら鶏は違う焼き方の方が良いのかも知れません。
今の解像度ではここが限界です。
後日、答え合わせをすることにします。
とりあえず完成。

今回はレシピが全くない、妄想だけの状態で調理しました。
結果的に、めちゃめちゃ美味しくなってくれました。
お肉も柔らかく、大葉とゴマの香りも抜群に食欲を引き立てます。
細部をもう少し詰れば更に美味しくなるでしょう。
失敗だったと思う部分は特に見当たらなかったので、次までに良かった部分がもっと引き締まるように妄想を重ねます。
イメージトレーニング、大事。
僕は暗記ができない人なので、イメトレは生命線なのです。

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