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市民ファシリテーターの取組みを見に北海道恵庭市に行ったら目からウロコが落ちた件①

みなさん、こんにちは。淡路島在住のファシリテーター、青木マーキーです。僕は今、北海道の恵庭市に来ています。こちらで展開されている市民ファシリテーターの取り組みを見に来ているのですが、これがえらく面白い!ので、3日間のツアーの初日が終わったばかりですが、さっそくレポートしたく思います。
この企画はNPO法人きたのわさんが「市民ファシリテーターをはじめようガイドブック」を発刊したのをきっかけに「じゃあ現地にいって、北海道での市民ファシリテーターなるものの現場・現状を見せてもらおう!」と企画したものです。

土地の成り立ちを知る


関東・関西・長野・網走から集合したツアーメンバーはまずは千歳空港に集合。電車で恵庭駅を目指そう!となったらいきなり人身事故でJRが全面ストップというアクシデントからスタート。旅にイレギュラーはつきものです。恵庭で活動するクボさんに電話したところ「すぐにお迎えに行きますよ」と車を出してくれました。動きが軽い! 車に乗り込んですぐに配られた資料がコチラ

ガチの地学の資料からスタートです。現在の日本列島はユーラシアプレートと太平洋プレト、北米プレートなどのせめぎ合いの上に成り立っているが、実は1300万年前のプレート配置は、そのせめぎあいポイントが北海道にあったと。だから日高山脈ができたんだよ、というお話しからでした。そして比較的最近である4万年前の支笏カルデラの噴火によって、大量の火山灰が降ってきて、恵庭岳や樽前山といった火山も生まれ、今の地形に至る、と。僕が打合せでお願いしたのが「市民ファシリテーターは、それぞれの土地に根ざした活動だから、恵庭という町がどういう成り立ちや背景を持っているのかから学べるツアーにしたい」といった一言を受けてくださったのか、クボさんは土地の成り立ちからお話しを始めてくれました。

北海道がどのように成立してきたか?から始まる市民ファシリテーター視察

車は千歳市から恵庭市に向けてぐんぐんとスピードを上げます。北海道の道は走りやすくて、スピードも出やすいらしい。快調に飛ばしていると、自衛隊の装甲車とすれ違うことに。「千歳や恵庭には自衛隊の基地や駐屯地が多く、ゴールデンカムイに出てくる第七師団からの歴史を組んで、たくさんの隊員さんがいます」とのこと。そして、毎年5万人ほどが人口減少を続ける北海道において、千歳と恵庭だけが人口が増え続けていること、など、この町の背景を車内で教えてくれました。

恵庭のラーメン恵岳房。極太メンマもチャーシューもうまかった

まずは味噌ラーメン

やっぱり北海道といえば味噌ラーメンだよね、ということでまずは腹ごしらえ。クボさんが「ここは合わせ味噌のラーメンがオススメ」というので全員でそれを注文。白味噌と赤味噌がミックスされた絶妙なスープに舌鼓。「これはいいスタートだな」とつぶやいていたら、現地合流組のNPO法人きたのわの2名も到着。ようこそ北海道へ!とウエルカムしてくださり、私たちツアーメンバーのために作ってくれた「旅のしおり」ファイルを配ってくれました。行った先でいろんなパンフレット類をもらうのですが、これをまとめるのに大変重宝した。そして、こういう心遣いが、本当に嬉しい。さすが北の大地。ラーメンも人の心もあったかい。

しおりのなかに入れ込んでくれた北海道全179自治体マップがめちゃくちゃ面白い


これが恵庭か!

まずは恵庭の「はなふる」という施設から視察を開始。ここは2020年に設立した新しい施設で「花のまちづくり」を象徴する空間。道の駅と公園とスターバックスとホテルと巨大な直売所とRVパークが入った最強空間だ。キッチンガーデンやプレイグラウンド、グラベルガーデンなどどいったコンセプトの異なる庭園があちこちに広がっていて、「ここの庭は○○さんというガーデナーさんの設計で砂漠地帯などに生える植物がメインで植わっていっる」とか「はじめはこういうコンサルがここの設計に入ったが、恵庭市民がその設計はよくないと声をあげて、結局コンサルを変えるに至った」と、市民の熱い働きかけや関わりがあって出来た場所だと感じるお話しを聞いた。公園とかって、ふつう「あー、こんなんできたんだ」とできあがってから「もっとこうだといいのに」と思う市民はいても、できる段階にガンガンに意見をいってゆく歴史を持っているのは凄い。市民性が高いな、と感じた。

噴水を中心にひろがる広場はイベントがしやすい設計で1000人ぐらいのイベントは余裕でできそう
ホテルはマリオットがはいってる。空が広い。週末の産業フェスの準備中テント

直売所で野菜やら夜のおつまみやらを買い込んだ一行は恵庭のなかでも象徴的なエリア「恵み野」に案内いただく。図書館と公園が真ん中に配置された40年前のいわゆるニュータウンみたいな所。当時30-40代の方が一気にはいったので、いま80歳ぐらいの人が多いのだが、皆とても元気だという。そして、世代交代もうまくいっていて、その子どもたち世代が、いま恵庭のまちづくりの中心をになっていて,商店街をもりあげたりイベントしたりいている。「ここらでコーヒーでも飲みましょう」といって入ったお店が珈琲キャロット。ここで僕は衝撃の体験をする。

美味しい珈琲を心を込めて出してくれるキャロットさん。全国にファンがいるらしい

喫茶店での衝撃


お店のおねさんが「みなさん、どちらから?」と聞いてくれたので、私は長野から、僕は兵庫から、と話していると「クボさん、どんな集まりですか?」と。クボさんが「恵庭の市民ファシリテーターの取り組みを見に来てくださったんですよ」と話すとお姉さんが「あーー、そうですか。ファシリテーターは恵庭ではあたりまえですからねぇ」と。ええ!?そうなの?「はい、よくまちづくりの話し合いとかで、ファシリテーターの方がはいってくれてます」とのこと。そうか、恵庭ではもう当たり前で、喫茶店のお姉さんも認識するレベルか!と僕は大変驚いたし、うれしかった。

お店の前のガーデンエリアでおしゃべり。こういう道が何百メートルと続き、各自個性的に庭をつくる

クボさんいわく「ここの道は、みんなで譲り合ってセットバック気味に建物をたて、手前の私有地をガーデンエリアとして庭づくりして公道とうまくわけっていっる。行政がやると均一の植栽になるが、恵庭では自分の家の前をめいめいが工夫して庭づくりするので個性にあふれている」と。こういうまちづくりを40年かけてやってきた恵庭の歴史も感じる。その上での市民ファシリテーターか、うん、すごい。

恵み野地区の花マップ。個人宅のお庭も公開されていてルールを守って見させていただくことが可能

マップがないなら自分でつくる


配られたこのマップには、ところどころお花のマークがあって、そこは個人宅だけど、どうぞ見て下さい、というお庭の印。40年前、このニュータウンが出来たときに「今は何もないけれど、何か、このまちを魅力的にすることをしよう」と「花のまちづくり」をはじめた。それがだんだん根付いてきて、広がりを見せて行く。もちろん全住民が積極的に花のまちづくりに邁進するわけではないが、なかでも積極的に自分の庭を公開してもいいという方が表れ、当時、クボさんはその家をプロットしたマップを自作して配ったという。今は観光協会が正式に発行してくれているが、それを当時、自作してでも配ろうとした行動力が凄い。クボさん、何者なんだ?

そうこうするうちに一同はフレスポ恵み野という商業施設に案内いただく。フレスポは大和リースが全国に展開する商業施設だが、恵庭はひと味ちがう。クボさんたち地域で活動する方々と認定NPO法人まちづくりスポット恵み野を立ち上げて、花のまちづくり事業や、子育て支援事業や、コミュニティスクール事業、防災啓発事業や、フードバンク事業を展開しているのだ。今回、とくに印象的だったのはフードバンク事業。恵庭市は人口7万人ほどのまちだが、経済的に苦しくサポートが必要な世帯や外国から働きに来ていて充分な所得を得るのが難しい世帯の割合がけっこう多い。そんな方々にコミュニティフリッジ(地域の冷蔵庫)を解放して、寄付されたお米や野菜、食材や調味料を提供しようという取り組みだ。登録すればスマホをかざして解錠できる空間に入れて必要な食材を持ち帰ることができるこの仕組み。壁にサンクスボードがあったが、日本語以外の言語でもたくさん感謝の声が寄せられていた。きらびやかなショッピングモールのすぐわきに、こういう社会課題の解決に取り組むNPOがはいっているのは、僕は素晴らしいと思う。このNPOでは、見えにくい貧困問題をはじめ、様々な事業を展開しているが、そのいくつもで市民ファシリテーターの出番があるようだ。


初日の視察はここまで。北海道のうまい釜飯を夕飯に食した我々を待っていたのは、恵庭で市民ファシリテーターとして活動する面々やその方々を応援する人たちとの懇親会だった。僕はここで、さらに大きな衝撃を受けることになる。

ペンション貸し切りで開催された懇親会でトーク炸裂

最年少ファシリテーター登場


恵庭では市民ファシリテーターの講習会を毎年のように開催していて、今年で6期目になるそうだ。1期目を経験した人は2期の方の講座に補佐的に入り、次を育てる。講座の後半2回は現場での実践も入っているので、ファシリテーターとしての経験値を徐々にあげてゆく。3期を終えたところで、組織化をしようという話になって、ファシらさるチーム・アジトというグループが立ち上がった。現在、恵庭ではこのアジトが中心となって市民ファシリテーターが活動をしている。なんでも一番若いファシリテーターは小学校六年生のときに受講したコトちゃんという女子らしい。かねてからウワサを聞いていたので「できればコトちゃんにご挨拶したい」と打合せでお願いをしていたら、忙しい学校のテスト期間を抜け出して会いに来てくれた。きくと今は現役中学生で、あれこれファシリテーターの現場に立ち会って、大人たちの会議も進行しているらしい。すげえな! なんでもお母さんが市民ファシリテーターに関わっているのを横目で見て「私も参加してみたい」となったらしい。ちなみに彼女が通う学校の校長先生にかけあって「中学校でもファシリテーションやろうよ」提案し、了解され、学内で何人もうようよファシリテーターが育っているときいた。次来たら会わせてくれるかもって。なんとも心強い話である。

初日はこんなかんじ。これから始まる2日目は、市民ファシリテーターたちが展開するワークショップの現場を見させて頂く予定。というわけで、恵庭ツアーの速報でした。おかげさまで、とてもたくさん刺激をいただき、学んでいます!

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