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EBUNEが淡路島に漂着したら、こんなことになっていた。意味不明の儀式&カオスな空間

みなさん、こんにちは。淡路島在住のファシリテーター・青木マーキーです。ふだんは、家族会議から国際会議まで、あらゆる会議の進行を仕事にしています。実は僕、NPO法人淡路島アートセンターという団体の理事長もしています。アートで島を面白く、元気にしよう!という非営利団体ですね。僕が淡路島に引っ越して来たのが10年ほどまえ。そのとき、いち早く声をかけ、お友達になってくれた、やまぐちくにこさん(通称:淡路島を耕す女)に引き込まれて、瓦の音楽やら、五斗長ウォーキングミュージアムやら、洲本の狸のお祭やらを手伝っていたら、理事会でのじゃんけん大会に負けて、いつのまにか理事長を引きうけるハメになりました。

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↑帽子かぶっているのが淡路島アートセンター事務局長やまぐちくに。その隣が盟友・中田アユミ、後の黒い人が彫刻家の久保さん、いずれもアートセンターの愉快な仲間たちです。

一見まともそうだが、作品は異常な人

で、その、やまぐちくにこが「こんど、あるアーティストが展示の場所を探していて、マーキーの管理している津井の家・琴屋はどうかなと」といって、連れてきたのがKOURYOUさんです。ご挨拶すると、にこやかで、物腰やわらかく、穏やかな方。第一印象は「本当にアーティストなのかな? すごくまともそうな人なんだけど、、、?」という感じ。「これまでにこんな作品をつくってきていて、これがホームページで〜」と見せられた作品に、その第一印象は打ち砕かれる。なんだこれ? 尋常じゃないぞ? たくさんの人に親しんでほしいはずのホームページがガチで気持ち悪すぎる(失礼!) 

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お話しをうかがうと、アート仲間たちとEBUNEというプロジェクトをやっているらしい。瀬戸内国際芸術祭2019では女木島でも作品を発表なさったとのこと。その時の様子はこちらの方のnoteが分かりやすいと思う。

うん、なんか、古民家改造して、無茶苦茶やる集団なんだなと理解し、僕は覚悟を決めた。「どうぞ、琴屋を自由に使って下さい」と。

綿密なリサーチ

するとKOURYOUさんが次にやってきた時、EBUNEの仲間たちを何人かつれてきた。僕は妻といっしょに管理している古民家・琴屋を案内した。ずいぶん以前に僕のファシリテーター講座を受講してくれた伊藤允彦さんが、どうやらリサーチ担当らしい。淡路島に伝わる伝説やパワースポットやオカルトポイントをいくつも綿密に調べていて、舌を巻いた。リサーチ能力ある人って、すごい。なんでも地形オタクとのこと。

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↑どうやら今回の展示は、伊藤さんが物語の中枢を担う役目として動くらしい。そしてもう一人、若くて、ずっと作品つくってるっぽい女子がいた。田口薫さん。この2人が船長としてリーダーシップを発揮すると聞かされた。

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↑琴屋の庭で気持ちよさそうに絵を描く田口薫さん。ただ絵を描くだけでなく、そこに糸を縫い込んで複雑な世界をつくり、そのあと驚くことに、壁や床を彫刻刀で削りまくってピンクでカオスな空間をつくりあげた人。いつも楽しそうに作業しているのが、いい。

作り込みの一週間

津井の家・琴屋は、築百年の古民家だ。淡路島に伝統的に伝わる長屋門を備え、本葺きと呼ばれる重厚な瓦屋根の家。築百年の古民家をそのまま使いたくて、僕はあえて電気・ガス・水道を通さないで、井戸水と薪と炭をつかって生活できる空間にした。毎日ここで暮らすわけではない。子どもたちが野外遊びをしたり、友人たちとキャンプをしたり、野外でBBQを楽しんだりするための「遊び場」として使っている空間だ。夏の井戸水は冷たく、水のかけあいっこなどは、楽しい遊びだ。海も近いし、泳いで戻ってきて、ビールとプファーっとやるにはよき所。

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KOURYOUさんたちは当初「泊まり込みで作業がしたい」と言ったが、それはやめたほうがいいと僕は制止した。電気もガスも水道も通ってないので、不便だし、トイレは井戸水をくみあげて自分で流すという謎のセルフ水洗でかつ和式だし、とても都会の方々が長期滞在できるようには思えなかったからだ。近所の安い旅館を紹介したが「それでも琴屋で滞在して制作をしたい」という表明があったので、僕は、おそるおそるアーティスト集団に琴屋宿泊をOKした。はじめ、KOURYOUさんがお一人で来て、あの大きな琴屋に一泊した。一人で泊まると幽霊が出るという噂もあるような場所に、かわいらしい女性を一人泊めるのも気が引けたが、あいにく僕は出張中で一緒に泊まってあげられなかった。

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次の日からアーティスト仲間たちが何人か合流してくる。皆、黙々と作品をつくってゆく。意味不明な水色の物体。土の塊。アクリル板を削る音。石を集め、瓦をたたき、何かがカタチづくられてゆく。宅急便で、各地のアーティストから届けられる作品たちも加わり、どんどん琴屋が変容してゆくのを、僕は毎日、楽しく眺めた。あぁ、アート集団に宿泊してもらえるのって、面白いな。琴屋の新しい使い道を感じる時間だった。

高まる緊迫感と助け船

だんだんカタチは作られるものの、いっこうに全体像が掴めない。家のなかは意味不明の作品たちと作業途中の道具と廃材で、すでにカオスとなっていた。このときの写真はちょっとアップできない。

僕は10月24日(日)の午後3時に開催される体験ワークショップの最後にインタビューしてもらえるらしいので、伊藤さんと打合せをしようと思ったが「まだ空間が出来てない」と言われた。どうやら制作が押しているらしく、なかなか完成に近づかない。EBUNEの皆さんは、朝早く起きて、ろくに食事もとらず、夜中まで制作しているようだ。どうにも手が足りないようで、手先が不器用な僕も、少しだけのり付けを手伝ったりした。が、圧倒的にこういうのは苦手なので、あきらめた。

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代わりに手先が器用な小六の息子・草太を投入したところ、喜ばれた。息子はさっそく黒板にウエルカムの絵船を描き、室内にエヴァンゲリオンと使徒のバトルシーンを描き、土をこねてなにか人体の首模型のような異様なものを作った。KOURYOUさんは、息子の絵をよろこび、息子はますます創作意欲を増す。すぐれたアーティストは、すぐれたファシリテーターでもある。関わる人の創作意欲が発揮される場づくりができる人は、ステキだ。

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↑KOURYOUさんと息子のツーショット。黒板には彼が描いた絵船。

近所の瓦屋さんの娘で素晴らしいタイルをつくるイラカトの筒井都ちゃんや、アートセンターの久保さんもかけつけてくれて、一緒に手を動かしてくれた。琴屋でよく遊ぶ近所の気持ちのいい母ちゃんが、ゆとりっくのお風呂券をカンパしてくれたり、うちのかみさんがおにぎり握ってもっていったり、近所の瓦屋さんが水洗トイレを使わせくれたりもした。皆様、ご協力&ご助力、どうもありがとうございました。ありがたい助け船でした。

いよいよ開場

そして、2021年10月24日(日)の15時、ようやく開場の時を迎えた。淡路島のなかでも津井という不便な場所まで、路線バスを乗り継いだりして参加者が集まる。聞くと、千葉、東京、大阪、名古屋、徳島などから20名近い方が集まってきた。淡路島からも数名、アンテナの高い人が来る。僕は、この場所のホストとして、嬉しく思った。思えばコロナでしばらくお客さんをお迎えしてなかったんだな。

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スタートはチーム分け。3つのチームにわかれて、淡路島を見立てて作った作品たちを巡る旅に出発。参加者がサイコロを振ると、その目によって、旅する場所が選ばれる。えいっ!

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まず始めに出たのは「諭鶴羽山・先山」という淡路島の山々を巡るオブジェ。童歌を歌ったり、踊ったり、皆でしゃがんだりして、それぞれの場所で儀式が執りおこなわれてゆく。

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それぞれの作品に意味があり、ストーリーがあり、淡路島との関連性があり、オカルト・ジョークがあり。よくわからないまま、最後まで突っ走る感じ。

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そして最後に、ミステリー・ハンターの伊藤さんが僕にインタビューしてくれた。僕は、この古民家と出会った経緯や、琴屋をこれからどう活用していきたいかというイメージを語ったあと、瓦割りをして、EBUNEさまが出航していった。

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アートはよくわかんない

はっきりいって、意味不明だし、カオスだし、よくわかんないけど、この1週間、とても楽しかった。よく「アートはよくわかんない」と言われるが「よくわかんないけど、楽しいのがアート」なのかもしれない。こうやって、意味不明に色んな人が一緒に何かを創ることが出来て、一緒に楽しむことができるというのは、本当にステキなことだ。今、こういうことが求められているようにも思う。

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個人的に気に入った作品たちを、めいめい写真に収めて、三々五々解散となりました。

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この古民家を思う存分に使っていただいたこと、とても嬉しく思います。

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とりわけこの部屋↓の作り込みは尋常じゃなく、床や壁にほどこされた彫刻と、各地から集った作品たちの一体感が素晴らしかった。

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帰り際、ゆるゆると焚き火をしたり、コーヒー飲んだりして、おしゃべりして返る参加者の皆さん。いずれまた、どこかのEBUNE漂着地にて、会いましょう。

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※写真の一部をtok38さんのTwitterからお借りしました。tok38さん!ありがとうございました。


展示公開は限定2日間

追記:せっかく作成したアート作品たちを今日・明日と展示しています。2021年10月25日(月)と26日(火)の2日間。朝10時〜18時。住所:〒656-0341兵庫県南あわじ市津井1348 入場料:500円。詳細は以下のウエブをご覧ください。


カンパ歓迎です!

僕個人としては、今回EBUNEのみなさんに琴屋を使っていただいて、本当によかったなと思います。ぜひ今後とも、一緒に活動したいな。そして、これからも応援したいな、と。

お財布に少し、ゆとりのある方や、応援してあげてもいいなと思った方が、もしもいたら、カンパ歓迎です。EBUNEの皆さんは、お片付けを含めて木曜日まで滞在しています。滞在中の、食べ物やゆとりっくの入浴チケット(近所の温浴施設。琴屋にはお風呂がない)、現金カンパも、もちろん大歓迎です。

応援&ご寄付くださる方は、

ebune.drifters@gmail.com

まで、メッセージをおよせ下さい。

EBUNEのみなさん、ステキな時間をありがとう!

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