第16回 南のシナリオ大賞③
授賞式の会場は、福岡にある有名なホールの中の会議室だった。
受賞者三名が席につくと、
正面には「審査員」の先生方が四名、
それを見守る十数人の九州支部関係者の皆さま。
すでにこの時点で緊張メーターが上がって来た。
お二人の若い受賞者のかたは、泰然と落ち着いていらっしゃる。
落ち着きは年齢に関係ないものなのです、
トホホ。
ところで、
南のシナリオ大賞のホーム・ページには、
「最終選考ドキュメント」なる恐怖のレポートが最後に公開される。
審査通過時にも1次、2次審査のコメントが作品ごとに書かれていて、
その都度の経緯や変化なども感じられる。
非応募者の読み物としては最高に面白いし、
勉強になるなぁ、と思う。
しかし、応募した本人にとっては、
なかなかスパイシーなもので、
「クセになる」内容である。
実は受賞者控室でも、その話題が出ていた。
…と、いうわけで、
気分的にどんよりとしたものを抱えつつ、
「首を洗って御前に出ますんで、
袈裟懸けにバッサリやってください」
という覚悟で式に参加した。
シナリオについてのコメントをいただくお時間が来た。
「バッサリ、か⁈」
まったく想定外のご発言が頻出した。
(以下、審査員の皆さんの会話です)
「この女は子供を学校にやっていないでしょうね」
「いないでしょう」
「こういう場合、警察に行ってもダメですよね」
「おそらく児童相談所経由になりますね」
「黒い遺伝子っていう割には、この男は普通のいい青年です」
「子供を引き取ったら、彼はおそらく結婚は難しいんじゃないですか」
「そうだろうね」
「子供がかわいいんですよ」
「最初、なんで『トイレットペーパー』なんだろうって、思ったんですけど、この子はきっとそういうことまで自主的にしなければいけない、って環境にいたんですね。それを自分の500円で買ったんですね」
ここで、私に話がふられた。
「この子のもっていた500円は誰からもらったお金ですか?」
私「(しどろもどろ)あー、母親とか、その関係者とか、でしょうか」
「500円玉を渡されて、飯だとか、自分で何とかしろって感じですよね」
私「あ、たぶん、そんな感じ、でしょうか」
「彼は子供をひきとって、これからどうなるんでしょうかね?」
私「えー、あの、お、おそらく、お互い軋轢を経ながら、何とかうまくやっていこうとしていく…、だろうなぁと、思います(なんだ、この返事!!)」
その後、普通の授賞式があり、記念撮影があり……。
嵐の「南のシナリオ大賞」の授賞式は終わった。
内容的にツメの甘かった私は、作者なのに返答に大汗をかいた。
でも、あらためて心から感謝した。
ここまで丁寧に読んで審査して下さった、
それを感じたのです。
ほんとうにありがとうございました。
そして、南のシナリオ大賞に選んでいただけたこと、心から嬉しく、そして誇りに思います。
今年、いま、
ラストスパートをかけているみなさま!
これから書いてみようかな、
と考えているみなさま!
頑張って最後まで書き上げ、
納得のいく応募を目指してくださいね。
「南のシナリオ大賞」は
真剣に応募作品を読んで、
白熱の審査で応えて下さると思います。
ご健闘、祈っています!
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