ゲット・バック・ザ・○○ 『うあーパフォーマンスフェスティバルvol.3』レビュー/藤本悠里子(秋田市文化創造館)
2024年6月27(木)執筆者・藤本悠里子氏の正式なプロフィールを
追加いたしました。改めて、ご寄稿に感謝申し上げます。
まだ少し肌寒く、天気に恵まれた4月7日。秋田市文化創造館の1階に続々と人々が集まってくる。『うあーパフォーマンスフェスティバル』と題されたこの催しも第3回目となり、回が増すごとにその輪は大きくなっていた。初の全国複数会場での開催となった今回は、秋田・東京・大阪の参加者がオンラインを介して繋がり、おなじみ「うあー!」の掛け声で、それぞれのフェスティバルの幕が開く。
文化創造館を出て、千秋公園へつながる坂道を登っていく。列を成して、ぞろぞろと。空がひらけた二の丸広場で最初のパフォーマンスが始まる。「寄って寄って寄って」「散って散って散って」発された言葉に合わせて、集団が小さく、大きく広場の空間を占める。身体を物差しにして、空間を計測する。10分間を目処に場所を変えながらパフォーマンスが次々と行われる。踊り、歌い、奏で、そこに千秋公園の風景が重なる。公園ですれ違った人たちが声をかけてくれる。「こんな表現の機会に、この公園で出会えるなんて」そういえば、昨年Aokidさんを招聘し文化創造館で行なったワークショップでも似た言葉があった。「わたしの人生に踊りがあるなんて思ってなかった」。
出会い直し。つまり、取り戻していくこと。身体を、動きを、声を、言葉を、表現を。あるいは空間を、公園を、ストリートを、土地を、居場所を。踊りながら、歌いながら、語りながら、眠りながら、ブルーシートを被りながら、かつて私たちのもとにあったあれやこれやを。それぞれの実演によって、その力によって、上野公園も、大阪のストリートも、その身に取り戻されていく。
そういう行いを今、目の当たりにしていると思った。
藤本悠里子
秋田市文化創造館 コーディネーター
1994年京都市生まれ。京都造形芸術大学、秋田公立美術大学大学院にてキュレーション、アートマネジメントを学ぶ。2019年よりNPO法人アーツセンターあきたに勤め、秋田市文化創造館 開館準備/事業運営に関わる。企画制作した事業に「PARK-いきるとつくるのにわ」(秋田市、2022年-)、「200年をたがやす」美術分野 (秋田市、2021年)など。
◎藤本悠里子さんが『うあーを感じる作品』旭川市旭山動物園