
RAGとRIGとの組み合わせ グリとグラみたいな語感
生成AIの界隈は本当にものすごい速度で進歩しています。
生成AIで扱われているLLMの拡張機能として、RAGというものがありますが、先日Googleが発表した論文で、RIGというものもありました。
これらの違いや組み合わせた際のメリットなどについて、論文を参照しつつ 記録として残しておくことにします。
元の論文はこちら
https://arxiv.org/pdf/2409.13741
RIG(Retrieval Interleaved Generation)とは
RIGは、LLMがデータを取得すべきタイミングを学習し、回答の中にデータ取得用のクエリを埋め込む方法です。
仕組み
ユーザーの質問を受け取る
「この質問はData Commonsのデータが必要か?」を判断
自然言語でData Commonsへのクエリを生成
取得したデータを組み込んで回答を生成
メリット
✅ データが不要な質問にはLLMが通常の方法で回答し、必要な場合のみデータを取得する → 計算リソースを節約できる
✅ 取得したデータとLLMの生成データを並べて表示可能 → ファクトチェックしやすい
✅ 自然言語クエリを生成するため、Data CommonsのAPI仕様に依存しない
デメリット
❌ Data Commonsのデータカバー率が低いと効果が限定的
❌ 統計データのフォーマットが統一されていないと、データの扱いが難しくなる
Data Commonsとは
Googleが開発したオープンソースの統計データプラットフォームで、さまざまな公的機関やリサーチ機関が提供するデータを統合して、簡単にアクセスできるようにするプロジェクトです。
📌 簡単に言うと…
👉 世界中の「信頼できるデータ」をひとつのデータベースにまとめたもの。
👉 人口統計・経済・環境・健康などのデータを統一フォーマットで整理。
👉 自然言語(英語などの普通の文章)で検索できる。
すでに公開されていて、誰でもアクセスして利用できます。
開発者向けにAPIも提供されていて、統計データの取得、グラフ探索、SPARQLクエリ、ユーティリティなどの機能が使えるようです。
RAG(Retrieval Augmented Generation)とは
概要
RAGは、ユーザーの質問に関連するデータを事前に取得し、LLMのプロンプトに組み込むことで、より正確な回答を生成する 方法です。
仕組み
ユーザーの質問を受け取る
関連するデータをData Commonsから取得
取得したデータをプロンプトに追加
データを考慮した上でLLMが回答を生成
メリット
✅ 事前に統計データをプロンプトに含めるため、LLMの回答の信頼性が向上
✅ LLMが持っていないデータ(最新情報など)を補完できる
✅ 文脈を考慮した回答が可能(例:「CO2排出量の推移を考慮して結論を述べる」)
デメリット
❌ 取得したデータがプロンプトに入る分、コンテキストウィンドウを圧迫する
❌ Data Commonsのカバー率が低いと、適切なデータが取得できない
❌ データの量が多すぎると、不要な情報がLLMの回答に影響を与える可能性がある
RIGとRAGを併用するメリット
✅ どの質問にも柔軟に対応できる
RIGは「この質問にデータが必要か?」を判断するのに適している
RAGは「この質問に必要なデータを取得し、詳細な回答を作る」のに適している
→ 併用することで、どの質問にも対応可能になる。
✅ 2. LLMのリソースを最適化
RIGで不要なデータ取得を防ぐ
例:「好きな映画は?」にはData Commonsのデータは不要なので、通常のLLMの回答で済ませる
RAGで必要なデータをしっかり活用
例:「世界の平均寿命は?」にはData Commonsの統計データを適用する
→ 無駄なデータ取得を減らし、リソースを効率的に使える。
✅ 3. データの正確性とユーザー体験を向上
RIGで「この数値はData Commonsから取得しました」と明示
RAGで「関連するデータをすべて反映した回答」を生成
ユーザーが「データの出所が明確な回答」を得られる
→ データの信頼性が向上し、ユーザーがより納得しやすい回答になる。

所感
RIGについてはData Commonsという統計データプラットフォームの情報量や更新頻度に依存することになります。
GoogleMapのように世界中の情報が、最新の状態に常にアップデートされるのであれば、ぜひ試してみたい機能ではあります。
すでにAPIも公開されているので、時間が取れ次第API経由で動作確認してみたいと思います。
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