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『未生:第二部』邦訳版出版への道②TV放送10周年記念イベントと第13話について
メリークリスマス! 皆さんはサンタさんにどんなプレゼントをお願いされたでしょうか?
私はと言えば今年のクリスマス、こんな嬉しいニュースに出会い、これはサンタさんが私にくれたプレゼントに違いない! とニンマリしながらこの記事を書いております。
その嬉しいニュースとはこれ!
이건 못 참으니 단독으로 가져왔습니다.
— CGV 씨지비 (@CGV_KOREA) December 23, 2024
10년 만에 모인 미생 멤버들 비/하/인/드/컷(ㅠㅠ)♥ !!!
ㄴ 아니 근데 10년이 지났는데 이 사람들 늙지를 않아.. 또 나만 늙었지 pic.twitter.com/iEC79CUIsh
TVドラマ『未生(ミセン)』の放送10周年を記念した上映会イベントが、数日前に韓国の映画館(CGV龍山アイパークモール)で行われたそうです!!
このニュースは日本全国の『未生』ファンの皆様と分かち合わねば。と言うか、あれからもう10年経ったんですね。。時の過ぎる早さなんてことよりも、その後何度も見返してしまうドラマ『未生』の名作ぶり、色褪せなさにしみじみと感じ入ってしまう私です。
そもそも、放送から10年後にこんなイベントが行われるTVドラマ自体が珍しいと思うのですが、今回のイベントはさらに嬉しいことに、主要キャストが勢揃いしての舞台挨拶&トーク付き。
『未生』ファンの皆様、私の記事などは適当に読み飛ばし、ぜひ「ミセン ␣10周年」、「미생␣10주년」といったキーワードで検索して、イベントの様子を伝える記事、動画をチェックして下さい! 変わらず元気そうなワン・インターナショナルの面々を見ながら、幸せな気分になれることをお約束します。ちなみに私が見た中でイチオシは、今や主役級スターとなったピョン・ヨハンさんが舞台挨拶で放ったこの一言。
「こんばんは。ピョン・ヨハン役のハン・ソンニュルです」
逆だろ! なんて野暮なツッコミは今日だけはナシにしましょう。
笑わせるつもりだったかもしれないけど、泣けちゃうよ!*1
ありがとう、ハン・ソンニュル。
さて、ところで。
このスペシャルな上映会は1日だけだったとのことなのですが、全20話*2 あるシリーズドラマをどうやって上映したのかが気になるところ。トークイベントの内容によれば、演出(監督)のキム・ウォンソクさんが「出演者全員が輝いている回」ということで第13話を選び、キャストと観客が一緒に鑑賞した、ということでした。
ドラマを見た方なら、このチョイスは納得でしょう。「第13話」ではピンと来なくても、「オ次長が会社上層部に向けてプレゼンする回」と言えば、あるいは「ベッキがカン代理とサウナでバッタリ出会う回」と言えば、まだピンと来ない方でも、「オ次長がクリスマスカードを書いてチャン・グレに渡す回」とまで言えば、「うわあ、あの回!!」と反応していただけることと思います。
この第13話はドラマ『未生』の中でもハイライトの一つに間違いありませんが、原作マンガにおいてもこの場面は最高のハイライト。原作マンガでは第91~92手(話)にあたるのですが、10周年記念にちなんでこの場面、マンガの方でもほんの少しだけご紹介させてください。
年末。普段は忙しく、緊張した日々を送る大手商社ワン・インターナショナルの面々にも、束の間、クリスマスの穏やかな空気が訪れます。
本作の主人公チャン・グレもそんな雰囲気の中にいましたが、他の社員たちのこんなヒソヒソ話を耳にしました。
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「聞こえちゃうって」
聞こえなかったふりをするグレ。しかし普段は気にしないようにしている自身の契約社員という立場を自覚させられ、不意に寂しさが襲ってきます。
「ちょっと皆と仕事をしたからって、もう笑顔になろうとしてた自分が情けない」
そうやって孤独に自分を戒めることは、人生で挫折を経験した、グレなりの生きる術でもあるのでしょう。
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そんな、少し気落ちしたグレの姿を見かけたオ次長。
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この前後の繊細な流れは原作マンガでご確認いただくとしましょう。ここではもう少し先に進んで、グレがオ次長からもらったクリスマスカードを、屋上でそっと開く場面もご紹介しておきたいと思います。
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YES!
※「YES」を韓国語で言うと「グレ」!
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引用はここまでにしますが、いかがでしょうか。ドラマ版のあの独創的なシークエンス、屋上で開いたクリスマスカードが宙に舞い上がり、そのままグレの過去たちとリンクしていく、最高に映像的でドラマ的なあの表現は、原作マンガでもやはり非常にマンガ的としか言いようがない表現で描かれています。
そしてドラマを見た方なら覚えているでしょう。こんなTVドラマ本当に珍しいと思いますが、ここで重ねられるナレーションは、グレが朗読するボードレールの一篇の詩。
19世紀のフランスの詩をこんな形で入れてしまう、意表を突く大胆な演出ですが、何とここは原作マンガの第92話そのまま。
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「酔え」/『パリの憂鬱』
シャルル・ピエール・ボードレール、ユン・ヨンエ翻訳
(ミドゥム社 2008年)
そしてもう一つ、この第92手には驚くべき仕掛けがあります。
これは単行本では味わえない、オリジナル連載サイト(=WEBコミック)ならではの仕掛けなのですが、この回だけは唯一、ページを開くと次のような注意書きからマンガが始まります。
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何と、第92話は作者自らが選んだBGMが作品に添付。読者はオ次長のクリスマスカードと舞い上がるグレを、ボードレールの詩と、自動再生されるブラームスの交響曲と共に読んでいくことになります。
嘘だ! という方は、右上のスピーカーのマークを御覧ください。
直接確認したい方向けに、引用元のリンク先も貼っておきます。
(BGMが聞こえない場合は、スピーカーマークがONになっているか、又、再生デバイスのスピーカーがONになっているかをご確認下さい)
ドラマ『未生』も大変に攻めたドラマでしたが、この原作の大胆さはそれに勝るとも劣りません。そして以前の記事で書いた通り、原作マンガは、ドラマ放送終了後も「第二部」として10年間続けられ、今年2024年、遂にシリーズ完結を迎えました。
今回のミセン10周年記念の上映会には作者のユン・テホさんも登壇したのですが、第二部について、このように話しています。
ドラマから10年も経ったんですね。
(マンガの)『未生』シーズン2は今年の3月に終わりました。なので(ドラマ版)シーズン2を私の夢として願っておこうと思います。
※公式ではなさそうなのでリンク切れご容赦下さい
『未生』シーズン2、ドラマ化あるの!?
そうなったら当然、日本のミセンファンも大騒ぎですよね…??
そうしたら当然…、絶対……、マンガ『未生:シーズン2』も読みたいですよね………!!!!
自己紹介欄にも書いていますが、私がSNSを始めた最大の目標は、この『未生:シーズン2』の邦訳、出版を実現すること。
このnoteの発信で、原作マンガ『未生』に一人でも多く興味を持ってほしい、そして第二部は第一部*3 を超えて熱く、面白いことを知ってほしい!
それが私の全記事の趣旨と言っても過言ではないのです。。
まだまだ話したいことがありますので、『未生』についてはまた記事を書くとしましょう。
というわけで今回は、クリスマス、そしてドラマ『未生』放送10周年記念上映会にちなんで、マンガ『未生』の記事を書かせていただきました。
「サンタさん、今回の10周年記念上映会って、【シーズン2】ドラマ化の布石だよね!」
と、星空に向けてさらなるプレゼントをリクエストしつつ…。
メリークリスマス。
*1 他にもグッと来た出演者のお話。チャン・ベッキ役を演じたカン・ハヌルさんの「当時のベッキがかけていたメガネが今はなかなかないデザインで、苦労して探して買ってきました」という話と、キム・ドンシクを演じたキム・デミョンさんも「当時役作り用に買った時計を、今日は着けて来ました」という話。オ・サンシクを演じたイ・ソンミンさんの「(印象に残っているドラマ内のセリフは? という質問に対して)4話目、屋上でグレに言うセリフ、【俺たちは皆、未生だ】です」等々…。
*2 全20話は、オリジナルでの構成です。日本でのTV放送時は1話が短く区切られて放送されていたので、記事中での「全20話」、「第13話」が一致しない場合がありますことご注意下さい。
*3 第一部については邦訳版があり、ピッコマで読むことができます。