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2024年、韓国のマンガ賞(ほぼ)総ざらい

年末、皆様いかがお過ごしでしょうか? 12月ともなると各所で「総決算」という言葉に出くわしますが、今回の記事ではそんな総決算の時期らしく、2024年の間に発表された韓国の主要マンガ賞を振り返りながら、それぞれの受賞作品をご紹介していきたいと思います。
ちなみに、2023年以前については書肆喫茶moriさんのnoteがオススメ!

書肆喫茶moriさんの記事にならってこの記事でも、日本語訳が確認できた受賞作品についてはそのリンクを、未邦訳作品についてはオリジナル連載元のリンクを(原題表記部分に)貼っていきます。あくまで私の確認の範囲なので、間違い、漏れがありましたら教えていただけると嬉しいです。後日邦訳版が追加された場合も含め、リンク先について修正いたします。
そしてもちろん、未邦訳作品の翻訳出版に興味があるという出版関係の方もぜひご連絡下さい! 私も企画書を準備してお待ちしております。


★ワールドウェブトゥーンアワード(월드 웹툰 어워즈)

授賞日:2024年9月26日
主催:文化体育観光部、ソウル市
主管:韓国コンテンツ振興院、ソウル経済振興院

ワールドウェブトゥーンアワードとは
「ウェブトゥーン界のカンヌ映画祭」を標榜し、韓国政府が今年から始めたウェブトゥーン授賞式典。6月から一ヶ月間候補作をグローバルに公募し、その中から「アワード委員会」が計104作品を審査委員団に推薦。推薦作から最終的に、審査委員団が本賞作品、特別賞作品を選定する。

出典:「韓国で初めて開かれるグローバルWebtoonフェスとWorld Webtoon Awards
|Weekly TOON

※引用部分は筆者の要約、翻訳

何と言っても、「対象作品はwebtoonのみ」と限定しているのが特徴の賞と言えるでしょう。本賞は10作品、特別賞は3作品が選定されたのですが、ここではその中でも最高賞にあたる大賞受賞作と、審査委員長受賞作をご紹介します。

大賞『俺だけレベルアップな件』

あ、この作品については「紹介」だなんてとんでもない話ですね…。日本で、いや、世界で最も有名なWEBマンガの一つと言って間違いないでしょう。グローバル合計での閲覧数は累計143億回。日本でもピッコマで2019年から公開されていますが、4年経った今でもランキング上位に入り続け、電子コミック読者層、ウェブトゥーン読者層を拡大し続けているモンスター級のヒット作です。
未読の方がいらっしゃれば、百聞は一見に如かず。続きを読もうと読むまいと、プロローグだけでも一読されることをおすすめします(クエストウィンドウという表現の面白さ!)。

審査委員賞『ザ・グレート(仮)』※未邦訳

原題:더 그레이트 (KAKAO WEBTOON)

本作、まずはサムネイルを御覧ください。この凛々しい表情、人物たちの真っ直ぐな雰囲気。日本でもTVドラマが話題になった『梨泰院クラス*1』を彷彿とさせないでしょうか…?
と無理矢理つなげてみましたが、実はこの作品、原作を『梨泰院クラス』の作者グァンジンが担当。『梨泰院クラス』では個性的な若者たちが真っ直ぐに生きる姿が描かれましたが、本作の主人公は一人の母親。あとがきによれば、タイトルの「グレート」とは「一人の女性の普通の日常、その普通の偉大さ」とのことですから、『梨泰院クラス』の”熱さ”を知っている方なら、本作の魅力は半分以上は伝わったようなものですよね。
さらに本作の作画は、邦訳版も出ているバレエ漫画『ナビレラ*2』で知られるジミンが担当しているんです。『梨泰院クラス』x『ナビレラ』なんて、コンビとして強すぎないですか…。
審査員評は「読者の共感を呼ぶ温かいストーリー。それに合った優しい作画と演出が目立った作品」とのこと。
広い層に感動が届く作品ゆえでしょう、本作はwebtoonとして連載されたのですが、韓国では単行本も出版されました。日本語版はまだ出ていません。

★富川漫画大賞(부천만화대상)

授賞日:2024年10月3日
主催、主管:韓国漫画映像振興院

富川(プチョン)漫画大賞とは
国内外の漫画家創作の創作意欲を鼓舞し、漫画の出版を奨励するために2004年から始まった漫画賞。一年の間に単行本が出版された作品、またはインターネットで30回以上連載された作品を対象に、作品性と大衆性を兼ね備えた漫画を受賞作として選定する。

出典:2024 富川国際漫画大賞|BICOF公式HP
※引用部分は筆者の要約、翻訳

富川漫画大賞については先月の記事*3 でも少し触れましたが、受賞作品については詳しく書きませんでしたので、ここであらためて取り上げましょう(学術賞は割愛させていただきます)。
授賞式こそ10月に行われましたが、受賞作自体は7月の内に発表されていました。そこから人気投票があったり、フェスティバルの中で式典があったり、富川漫画大賞は他の漫画賞に比べると、よりじっくり、時間をかけて受賞作を盛り上げようという性質があるように見えますが、栄えある大賞はこの作品が受賞しました!

大賞『ジョンニョン(仮)』※未邦訳

原題:정년이 (Naver Webtoon)

タイトルの「ジョンニョン」は主人公の女の子の名前なのですが、本作は1950年代、朝鮮戦争直後の韓国を舞台にした時代物。
港町に生きる貧しい少女が、当時絶大な人気を誇った国劇団に入ることになり、その天性の歌声で自身の夢を叶えようと努力する、というのが大まかなストーリーなのですが、「国劇」という主題の新鮮さ、劇団で繰り広げられる人間模様、そしてマンガでは表現が難しそうな天性の歌声といった魅力要素の数々。私としては本作を思い切って、『はいからさんが通る』と『ガラスの仮面』、あと『BECK』と『BLUE GIANT』の韓国版! と紹介させていただきますが、今のところこれも未邦訳。時代物、かつ方言が魅力の作品なので、翻訳するにはチャレンジングな作品ということもあるのかもしれません。
ちなみにTVドラマ化はされており、『ジョンニョン:スター誕生』というタイトルでディズニープラスで10月から配信されています。ドラマの方からチェックしたい、国劇について知りたいという方には、私が更新をいつも楽しみにしている韓国語翻訳家、白夏香(ペク・ヒャンハ)さんのブログをオススメしておきます。

海外作品賞『天幕のジャードゥーガル』

海外作品賞は日本マンガが選ばれました。韓国マンガの魅力を発信したい私のnoteではサラッと紹介してしまいますが、『天幕のジャードゥーガル』、めちゃくちゃ面白いです。
13世紀のペルシャのお話で、主人公はモンゴル帝国の捕虜になってしまう少女。かわいくて丸っこい絵なのに、起きている事態はこの上なくシビア。勉強することが自らを助け、また過酷な運命に導くという展開も深いものがあります。
審査員評もご紹介しましょう。
「人々があまり知らないモンゴル史についての情報伝達と、作者の想像力による興味深いストーリー。古風ながら洗練された表現の絵柄が独特な作品」
リンク先から読めますので、未読の方は是非。

新人漫画賞『しない理由がない妊娠(仮)』※未邦訳

原題:안 할 이유가 없는 임신 (POSTYPE)

2030年の韓国。10年もの間不妊治療を続けた夫婦の前に、男性妊娠技術という選択肢が! 妊娠させようとする女と、させまいとする男のブラックコメディ。
『しない理由がない妊娠』は元々アニメ作品*4 として作られ、韓国では複数の映画祭で高い評価を受けたのですが、そのアニメ用コンテをWEBコミック用に描き直したのが本作。さらに作者はこれを単行本として出すためにクラウドファンディングも行い、見事成功させました。

ジョンヒョン「できるものなら、俺が代わりに妊娠したいよ」
ユジン「じゃあ、あんたがすればいいじゃんね。妊娠」

『しない理由がない妊娠』01. プロローグ

この会話だけで伝わる企画性の高さ。新人漫画賞の審査員評でも「新人作家だからこそできる挑戦と覇気でできた作品」と、作品の勢い、エネルギーが評価されています。

読者人気賞『1秒(仮)』※未邦訳

原題:1초 (Naver Webtoon)

審査員の評価とは関係なく、純粋に読者の人気投票だけで選ばれる読者人気賞。受賞したのは『1秒』という作品です。

救助率100%という伝説の消防官。彼には緊張すると未来が見えるという特殊能力があった! 一刻を争う本物の消防官たちの物語。

予知能力という部分はもちろんフィクションですが、火災現場や救助活動の描写のリアルさで、現役の消防官たちからも熱く支持されているという本作。私も今回10話目まで読んだのですが、フルカラーで描かれる炎や、現場の消防官たちの心理描写など、題材に負けない迫力を感じました。

そしてこれはWEBマンガならではの現象ですが、各話ごとのコメント欄には、作品を読んだ消防官のダイレクトなメッセージがたくさん。
「消防は上下関係が絶対なので、あんな行動したら懲戒です」といったツッコミもあれば、「一人でも多く救助できるよう、いつも準備ができている消防官になります。消防官のみなさん、頑張りましょう」といった心洗われるようなものもあり、読者人気賞にふさわしく、読者に見守られ、応援されている作品というのが伝わります。

★今日の私たちの漫画賞(오늘의 우리만화상)

授賞日:2024年11月3日
主催:文化体育観光部
主管:韓国漫画家協会

今日の私たちの漫画賞とは
1999年から始まった漫画賞。昨年9月から今年の8月までで20回以上の連載、又は単行本が出版された作品の中から、「私たちの漫画の今日」を代表する5作品を選定する。

出典:2024「今日の私たちの漫画」審査結果発表|韓国漫画家協会HP
※引用部分は筆者の要約、翻訳

毎回、最終的に選ばれる5作品は順不同というのも特徴。私にとって特別な漫画であるユン・テホの『未生』や、日本でも知られるチェ・ギュソク、カン・プルの作品も過去にこの賞を受賞しています。今年も多様な個性の5作品が選ばれました。

受賞作①『瓜二つの娘』

これも最初の数話しか読めておりませんが、「弟は母親が殺したのではないか?」という娘の疑念と、デジタルならではの不気味な表現で描かれる母親の顔だけでインパクト大。家庭では息詰まるプレシャーで伸び伸びと暮らせず、学校ではクラスメイトの嫌がらせやSNSに振り回される女子高生たちの姿は、今の10代に刺さる内容なんだろうなと、中年なりに本作と世相を結びつけて想像したりもしております。コメント欄を読むと、この先にすごいどんでん返しもあるそうな。『瓜二つの娘』という意味深なタイトルも気になります。

受賞作②『歌で私が殺される女ミュージシャン(仮)』※未邦訳

原題:부르다가 내가 죽을 여자뮤지션 (KAKAO WEBTOON)

今回紹介する作品の中で、一番紹介に困る怪作と言っておきましょう。サムネイル然り、タイトルも何のことか分からない独特なマンガ『歌で私が殺される女ミュージシャン』。
しかし作者のトゥルゲイッパル(=野良犬の牙、の意。作者名も何が何やら…)は10年前にも本賞を受賞した実力者。実際、1話目だけでも何度もプッと噴き出して笑ってしまう、読者を引き込む中毒性があります。

漫画のほとんどは白黒で、とめどないナレーションで語られるのは作者自身と思われる女性漫画家の苦悩。スラングや韓国文化の固有名詞が頻出するハイコンテクストな本作については、邦訳版がないのも納得するしかありません(だからこそ、分かる人にはものすごく面白いのですが)。
主人公の周囲の人物も、容赦のない編集者、トカゲ姿の彼氏、とんでもなく粗暴な女友達など色々なキャラクターが登場するのですが、メインストーリーは実は主人公(=作者?)と美形の女性ミュージシャンとのGL的展開。後半は何が現実で妄想なのか、何が作者自身の話でどこからが作り話なのか、境目を吹き飛ばすパワフルさで最終話まで突っ走ります。
どんな漫画か、伝わりましたでしょうか。。

受賞作③『セファに辿る道』

セファとは、主人公の女性の名前でもあり、彼女が尋ねるお寺の名前でもあります。本作は、このお寺で行われている葬儀から始まります。それは、セファが付き合っていた恋人の葬儀でした。
恋人の家族はセファに「ジェユンが死んだのはあなたのせいだと思ってるの」と言います。一体、セファとジェユンの間に何があったのか。ここではまだ明かされません。
その後、セファはこのお寺に通いながら、精進料理を食べ、寺に出入りする穏やかな面々たちに触れていきます。本作で描かれるのはそんなお寺の空気、料理や食べることの大切さ、自分と向き合う時間の積み重なり。
審査委員も「慰め、情、応援。休息のように現代人に必ず必要なものにも関わらず、外部からしか与えられない色々な力が、精進料理を作り、一緒に分け合って食べる人物たちの物語を通じて美味しそうに描かれた」と評価。
画風も読者を選ばない優しいタッチで、万人におすすめできる作品に思えます。

受賞作④『さまようことの疲れと楽しみ(仮)』※未邦訳

原題:헤매기의 피곤과 즐거움 (한사람연구소)

受賞した5作品の内、唯一の出版マンガ!
そして本作はクラウドファンディングを通じて刊行に漕ぎつけたという経緯もあり、個人的にかなり気になっている作品です。
クラファンページから、本作の一部を抜粋して引用しましょう。

「平穏だけが答えなの? カッコよく居たくない?」
「私たち、もう50じゃん」
「分かった。今から私は春期になる。思(四)春期じゃなくて、五春期。自分でなってみて、自分で卒業するんだ」

出典元:『さまよいの疲れと楽しみ』クラウドファンディング|tumblbug

五十になろうとする自身の衝動を「五春期」と認めたこの主人公は、その後中古のバスを買い、「ゲル」と名付け改造し、3年間のバス生活を続けることになるのですが…。
何と本作は、作者キム・ソンヒさんが実際に経験した3年間のバス生活の体験記。木工技術や溶接技術、1種大型車の運転技術から瞑想の技術まで、あらゆる技術を学びながら、ノマド生活に没入していく過程が描かれているそうです。
審査員評も見ておきましょう。
「作家と作品が一体となり、人とキャンピングカーが一体となり、そうしてさまよって生まれた体験談、かつ人生の説明書。世界で行動する存在として、人間だけでなく多様なものに注目しており、漫画ができることの地平を広げた作品」
作者のキム・ソンヒさんは非常に興味深い人物なので他にも書きたいことがあるのですが、今回はここまで。また別の機会に譲ります。

受賞作⑤『皇帝と女騎士』

本作も『俺レベ』同様、ウェブ小説を原作としたウェブトゥーン。
戦乱の時代、生き残るために強くなろうとする女騎士ポリアナと、アクレアの若き皇帝ルクソス。敵国同士の出会いから始まる二人の、友情とも恋愛とも言えるロマンスがドラマティックに描かれていきます。
誰も彼もが綺麗で麗しい少女漫画のような世界観かと思いきや、女騎士のポリアナが少年マンガの主人公のようなイイ奴で、良い意味で裏切られました。「女だ」という理由で理不尽な目に遭っても、平気な顔で負けないところもクール。
本作についてはこの受賞前から、日本でも人気の作品でしたよね。
12月21日現在、コミックナタリーが主催する「タテ読みマンガアワード」の【完結済み部門】作品にもノミネートされていて、12月23日の12時まで投票受付中だそうです。

★大韓民国コンテンツ大賞【漫画部門】(대한민국 콘텐츠 대상 만화부문)

授賞日:2024年12月11日
主催:文化体育観光部
主管:韓国コンテンツ振興院

大韓民国コンテンツ大賞とは
K-コンテンツで世界文化の流れを主導したコンテンツ産業の従事者に政府が授与する賞。今年で16回目を迎えた。
【アニメ】、【キャラクター】、【漫画】の3部門で5作品ずつが選定される。

出典:2024年、世界を舞台にK-コンテンツで輝いた関係者23名、優秀作品15個を選定
大韓民国政策ブリーフィングHP

※引用部分は筆者の要約、翻訳

早速ですが、受賞した5作品を見ていきます。
最高賞である大統領賞は、かつて日本の漫画雑誌でも日本語翻訳されて連載されていた、この作品が受賞しました。

大統領賞『熱血江湖』※未邦訳

原題:열혈강호 (kakaopage)

本作は2001年当時、新潮社から発行されていたマンガ雑誌『コミックバンチ』で連載されていたそうです。私は知らなかったのですが、当時すぐに打ち切りになってしまったそうですね。しかし韓国ではその後も連載が続いていました。
聯合ニュースの記事から、本作の紹介部分を抜粋します。

1994年、漫画雑誌「ヤングチャンプ」*5 の創刊とともに始まった『熱血江湖』は、新世代武侠マンガという文句で爆発的な人気を呼んだ作品だ。
斯波天魔神軍の弟子ハン・ビグァンと政派剣皇の孫娘チョン・ファリン、敵対する立場にいる二人の人物が、共に色々な事件を体験しながら成長するストーリーで、単行本だけで850万部が売れている。連載期間30年は韓国の漫画連載最長記録。

出典元:『熱血江湖』30年…。来年頭には本当に完結。OTTドラマにも
|聯合ニュース

リンク先の連載ページには最近の回から連載当初の回まで、30年分が全てアーカイブされていることに圧倒されてしまいますが(初めて『こち亀』の単行本が本棚に並んでいるのを見たときのような感覚!)、1話目を読んでみると懐かしくなるような、かつての少年ジャンプ的な世界観が全開。普段は全然頼りにならない、女の子を追いかけてばかりいる主人公が、本当は凄腕のヒーローで、イザとなるとズバッと解決。より具体的に言えば、めちゃくちゃ『シティハンター』っぽいです。
もちろん作者は日本のマンガを読んでいたと推察しますが、当時は韓国の「面白いマンガ」も、日本のマンガの面白さと近かったのでしょうか。結局、日本では2001年に打ち切られ、韓国ではその後20年以上連載が続けられたわけですが、2001年から現在に至るまでの日韓マンガの方向性の違いを知るヒントが本作にはあるような気がします。

文化体育観光部長官賞①『GARBAGE TIME』

本作は2023年度の「今日の私たちの漫画賞」も受賞しました。
韓国初の、韓国型高校スポーツwebtoon。2012年に釜山中央高等学校バスケ部であった実話を脚色して作られた作品です。
日本語訳が関西弁になっているのは、よく言われる「ソウルは日本でいうと東京、釜山は日本でいうと大阪」のイメージでしょうね。
バスケ漫画を読みたいという方はリンク先からどうぞ。

文化体育観光部長官賞②『マルはワンコ』※未邦訳

原題:마루는 강쥐 (Naver Webtoon)

うちのワンコのマルが人間になった。それも5歳の子どもに!
ワンコ+子どもの無限のエネルギーと好奇心を持った問題児ワンコが誕生! マル~! どこ行くの!! 愉快なお隣さんたちとのドタバタで楽しいマルの日常。
この作品も広い層におすすめできる面白さです。かわいさだけでなく、ギャグの緩急もバッチリの本作。韓国ではグッズ展開までされているのですが、日本ではまだ未邦訳のようです。

文化体育観光部長官賞③『ザ・グレート(仮)』※未邦訳

本記事の最初の方に書いた「ワールドウェブトゥーンアワード」でも審査委員賞を受賞。詳しくはそちらに書きましたので割愛します。

韓国コンテンツ振興院長賞『トマト、ナイフ、そしてキス(仮)』※未邦訳

原題:토마토, 나이프 그리고 입맞춤 (文学トンネ)

こちらも数少ない、出版漫画の受賞作品です!
まずは作者、アングラムさんの受賞に対する喜びのポストからご紹介しましょう。

2024年度大韓民国コンテンツ大賞で<トマト、ナイフそしてキス>が、コンテンツ振興院長賞を受賞しました。
色々と実験的だったこの作品で、こんな大きな賞をいただくことになり光栄です。全ては読んで下さった読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!

単行本の表紙や引用したイラストで、他の作品とは違う反応をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。表紙だけで買いたくなるような絵の強さ、漫画というよりはグラフィックノベルっぽいですよね。韓国にもこういう作品があるんです!
そういう私にとっても、西洋のグラフィックノベルさながらのフキダシにハングルのセリフがあるとやはり新鮮。漢字を使用しなくなった韓国語は本当にアルファベットみたいだなあと、ハングルまであらためて見るようになるから不思議です。

本作は、次の5つの短編によって構成されています。
「100Brix」、「真面目が嫌なヘジさん」、「恐竜の子ども」、「錆びた金と老いた龍」、「トマト、ナイフ、そしてキス」。
出版元である文学トンネのインスタでは、本作を次のような写真とフレーズで紹介していました。

耐えるために生まれたのではない存在たちへ
漫画家アングラムが送る5つのナイフ、そしてキス

本作も未邦訳! ではありますが、原書はチェッコリさんで買えるようですね。さすが!!

最後に

以上、欲張って4つもの漫画賞を取り上げたせいで、かなりの分量になってしまいました。。
受賞作品について私なりにご紹介しましたが、全作品、全話を読んだというわけではありませんのでその点ご容赦ください。
本記事が読者の皆様に興味を持っていただける内容になっていましたら幸いです。


*1.『梨泰院クラス』、ピッコマではローカライズされて『六本木クラス』というタイトルで公開中。
*2 『ナビレラ』もピッコマで読めます。
*3 詳しくは11月21日のnote、『富川国際漫画フェスティバル』と『やりたい』漫画展をお読み下さい。
*4 『しない理由がない妊娠』アニメ版はYoutubeで予告が公開中
*5 『ヤングチャンプ』はかつて韓国で月に2回発行されていた青年漫画雑誌。現在は『コミックチャンプ』として、隔週で発行されている。

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