いつか、きみと2-5
「え…」
建物の中は、わたしの部屋をもっと広くしたような作り…みたいだけれど、決定的に違うことは部屋中にたくさんの【荷物】が置かれている。
わたしと彼が出会ったときに、彼が持っていた荷物と似ているけれど、大きさはさまざまで小さな箱から大きな箱、細長い箱や丸い箱…。
「これを届ける仕事をしてます。
…だけど、最近は配達先が見つからないことが増えていて、どんどん増えていくんです」
どういうことなのか、聞き返そうとしたときに、さっきは床が見えていた場所に荷物が置いてあることに気づいた。
「!?」
「気づきましたか?」
声がでなくて、慌てて首を上下にふる。
「こうやって、荷物はどんどん増えていくんです」
わたしの部屋にも自動で荷物は届くけれど、そうじゃない。
なにもなかったところに、荷物が【あらわれた】
いろいろなことが自動化にはなったけれど、【無】から【有】を生み出すことなんてできない。
あくまでも、人間がプログラムしたことを機械が実行するだけ。
機械が意思を持つとか、感情を持つみたいな開発が進められた時代もあったみたいだけど、どんどんすたれていったとカリキュラムで読んだ。
だから、瞬間移動とか時間を越えるみたいなことができないのは、昔の昔から変わらないこと。
【魔法】なんてものも、想像の世界の作り話。
…なのに。
目の前で今起こっていることは、どういうことなのだろう。
自分の知っている限りの知識を、必死でかき集めているけれど、そのどれもヒントにすらなりそうになくて、途方に暮れそうになる。
「ほっといたら、この荷物は増え続けてしまうから、なんとか届けて数を減らしているんです」
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