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いつか、きみと・1-1

わたしのおばあちゃんのお母さんが、わたしと同じくらいの歳のときに、世界が大きく変化するような出来事があったらしい。

それまでの時代は、個人でそれぞれが【家】や【車】を保有することが、ステイタスだったみたい。

今は、国が管理している建物に多くの人が住んでいて、最低限の生活は保障されているからとても安心して生活ができている。

~♪

部屋にアラームのメロディが響く。
部屋は、単身者は1LDK、家族がいる人は家族の人数分の部屋がある家を用意してもらえる。

家族が増えたり、減ったりするたびに、部屋の移動はあるけれど、それが【当たり前】で、わたしは今はひとり暮らしをしているから、1LDKの部屋に住んでいる。

アラームで呼び出されて入口へ向かうと、ポストに小箱が置いてある。

生活に必要なものは、基本的には配給制。
それ以上に必要なものは、収入に応じて注文ができる。

ただ、配給制といっても、社会の授業で習ったような大昔の配給制度とはまったく違う。

食材は、新鮮な野菜や肉が届くし、自炊をしない人には毎日お弁当が届く。
お弁当もいろいろな種類からオーダーできるから、毎日頼んでも全然飽きない。

さっき届いた小箱を開ける。
昨日、手袋、ってものを注文してみた。

手袋をポケットに入れて、部屋を出た。
通路を歩きながら窓から外を眺める。

こっちの通路からは見渡す限り、似たような建物がズラリと並んでいる。
エレベーターで地下に降りると、ターミナルがあって間もなく電車が来る。

2つ目の駅で電車を降りて、エスカレーターで外に出た。

ちょっぴり冷たい風が頬を撫でていく。
でも陽の光は温かくて心地いい。

緑があふれる公園のベンチに座る【彼】の姿を見つけた。

「おはよ?」


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