いつか、きみと・1-6
そのおかげで、温暖化が進むことはなかったけれど、太陽が少しずつ離れていくことで、少しずつ冬が長くなっているらしい。
ただ、地球が毎日冬になる頃には、わたしの子どもの子どもの子どもくらいの時代になるのだろうか…?
「次のお休みには、また会える?」
「会いたいけど、まだわからないかも」
「…そっか」
「連絡するよ」
「うん」
下に向けた視線が、そのまま手袋を通過して、つま先にたどり着く。
「あんまり長く外にいたら、冷えちゃうね」
「大丈夫」
そういったのに、彼はわたしの右手をそっとつかむ。
「こんなに冷たくなってる」
「…いつも、そのくらい」
「そんなことないでしょ」
小さな子どもを諭すみたいにいう。
そういうのが、ちょっとくすぐったくて心地いい。
「うちに来てくれたらいいのに」
ちょっとだけ、口をとがらせながらいうと
「今度ね」
何度聞いたかわからない「今度」は、永遠に来ないんじゃないかと思ってしまう。
「じゃあ、おうちに連れてって」
「…今度ね」
困った笑顔。
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