農口尚彦氏が惚れた観音下には、美味しい地下水がある(追記あり)
人生初めての日本酒テイスティング
北陸新幹線の延伸にあわせ、新装された小松駅のお土産屋で購入したお酒との出会いから2か月後、このお酒のことをもっと知りたいと思い、醸造所に行くことにした。農口杜氏との出逢いは、その探求欲を深くし、私は観音下の水について調べて見たくなった。
一度飲めば、農口尚彦研究所に行きたくなる
妻へ、テイスティングのプレゼント
日本酒が好きな妻へのプレゼントに醸造所でのテイスティングを申し込んだ。公式ホームページの「杜庵」から予約ができる。1週間後、ようやくその日がやって来た。
テイスティングの前にギャラリーと醸造場の見学があり、農口さんの杜氏としての歴史を楽しく案内してもらえた。能登町生まれの農口氏は今も故郷に住んでおられるそうで、仕込みの時期である冬の期間は研究所に寝泊まりして仕事をしていると聞き、いつでもそばにいることが必要なんだと感心した。
茶室テイスティングルーム「杜庵」で最高のひと時
テイスティングルームは茶席にもなっており、正方形の小さな部屋である。ガラス越しには観音下の自然を眺めることができる。コの字のカウンターには盃とおつまみが私たちを待っていた。
まずは、仕込み水に使う 霊峰白山の伏流水をいただく。《後になってこれが「やわらぎ」だと知った。》この観音下で、こんなに柔らかくおいしい地下水がいただけるのは不思議な感じがした。自分が選んだ2種類のお酒は、しぼりたての新酒と有機米の作品。残りの3種類は定番の「山廃」仕込みの「美山錦」「愛山」「五百万石」。そしてそれぞれお酒に合うように選ばれた肴たち。なんともいえない贅沢な気分である。
いい気分になってると、農口尚彦さんがいきなり登場!
2~3種類目のお酒をいただいていると、なんの前ぶれもなく農口さんが登場。「お酒の批評をいただきたい、是非、このノートに感想を書いて欲しい。」とお願いされる。またどちらから来られたのかと聞かれ、名刺交換と簡単に自己紹介し、そのコメントもいただいた。本当に探求心と気遣いの人である、出会えて良かった感動である!
観音下の石が、おいしい地下水を生み出している!?
テイスティングが終わり、お土産のお酒を選び、外に出ると醸造所のすぐ向かいに、石切り場が眼に入る。また近くには尾小屋鉱山もあると観光マップに記載されている。自宅に戻ってから、気になって調べてみると、石の文化を広く浸透させ、加賀の経済を支えた地域であったことを知ることができた。そして、農口氏が新たな酒作りの場に決めたこの地には、「観音下石切り場の凝灰岩によって長い年月をかけて濾過された美味しい地下水がある。」という思いが強くなった。
【追記】観音下近郊の地下水について調べてみると
翌々日、もう少し水について色々調べてみたら、面白いことを見つけた。
小松市観音下町から北北東に直線距離で約8kmのところに、平成の名水100選「遣水観音山霊水」があり、下記の出典のように水質調査の結果、「電気伝導度、硬度共に非常に低く、著しい軟水であった。」と報告がある。
さらに調べていたら、まだあった!
もう一か所、農口尚彦研究所から南西に直線距離で7.3kmの場所に「観音水」という場所も見つけてしまった。