バルセロナ旅行に持っていくべき旅行本(旅行ガイドブック)
書店の本棚やAmazonを見ると、たくさんの旅行ガイドブックが並んでいる。
地球の歩き方、ことりっぷ、るるぶ…。
さまざまな出版社からコンセプトやターゲット層の異なるガイドブックが出版されているが、よく見ればどれも画一的である。
日本の旅行ガイドブックは紙面のほとんどが広告であり、あのホテルもあのレストランもお金を頂戴して掲載している。
そして、誰が泊まったのか食べたのか体験したのか写真を撮ったのかもよく分からず、主語がないままに紹介されている。
※大手出版社の旅行ガイドブックを否定しているわけではなく、わたしも一冊は必ず日本の出版社のガイドブックを持っていく。
最近、旅に持っていくべき旅行ガイドブックとは何か?について考えた。
それは「その道の専門家が書いた本」である。
『ガウディの伝言』
2019年5月、約2年半ぶりに訪れるスペイン。
そして、初めて訪問する地中海性気候の都市、バルセロナ。
わたしが持って行ったのは外尾悦郎氏の著書『ガウディの伝言』
バルセロナ観光といえば、サグラダファミリアやカサミラをはじめとするガウディ建築。
その中でも、2026年に完成を迎える予定のサグラダファミリアに訪問しない観光客はいないだろう。
外尾悦郎氏は、そのサグラダファミリアの石を彫った張本人、石工職人さんなのである。
生誕のファサードを彫った張本人。
主語のないガイドブックよりもよっぽど面白い!
なんせ、サグラダファミリアを作っている人そのものなのだから。
ガイドブックとは違う。
主語がある。
そして当然ながら、アントニ・ガウディという建築家を誰よりも理解し、誰よりもその歴史やバックグラウンドを知っている。
他の国の石工職人さんとの思い出話も臨場感がある。
(とりわけ、スペイン内戦で破壊されたロザリオの間に、ガウディの直弟子プーチさんと共に50年ぶりに入室する場面)
そして、これまた面白いのが、ガイドブックと違い、時計の針が止まってる点。
この『ガウディの伝言』が出版されたのは2006年。
10年以上前である。
巷のガイドブックであれば2017年版、2019年版と最新情報が更新されていくが、『ガウディの伝言』は2006年で時計の針を止めたまま。
例えば、書籍の中で、まるで石を打つように熱い想いを乗せた著者の言葉に、以下のような記述がある。
「完成した暁には、木漏れ日が射す森のようになる」
この書籍を出版した2006年当時、本の著者はまだ聖堂内部の完成を見ていない。
2006年から2019年へ。
この13年のギャップも楽しめる。
このギャップは、最新情報が常に更新されていくガイドブックでは得られない体験である。
『ガウディの伝言』を読んで現地へ行くのと、読まないで現地へ行くのとでは、雲泥の差がある。
2019年この夏、バルセロナへ行かれる方も多いだろう。
ぜひ、バルセロナの旅をより濃い思い出にしてほしい。
『ガウディの伝言』を読みこんで。