成長静止病(ショートショート)

「医学的には認められていないが、全く厄介な病気が見つかった」とL氏は助手に話した。
助手は「どんな病気が見つかったのですか」とL氏に質問を投げかける。
すると、L氏はタイピング検定を受けようと思い数年前からローマ字の早打ちに挑戦しているのだが、伸び悩んでいるという話をした。
助手はその話を聞くと、「その話と新種の病気と何の関係があるんですか」と言った。
l氏は頭を痒きながら、「わからないか。ある一定数成長すると、成長がとまってしまう病だと言うことだ」と声をあらげて言った。
助手はl氏の言葉にピンとこなかったのか口を開き唖然とした表情をみせた。
l氏は勘の悪い助手に呆れながら、詳しく説明をした。
「実は、キーボードを使ってローマ字を制限時間内になんぼ打てるかと言うゲームをしているのだが、ちょっと前から自己新記録を何度やっても更新することができない」
助手は、呆れながら、「勝手に病気だと判断しないでくださいただキーボードを正しく打てていないだけでしょ」と言った。
すると、l氏はむきになって、「キーボードの打ち方は、YouTubeをみて習得済みだぞ、全く失礼なやつだ」と言って激怒した。
助手はl氏をからかってしまったと思い「それは大変失礼しました」と言って謝った。
l氏も感情に身を任せてしまったと思い落ち着いて、「つまり、成長できてる気がしないということだ。こんな症状を抱えている人がいるのではないかと思い知り合いとかにも聞いてみた。すると、みんなそういう症状を経験していると聞いた」と言った。
助手はl氏の話を興味津々になって聞き要約すると、「つまり、成長がのみ悩んでしまい次の段階に行けないという事態が起きている人が多数いて、苦しいんでいるということですか」と言った。
l氏は深く頷いて、「そういうことだ…全く厄介な病だと思わないか」と言った。
助手は「そうですね症状を緩和できる薬はないのでしょうか」というと、l氏「今のところ症状を緩和できる薬はなく、成長できると信じ続けて頑張ることしかできないらしい……」と答えた。

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