遊び(ショートショート)

高校の入学を期に、一人暮らしを始めた。
そして、その頃から機械いじりに目覚め、現在に至る。
私、諫本光は、現在29歳になった。
収入はというと、危険物処理のバイトをおこなっている。
今日は、ちなみに出勤日、仕事へと向かう。
何気ない毎日だと思っていた。
あれが、スクランブル交差点の真ん中に落ちて来た時、私は、とてつもないことに巻き込まれてしまうのではないかという予感がした。
あれが墜落した時間、私は会社の入り口にあるロッカーに靴を入れていた。
どうせ、大量に仕掛けられた爆弾の分解、解体処理をやらされるのだろうと思っていたら、建物が、大きく揺れた。
なんだが、すごく立ちくらみがして、少し寝不足気味なのかなと気に留めていなかったが、会社の上司たちが、テレビをつけてと口々に言っては、騒いでいたので、私は先輩たちの跡をつけた。
テレビをつけるとそこに映ったのは、全長約30mのコンクリートで作られたと思われる立方体が、交差点の真ん中に突き刺さっていた。
その近くに落ちている茶封筒を拾ったリポーターは、中に入っていた手紙を朗読した。

危険物処理班の皆様へ、
私は、20年前、5兆六千万個の遠隔式爆弾を仕掛けたドクター、パンク、ボムです。
あなた方の頑張りで、半数以上の危険物は処理されました。
しかし、私は、怒ってはいません、なぜなら、考えを改めたからです。
私の優秀な機械のおかげで、地球の死期が早まっていることがわかりました。
私は最後の人類になりたかっただから、一斉に爆発させ、地球の心臓を破壊してしまおうとしましたが、そんなことは、私にはできませんでした。
だから、逆に地球を救おうと考え改め、地球の生命活動を永遠のものにするべく地球の心臓の位置になるスクランブル交差点の真ん中に生命活動維持装置を突き刺したのです。

というメッセージであった。
馬鹿馬鹿しい、もちろん撤去しに行くだろうと思って、身支度を整えていると、私の上司の、草壁弥生先輩が、「焦りすぎるな、あれがどういうものなのか調べてからでも遅くはない。念のため分析班をつれていく」と言った。
でもなんとなく私には悪い予感が、あった。
もしかすると、あれが、もし遠隔式巨大爆弾だった場合、処理しないといけないが、処理方法が未知でわからない。
つまり分析するのに時間がかかる。
爆発されるのが先か、処理をするのが先かになるはずだ。
現場につき分析を行うと、火薬物を積んでいないことから、爆発物ではないと、いう判断を分析班はした。
草壁弥生「いいか、俺たちは帰るおそらく害はない。むやみに処理をすれば、何が起こるか保証できないからなぁ」
諫本光「しかし、このままでは、交通の邪魔になってしまいます。」
草壁弥生「たしかに、そうだが、ちゃんと説明すれば、市民もわかってくれるはずだ。」
弥生の言葉には、不安に覆われた頼りない自信が混じっていた。
結局市民は、理解してくれなかったどころか、得体の知れない生命活動維持装置を、破壊しにいく者たちがあらわれた。
ドン、バン、ガーン、という鈍い音が、スクランブル交差点に響いていた。
私たち、危険物処理班に、手紙を送った愉快犯も、どこかで、この状況を見ていたのかまた、手紙を送ってきた。
今回は、道端に置いて来たのではなく郵送だ。
送り主の住所は書かれていない。我々の事務所の住所だけだ。
さっそく手紙を開封して、読んでみることにした。

爆発処理班の皆様へ
地球の死期が近づいていることが、明確となりました。
私は、表舞台に出る事はできないので、こうしてあなた方にメッセージを送ることにしました。
なんせ、あなたがたと私は、20年間共に遊んだ友達ではないですか。私の願いを聞いてくれるでしょう。
人間という生き物を、地球の生き物に作り替えるべきだと考えたのです。
私の理想は、すぐに現実のものにできました。
私の開発したガスが、あの装置に、入っています。
スイッチが、低俗人間に、押されガスが噴射されれば、大変なことが起こるでしょう。
せいぜい事態をしゅうそくさせることですね。
ドクター、パンク、ボムより

手紙を読み終えたわたしたちは、パンク、ボムに遊ばれていたのかと思いらくたんした。
草壁弥生「お前のいう通り、撤去しておけばよかった。」
諫本光「だから、言ったんです、早く事態が危険な方向にいかないように撤去しに行きましょう」
準備を整えて、現場に向かっていた道中、ニュースが入って来た。
スイッチが押されて、ガスが噴射したのだ。
地球の生き物に作り替えるという文の意味がわかった。
ガスを吸った人は、四足歩行になって、言葉を失い鳴くようになり、体毛が全身を覆った。
まるで、ゴリラのような姿になったのである
ドクター、パンク、ボムの遊びに付き合わされることになってしまった。我々隊員は、かつてない災難に巻き込まれた。

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