読書高等学校入江貴文編②

国岡先生と話し終えた入江貴文は、教室へともどった。
恵美先輩「なんの話してたの」
入江貴文「閻魔の星が落選したって」
恵美先輩「あっそう、残念だったね」
長嶋篠「閻魔の星ってなんですか。」
恵美先輩「篠は知らなくていいは、こいつが書いたくそ小説よ」
入江貴文「うん、そう俺が書いた意欲作だった。」
長嶋篠「へー、ジャンルはなんなんですか」
入江貴文「個人的には、SFだと思ってる。」
長嶋篠「ちょっと先輩読みたいです。原本ありますか。」
入江貴文「ちょっと今原本ないわぁ、もうすぐ本になるらしいから、待っといて」
長嶋篠「そうなんですね。たのしみです。」
恵美「この子の小説見てみてよ才能あると思うの」
恵美は入江貴文に、篠が書いた小説を渡した。
貴文は、真剣な表情で読み進めると、「うーん面白いんだけど、情景描写が苦手みたいだね」とぼそっと呟いた。
恵美はそういえば、そうだと思いはっと気がついた様子で頷く
すると国岡先生が、珍しくやってきた。
少し話を聞いていた国岡先生は、原稿用紙に目を通すと、「どういうところの情景描写が足らないんですか」と問いただした。
貴文は、「ここの、病院の待合室で喚き散らす子供を微笑ましく思う僕は、冷たい心を持ってしまった。というところです。なぜ主人公は冷たい心に執着しているんですか。」と指摘する。
すると、篠は「それは、読み手が創造することやろ、最後までそれがわからんってことは、解き明かされる時があるかもしれんってことや」と突っ込むが、貴文はいたって冷静である。
国岡先生は、そのことに気がつくとは、さすがこの部のキャプテンだという顔をして、感心した。
篠は、「どうしたら、冷たい心を持ってしまった主人公の心情を投影できるんでしょうか」と割って入って貴文に聞いた。
恵美先輩は、そんなことを聞くなんて台無しだよという顔をして「貴文、優しく新入部員に教えてやりなさいよ」と言って、どこかに行った。
貴文はため息をつくと、「あいつはあーゆうところがあるからなぁ」と呟く
篠は「恵美先輩はなんで、あんなにガッカリしてるんですかね」とポカンとしている。
すると、貴文は、「多分作家として、君のことが気に入ったんだと思うよ。だから何も考えずに物語を書いていたとわかった時の落胆が大きかったんじゃないかなぁ」と言った。
篠はそういうことかと納得すると、実は、主人公が冷たくなった理由は家庭環境が影響していると語り出した。
「実は、主人公は、とじなところが昔からあって治すことができず、悩んでいて、親にもあんたは何もできないとか黙ってた方がマシって言われたり、したことが原因で、自分という存在がわからなくなって、他人に対して冷たくなって関心がなくなってしまったんです。」
貴文は、篠の話を聞くと、深く頷いて、「病院の待合室で会った子供がなんで泣いてるか考えるようになったのは、彼自身に何か変化があったってことですね」と呟いた。
篠は気づいて欲しいかった部分を貴文に気づかれていたことに驚いて、「そうなんです。変化があるんですよ」と息巻いた。
貴文は嬉しそうに笑うと、「どうしたら、読者にいいたいことを伝える文章を書けるだな」とドヤ顔で言うと、書き方を丁寧に教えた。
その頃、恵美は、本屋で某ヤンキー漫画を読み漁っていると、立ち読みをやめて欲しい店長が絡んできた。
店長「すっすっすっ…すっみません、ここ本屋ですよ長居されたら困るんですよ」
恵美「ちょっとそうゆうのいいから、今いいところなの」
店長「だったら、購入して読んだらいいじゃないですか。」
恵美「私でも書けそうな漫画に金を払っていうんですか。」
店長「なんかすっごい闘志燃やしてますね、もしかして漫画家なんですか。」
恵美「漫画家じゃなくて、小説家目指してますけどぉ」
店長「えっ、えっ小説家のセリフじゃないよ、こんなの私でもかける漫画って漫画家目指している人のセリフだよ」
恵美「絵に感情が乗らないから、小説家目指してるんです。」
店長「えっ、なにそれ店長初耳よ、絵に感情を乗っけるの漫画ってのは、」
恵美「そうだよ、そう言うことも知らないの、」
店長「なんだ、歳上の人を馬鹿にした言い方はぁどこの高校だ。言いなさいすぐに連絡するから」
恵美「敵に言うわけないじゃん」
店長「だったら、その制服についてる校紋章の写真を撮って調べてやる」
恵美は店長の腕を引っ張って、自分のお尻に擦りつけると、大声を出した。
「キャァー痴漢、」
店長「お前なんてことを」
この現場にアルバイトが駆けつけた。
アルバイト「店長が痴漢なんて、とうとうやってしまったんですね」
店長「違う私は冤罪だ」
アルバイト「この状況で、あなたが嘘をついてるか判断が難しい、詳しく警察で話した方が良いのではないですか」
店長「それもそうだなぁ」
恵美は、店長とアルバイトが話をしている隙に、本屋を逃げ出すことに成功して、読書部へともどった。






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