20歳の再会

「まさか、成人式の後に長堀千聖の家に集まることになるなんて思いもしなかった」
今年めでたく成人を迎えたぼくは、中学校時代の友人に久しぶりに出会って、あの頃みたいに遊ぶことになり、会場から近い長堀の家にお邪魔することになった。
僕はドアを開けて、家の中に入った。
僕「お邪魔します」
ゆうご「おぅ、やっときたか」
「千聖は」
ゆうご「買い出しに行ってるけど、お前長堀のことまだ好きなのか」
僕「振られたんだし、そのことはいいだろ」
ゆうご「悪い傷口に塩だったな」
ガチャ
千聖「ただいま〜」
ゆうご「おかえりー、紅茶買ってきてくれた」
千聖「あっうん、お酒もあるんだけど、」
ゆうご「ごめん俺、お酒苦手なんだよね」
千聖は、僕の方を見て、「お酒飲める」って聞いてきた。
僕「飲めるよ」
千聖「よかった、どれがいい」
僕「これにしよっかなぁ」
ぼくは、缶ビールを選んだ。
そして、僕と千聖は、お酒を飲みながら、中学時代の思い出をかたった。
ゆうご「へー、実はお互い小学生から知ってたんだ」
僕「まぁね」
千聖「あの頃はさぁ、勉強教えてもらったり、いろいろあったけ」
僕「そんなこともあったな」
ゆうご「えっ、仲がよかったんだ」
僕「だけど、振られてしまった」
ゆうご「なんで振ったんだよ、いい男だぞこいつ」
千聖「だって、顔が好みじゃなかったんだもん」
ゆうご「なら、しゃーないな」
僕「………」
千聖「でも、でも今はねいいかなぁって、おもってるよ」
ゆうご「おいおい、チャンス到来か」
僕「そんなにはやしたてるなって」
千聖「満更でもないみたいじゃない」
僕「……あの時はダメで、なんで今ならいけるの」
ゆうご「そこ聞いちゃうかお前はほんとデリカシーがないなぁ」
千聖「あの時はさぁ、早くに結論付けるのが嫌だったし、私はいつか有名人と結婚できると思ってたしさぁ」
僕「へー」
ゆうご「誰々、だれと結婚したかったの」
僕「それ、気になるなぁ〜」
千聖「……」
ゆうご「当てるから名前出さないで」
千聖「芸術的で、歌が上手い人」
僕「そういう人が好みなのか、顔関係ないやん」
ゆうご「たしかに顔関係ないけどイケメンなんやろうな」
千聖「うん、とってもイケメン」
僕「あぁ、そう」
僕は気分が落ち込んだので、インスタを開いて、ショートムービーを見始めた。
ゆうご「おいおい、」
千聖「ほんと、すぐ不貞腐れるところ、あの時から何も変わってないね」
僕「う…うるさい」
ゆうご「たしかに顔が悪いかもしれんが、今なら付き合えるって言ってくれてるんだぞ」
千聖「せっかく誘ってあげてるのにもったいないことするのね」
ぼくは違和感を感じていたなぜなら、ぼくが知っている長堀千聖とかけ離れていたからだ。
ゆうご「そうだもったいないぞ」
僕「………」
ゆうご「何ボッーっとしてるんだよ」
僕「ごめん、僕で良かったら、付き合ってください」
千聖「はい」
ゆうご「はじめっから、そう言えばよかったんだよまったく、羨ましいなぁ」
僕と千聖は、付き合うことになり、数日後のことだ。
千聖「もしもし、声優ライブのチケットが当たったのよ」
僕「えっ…」
千聖「だから、声優ライブのチケットが2枚当たったから、一緒に行こう」
僕「声優あんまり詳しくないんだけど、どの人のライブに行くの」
千聖「恐れ多くて名前は言えないんだけど、腐女子界隈では、とろけちゃうようないい声のキング様って呼ばれてるの」
僕「へー、」
千聖「何乗り気じゃないわね行きたくないの」
僕「千聖、声優とか興味なかったのに変わったなと思ってさぁ」
千聖「中学の時と同じだと思わないで、何も変わってないあんたの方が、異常なんだからさ」
僕「えっ……」
僕は、彼女が発した言葉に傷ついて、呆然として、口をあんぐりと開けってしまいみっともない立ち姿となっていた。
















#2000字のドラマ

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