夫は家の中でカニ歩きをしています② ー国際恋愛の始まり
第1弾を呼んでいただいた方からすると「じゃあ、なんでそんな人と結婚したの?わかってたんじゃないの?」ということになると思うんです。
確かに、私がもともと彼の近くにいて、彼を観察している一人であれば、彼に好意を持つことはなかったと思います。申し訳ないですが。
でも、幸か不幸か、私たちは最初から遠距離恋愛だったんです。彼の実態を知らないまま付き合い始め、そのまま彼本体を愛してしまったんです。
このシリーズでは、家の中でカニ歩きをしている夫と暮らす日々について語っていきます。第1弾をお読みでない方はぜひこちらからどうぞ。
私たちの出会い
私たちが出会ったのは、ほぼ10年前です。場所は私が飛行機の乗り継ぎのついでにふらっと立ち寄ったシアトル。そう、彼はアメリカ人なんです。
きっかけは友達の友達の友達が主催したムービーナイト。まぁよくある話です。
でも、正直に言って、顔も体型も好みではなく、万が一にも外国人と付き合うことがあっても、この人じゃないな、とジャッジしていました。(ごめんね、夫さん。)
でも、この人”普通の人”とはちょっと違う、とは思いませんでした。
彼は、公共の場で友人にハグをし、見ず知らずの私とポップコーンをシェアしていました。一般的なアメリカ人の行動でした。あまりにも典型的すぎて感動を覚えたほどです。
これは症状がほぼ出ていない時期だったようです。今、強迫性障害の症状を発症している彼にはこれらのことはできません。
日本に帰国後
彼は1か月に1回くらいは「どうしてる?」とメールをくれました。
私としては、そんなに興味がある男性でもないし、付き合ったり結婚したりするのは日本人が良いし、アメリカ人だし、まぁつまりはあまり気があるように思われてはいけない、という意識から、申し訳程度に返信をしていました。(やっぱりごめんね、夫さん。)
そんな日々が数年続いたある時、たまたま彼とメール上で、ある話題で盛り上がり、流れでそのまま付き合っている人はいるか、などのコイバナに発展しました。
ちなみに、私も彼もそれまでお付き合いした人はいませんでした。私のことはいったん棚に上げさせてくださいね。
でも、彼について言えば、当時30代後半、そこそこ収入もいいはずの名の知れた企業に勤めており、まあ格好は若干ダサいが、浪費癖もなさそうで、家族思い、出会いもある。それなのに付き合った経験がない。絶対に何かある、地雷案件ですよね…。
ある日、メールが来るんです
そんなコイバナをした約半年後、いつものように彼からメールが来たんです。
開いてみると、
"Would you go out with me?" (付き合ってくれませんか?)
の文字。悩みに悩みました。
今まで彼本人に興味を持ったことがなかったからです。そして、遠距離恋愛かつ国際恋愛。どうしたものか。
悩んではいましたが、彼のことを知らないまま、お付き合いを拒否するのはなんか違う、という思いもありました。彼との関係を作らない理由として、遠距離というのはただの物理的な理由なので、妥当だとは思えなかったんです。
付き合うことについて何通かメールのやり取りをしました。物理的な距離についてどう考えているのか、言語の問題にどう対処できるだろうか、お互いに個人的なことを全く知らないが大丈夫だろうか、といったことについてです。
少しずつ強迫行動が始まっていたようですが、この時点では彼は強迫性障害については明かしませんでした。
日本とアメリカの距離では素の彼を観察することはできません。彼の友人や家族とのコネクションもありませんから、外部情報も得られません。彼との個人的なメールの文面から強迫症状について知ることは不可能です。
結果、私は強迫性障害、というファクターを考えることなく、結論を出すことになりました。
私は、お試しお付き合いをしてみる、でどうでしょうか?と提案しました。真剣に向き合ってみて、結果をちゃんと出そう、と思ったんですね。付き合ってみてダメだったら、お友達に戻りましょう、フィーリングが合えばラッキーだね、という風に。
今思えば
症状が出始めていたのに伝えてくれなかったのはずるいなぁ、と思います。もちろん、彼はわざと隠そうとしたわけではないんですけどね。
それに、考えれば方法はありますよ。私たちが出会ったムービーナイトを主催した共通の友達に連絡をするとか。でも、彼らとも連絡をしばしば取り合っていたわけではなかったし、そこまではしなかったんだよなぁ。
今日のところはここまで。これからどのように、この人なんか違う、と気づいていくんでしょうか…?
(2021/03/09 タイトル変更、加筆・修正しました。)
(2021/04/07 大幅修正しました。)