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心をつなぐ場所~洋裁サークルを通して見つけた共感と調和の力

地域の生涯学習として立ち上げた洋裁サークルは、今年で14年になる。

私の洋裁講師としての原点であり、かけがえのない宝物と言える。
メンバーは、12名。それぞれに個性豊かで、異なる人生経験を持っている。洋裁という共通の趣味を通して、互いを尊重し、協力し合いながら、心地よい空間を作り上げてきた。

当初は簡単な小物作りから始まったが、今では皆それぞれにオリジナルの洋服を仕立てるまでになった。
月に一度3時間の講座だが、14年経った今も、みんな楽しみに出かけてくる。

その成長過程には、様々な困難もあった。コロナ禍による活動自粛、またメンバー不足に陥ったときもあった。しかし、そんな逆境を乗り越え、サークルを存続させることができたのは、メンバー一人ひとりの温かい支えがあったからこそ、だ。

メンバー集め

数年経つと、それぞれの生活環境も変わる。
退会には様々な理由があるが、家庭の事情などで続けたくても続けられずにやむなくやめていった人たちも多くいた。一時は深刻なメンバー不足に苦しんだ。
メンバーの減少は会の運営に直結する大問題だ。
会場費、備品の購入、また講師への謝礼(つまり私への講師代料)など、がある。厳しい財源でのやりくりは、講師としても申し訳なく、心苦しい気持ちでもあった。

地域住民へのチラシ配布や、カルチャーセンターでの体験会開催など、様々な方法を試みたが、なかなか思うように参加者が増えなかった。
しかし、サークル運営において、最も重要なのは、頭数ではなく、会の雰囲気である。
特に、メンバー同士の衝突、例えば、些細な意見の違いから言い争いになったり、作品を巡って揉めたりするようなトラブルは絶対に避けたいと考えていた。

そのため、サークルメンバーは誰でも入れるのではなく、それぞれの知人や友人など、ある程度の人物紹介を経た人だけを受け入れるようにした。これは、メンバー同士の共通点や価値観をある程度共有することで、摩擦を減らすことを目的とした。

幸いにも、この方針のおかげで、徐々にメンバーを増やし、また、サークル内で大きなトラブルが発生することもなかった。
メンバー同士は互いを尊重し、協力し合いながら、常に和気あいあいとした雰囲気で活動することができている。
共通の知り合いを通して集まることで、最初からお互いに親近感を持つことができた。たとえ、意見が食い違うことがあっても、それぞれ配慮することで、穏便に解決してきた。今でも十分とは言えない少ない人数ではあるが、なんとか運営することができている。

そしてコロナ禍

順調に活動していたサークルにも、コロナ禍の影が忍び寄る。
集まることすら許されない時期が長く続き、サークルは閉鎖され、メンバーとの交流も途絶えた。
しかし、そんな中でも、いつかきっとまた以前のように洋裁を楽しむ日は来ると信じて、サークル再開の日を心待ちにしていた。

そして約1年後、ついにサークルを再開することができた。
久しぶりにみんなで集まり、それぞれに思い思いの作品を作り上げた。その時、人と共に何かを作り上げることの喜びを、改めて感じた。

この14年で、生活環境も大きく変化し、メンバーそれぞれも歳を重ね、体力面で不安を感じることも増えた。
しかし、そんな中でも、サークルに参加することで得られる充実感や喜びは格別だ。
ミシンを前に、黙々と作業に集中する時間は、日々の喧騒を忘れさせてくれるかけがえのない時間である。また、完成した作品を身に着けた時の達成感は、何物にも代え難い。

サークルは単なる洋裁教室ではなく、互いを支え合い、成長し合えるかけがえのない居場所だ。
ここで過ごす時間は、それぞれの心を豊かにし、人生に彩りを与えてくれる。

集まれる場所の尊さ、参加する喜び、これこそが、楽しく生きる秘訣の一つではないだろうか。
これからもこのサークルを大切に育てていきたいと思う。そして、洋裁を通して多くの人々に喜びを分かち合っていきたい。

きっとまた、これからも楽しく生きるヒントを与えてくれる場所であり続けるだろう。

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