800字日記/20221020thu/102「そうじのルーティン」
目覚める。十時。からだが汗ばんでいる。耳元ではネコの声が甘く鳴く。ネコにカリカリをあげる。ベランダにでる。完璧な秋晴れだ。ふとんを干してせんたっきをまわす。
部屋のそうじをする。カーテンをレールにひっかけて、邪魔なものは押し入れに入れる。床に散らかったスリッパ、和室にあるせんぷうき、ネコじゃらし、目覚ましどけい、読書用メガネ、本などだ。洋間の机やソファのイスに、藁(わら)でできたネコハウス、ネコが隠れる段ボール箱、ブランケットをのせる。天窓にこまごまとしたものをのせる。ダイニングとキッチンとの間仕切りを外して浴室側に立てかける。
腹が鳴って冷蔵庫を開けると納豆しかない。朝食の米を研ぐ。ネコもご飯を食べる。炊飯ジャーにスイッチを入れる。ネコはキッチン横にあるトイレでおしっこ。いつもこのタイミングだ。ウンチはぼくと遊んで腸がうごいた後にする。
キッチンに立ったままネコの器をふたつ洗って、シンクまわりもひと擦りする。
それから箒(ほうき)をもって押し入れの奥からベランダへ塵(ちり)を掃(は)わきだしていく。大分では「掃く」を「掃わく」という。京都で寺男をやっていたころ、掃きそうじは畳の目に沿って掃くのだと学んだが。だれかにみられていないとそんなもの気にしない。それでも畳と畳の溝はよく掃わきだす。
そうじが始まるとネコは決まってはしって動きまわる。今日はせんべい布団をロッククライミング。パシャリ。
二十畳になった部屋のぜんたいを見まわす。春に東京にひっこす予定だが、おなじ二万五千円の家賃でこの環境はないだろう。ため息をもらす。師匠の元を去らなかったら東京の裏浅草に下宿の予定だった。モシの話はやめだ。
洋間のホコリをベランダに掃わきだすと、こんどは北側のドアを開けて廊下へと掃わきだしていく。
十分で終わる。押し入れやイスや天窓からものを床や畳に配置して、畳にあぐらをかいてネコと遊んでいると、せんたっきと、ジャーが鳴った。
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