800字日記/20221109wed/123「夜のサイクリング」
一昨日のこと。起きて天候は晴れていたが調子がわるく机に座って筆は進まず。日記に切り替えたがエッセイっぽい講釈を書いていた。良くない。がUP。
家事や掃除を終えてロードバイクで出かける。財布に八百円。なんとかなるさ。
十六時半に奈多宮に着く。松林から見える、遠浅のオレンジ色の空のグラデーションがきれいだ。遊歩道の石のベンチで貝殻を見つける。防風林の内側に入って立ち止まる。防衛庁共済組合の海の家? しばらく眺めた。
夕焼けは深くなる。その日のライドは縛りプレイ。後戻りをしない。それでコースが決まった。奈多宮まで来て戻らないとなると峠を登って帰るより他はない。
後輪の空気が甘いので牡蠣焼き屋の看板にサイクリングのマークを見て立ち寄る。空気入れを借りる。しまむらに寄る。掛けふとんをみる。税込み二千九百七十円。欲しい。昼、綿が出ていた。三百円のモコモコスリッパを買って店を出る。
腹が鳴って事態の深刻さを知る。昼に納豆ごはんを食べただけだった。着ているのはジャージにパーカーだけ。空はみるみると暗くなる。気温が冷える。寒い。
橋を渡って街中のスーパーに行く。冬の夜空に流れる雲の隙間にまん丸の月が見え隠れする。心の余裕があれば、風流だろうが、それどころではない。何かを食べないと体温がどんどん低下する。
財布をのぞくと五百円ない。半額の弁当を買うが食べる所に困る。屋上駐車場につながる階段に緑の網が下がる。抜き足で侵入して踊り場の階段で急いで食べる。バケツや缶があって中休みの喫煙の場かもしれない。力が湧く。
峠の登り口で逡巡する。が、ペダルを踏み込む。この峠は夏に脚をつくるような峠だ。やっぱキツい。途中で降りる。ここ、頑張る所じゃないし。家に辿り着けばいいのだ。
京都時代、ママチャリで実家の群馬を往復した。こんな峠、箱根や金谷峠に比べたら、屁だ。到着すればいい。学んだのだ。走りつづけてりゃあ目的地には必ず、着く。
(799文字)