俺を女断ちさせ、文芸に専念させた、亀十の女。 / 20250202sun(400字)
朝、目覚めると雨。四百字日記を再開する。
語彙の三語と短歌も再び。手書きは省略。
読書の感想。《タタール人の砂漠》ブッツァーティ作(脇功訳)はスマッシュヒット。想像力が掻き立てられる。フランツ・カフカの影響がモロに感じる、システムに対するあの雰囲気。《塩の街》有川浩はダメだった。こういうのがウケるんだろうな。J.Gバラード短編集の《戦争熱》は現代版ガルシア=マルケスっぽい描写でラストのセンス・オブ・ワンダーは秀逸。
短歌:
これでいい?
手尺も、フェラも
やっつけで
おめこの脇に
紙の塊
解説:マッチングアプリで知った祖父が曹洞宗の大僧正だったという55歳の女。デートは雷門の前の《どらやき亀十》で待ち合わせ。アパレルで足がめっぽう強い。浅草寺から千束四丁目(ソープ街)を巡り、合羽橋道具街でフライパンと鍋の木蓋を買った。上野公園でパンダの見物。帰りは両手に紙袋を下げる。セックスも慾の塊の女だった。
《語彙の三語三文日課:タイピング帖》
【タタール人・たたーるじん】
⑴ヴォルガ・タタール人(ヴォルガ・タタールじん、タタール語: Идел-Урал татарлары)はロシアのヴォルガ川中流域(イデル=ウラル地方)に居住するテュルク系民族。ロシア連邦内にタタールスタン共和国を形成している。シベリアから東ヨーロッパにかけて分布するタタールと総称されるテュルク系諸民族の中で最大のグループであり、しばしば単に「タタール人」ともいう。タタールスタンの首都カザンに居住し、歴史的にカザン・ハン国を建てたグループを特にカザン・タタール人(Казан татарлары)ともいう
⑵「韃靼人とタタール人は同じですか? 」
「だから、すぐいつも人に訊ねる癖、それやめなさい! 」
⑶「タルタルソースはタタール人が作ったんですか? 」
「だからね、アンタ…… 」
【辺境・へんきょう】
⑴「辺境って、どっちですか? 」
「あっちです」
⑵「せんせい! 《辺鏡》これってどう読むの? 」
「《へつかがみ》〘 名詞 〙 ( 「つ」は「の」の意の古い格助詞 ) 古代、航海の安全を祈るための鏡。奥鏡(おきつかがみ)と対になっている。[初出の実例]「故、其の天之日矛の持ち渡り来(こ)し物は、〈略〉又奥津鏡、辺津(へつ)鏡、并せて八種なり」(出典:古事記(712)中)」
「せんせい! 眠くなってきました! 」
「知識とはそういうものです」
⑶「おだ、いまから辺境さいぐんべ! 」
「おめえん、頭ん中が、もうすっかり辺境だべ! 」
【堡塁・ほうるい】
⑴「中尉! 見えてきました。あれが砦の前衛堡塁であります。その北の向こうの砂漠が…… 」
「わかっておる。あそこの崖が、これからの私の着任地だ」
「中尉! あそこには崖などありません! 濃い霧が張り出しているだけです」
「おまえにはそう見えるのか」
(蒼井の創作)
⑵「あの草地になった山が見えるかい? そう。あれだよ。てっぺんに建物みたいなのが見えるだろう? 」と彼は言った、「あそこはもう砦の一部さ、前衛堡塁だよ。いま思い出したけど、二年前、狩りに行く途中に、叔父と通りかかったことがあるんだ」
(《タタール人の砂漠》原文・P10)
⑶この堡塁、立ち入るべからず。