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800字日記/20221111fri/125「引越しの憂鬱」

目覚める。曇りだ。胸が汗ばんでいる。昨晩は暖かかった。布団もふかふかだ。携帯に三つほど着信があった。無視。昨晩、賃貸サイトを漁ったな。

ネコがさわぐ。パソコンを開くと不動産屋からのメールが多数。音楽(UKのペンフレのプレイリスト)をかける。ピンポンが鳴る。玄関に出る。だれもいない。掃除で止まった曲をかけ直す。またピンポン。玄関に出る。だれもいない。ピンポンはプレイリストの曲だった。

舞台、日本海、雨、雪、波、偽装工作船、海保巡視船、職質、襲撃、制圧、裏切り、人質、処刑、ゴムボート、入江、崖、波濤、投光器、特殊部隊、ヘリ、巨大地震の予兆、海、海鳥、山、樹々、虫、動物が騒ぐ、親不知、山岳ショップ、廃墟、コンビニ、強盗、糸魚川、山岳行軍、雪山、白馬岳、雪崩、安曇野、松本、諏訪湖、塩尻、甲府、山、この先を書くために現地に行きたい。

引越し前にできること。レジュメ掘り出し、人称、視点、仮プロット立て。こっちで書き進めれば内容が思わぬ方向に動きそうだ。


不動産からのメールを一個だけ開く。家賃は一.五万、初期費用は十七万。ゴミ箱に。先月のサカイの出張見積もりでは相乗りで六万だという。荷物はないが九州から東京(新潟か長野か)まで。安すぎないか。にわかに信じがたい。

壁のレジュメを見る。いま思えば要らぬメモばかりが貼られている。一枚のメモを剥がす。Googleマップで検索。じぇ。こんなところに非常階段が! 使えるかも。明日からはこれで書こう。しかしここまでGoogleマップの精度が高いと現地に行って取材をする意味があるのかと思う。師匠だった人のモットーは「実際に現地に行って自分の足で砂利を踏む、その感触、発見が作品になる。取材に行くべし」

天窓からすだれを下ろして解体する。

沖での原爆の爆破シーンを描かねば。視点をどうするか。それと上陸するとこっちで書くことがなくなる。次の作品は、引っ越さぬテーマで五十枚にしよう。切実に思う。

(799文字)

次の部屋も、白い壁があるといいな…

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