「弱くても勝てます」1話と2話の間に原作を読んだらドラマがまるで違って見えた話
2話、面白かったですねーー!!
青志先生も部員たちもヘンテコでいいよいいよーー!!
ってノリノリで書いてますけど、正直1話を見た後はモヤっとしていました。引っかかるところがちょこちょこあり、これはドラマがまずいのか私の見方が悪いのかとモニョってしまったので、仕方なく原作を読み始めたら、
これがまあ予想を裏切る面白さで、視界が( ᐛ)パァと明るくなったよ!
私の見方が悪かった!悪かったんだよ!あースッキリ!!
という訳で、なんでモニョってたのかと、それがどう間違ってたのかって話です。
「弱くても勝てます」の原作は、小説ではなくノンフィクションのルポ。開成高校野球部のちょっと変わったセオリーを実践する監督と部員たちの記録です。ドラマはそのエッセンスを取り入れてオリジナルなものにしているといった感じ。
私が1話を見て気になっていたのは、ざっくり以下の4点。
1)二宮さんのくせに大仰な芝居が入る
2)そもそもなぜ二宮さんがこの役なの
3)生徒たちが賢そうに見えない
4)野球の下手さにリアリティがない
ってこれドラマの大部分が気に入ってないんじゃという感じがしますけれども。(書き出すまでは自分でも気づいてなかったのですよ。書き出して整理するの大事ですね。)
で、ここからはちょっとネタバレになります。項目ごとにいきまーす。
1)二宮さんのくせに大仰な芝居が入る
二宮さんと言えばリアルで暗くて細かい芝居。なのに、今回はときおり大げさに声をあげてみたり、いかにもコミカルですよ、といった芝居をしている。明晰でややニヒルで野球での苦い思い出も抱えている人物設定に見えるのに、なぜ??
と思ったら、二宮さん演じる青志先生のモデルとなった青木監督は、明晰ではあるけどものすごく熱くて、しかも一見とんでもないセオリーを持ち出す人だった。試合中にピッチャーにかける言葉が「抑えようなんて思うな!」「甘い球を投げろ!」などなど、という風に。それが部員たちのプレイとあいまって、本人たちはいたって真剣なのにコミカルに見えるのです。青木監督がそのままドラマの青志先生になるわけではないだろうけど、2話ではまだ出てきていないその熱いキャラが、3話以降でいよいよ爆発する伏線として、あの芝居はあるのだろうと思いました。違うかもしれないけど。
2)そもそもなぜ二宮さんがこの役なの
土9でジャニーズしかも二宮さんと来れば、役もかなり厳選されたはず。なのに、そのマッチングの理由がいまいち見えてこないなー、スネたキャラだから二宮さんなのかなーなんて思っていたけど、全然違った。モデルになった青木監督はとにかく熱く部員によく檄(げき)を飛ばすのだけれど、それは単なる罵声ではなく、部員の意図を汲み取り的確な言葉での解釈を投げかけることで自覚を促していて、簡単に言うと愛のある「ツッコミ」なのです。
そう、ツッコミなの!!だからニノなの!!
監督が弱い部員たちでどう勝つかを考える行為は、ツッコミの人がボケ役の人をどう活かそうか考えているのに似て見える。二宮さんとシンクロする思いがあるんじゃないのかな。
試合中は、とにかく監督が檄を飛ばし続ける。その「ツッコミ」のコントロールと痛快さでドラマを引っ張っていく場面がおそらくこれから出てくると思うんだけど、そこで二宮さんが日頃培ってきたツッコミ力(それは包容力でもあると思うのよ)をどう芝居に活かしてくるのか、楽しみ過ぎます。
3)部員たちが賢そうに見えない
開成高校がモデルなのに、全然賢そうに見えない!むしろバカっぽい!と思っていたのですが、これはほぼほぼ原作の通りだった。開成のみなさんはあまりガツガツしてないんですね。そして思考は独特なところがあっても、おしなべて素直。並外れた天才集団だとそうなるのかー。世代の差もありそうだな。
はじめに「開成高校の“弱くても勝てる”野球のセオリー」などと聞いて、頭のいい子たちがありとあらゆるデータを元に細かく分析して必勝パターンを構築していくのかななんて期待してたら、全然違った。青木監督の「本来の野球の楽しみ(バットを大きく振って遠くに飛ばす)に立ち返る」セオリーを部員が実践していくスタイルで、細かい勝ちパターンなどは用意されず、真ん中にどーーーんとした原則があるだけ。それが「開成野球」だった。
で、監督が「ツッコミ」だから、部員は「ボケ」なんだよね。
というか、部員がボケボケだから監督がツッコまざるを得ないというか。部員たちが色んなタイプのボケをかます(本人たちはいたって真面目)のに、いちいち監督がイライラしたり気持ちを落ち着けたりしながらツッコミを入れていくのが最高に面白いのでした。
4)野球の下手さにリアリティがない
これもごめんなさい。原作どおりでした。賢い子達が野球をやるとなったら頭でっかちなりにフォーム研究ぐらいできてるでしょうよと思っていたんだけど(ソースはそこそこ勉強が出来て運痴でソフトボール部だった私)、あのボロボロで捕球姿勢という概念すらなさそうなのが、リアルな姿だった。信じがたいけど本気ボケだった。
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まぁそんなわけで、ドラマをいまいち面白く見られていなかったのは、私の頭がカチカチになっていたからってだけでした。それがわかってから見た2話は、すべてが今後の快進撃に向かっているのが見てとれてワクワクした。弱くても勝てる策を知った今でも「それでいけちゃうんだ……」と半信半疑だけど、実際に開成は勝てていて、そこには野球そのものへの夢がある。とても( ᐛ)パァとした晴れやかな気分になれますね。
ただ、私のように事前情報をほとんど入れずに見ていると、困惑する視聴者もいるかもしれない。開成野球(ドラマでは小田原城徳高校)を理解するための補助線として、視聴者と同じ目線に立てる麻生久美子の役に、もうちょっとベタにわかりやすい台詞を言わせてもいいんじゃないかという気もします。
そしてドラマでこれから楽しみなのは、ボケとツッコミの応酬。部員たちはすでにボケボケで、風変わりなことを言っている青志先生までが「狙いボケ」役かのように見えるんだけど、実はツッコミでぐいぐい引っ張っていく。そのスリリングな漫才のような展開が、「弱くても」と「勝てます」の間にあるなんて、面白いに決まってる。勝つ瞬間は見てる方も痛快だろうなぁ。しかもそれがリアルで起こってることだなんて。ねぇ。
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