親が子供から自立するタイミング
中学生だった息子を一人で海外に放り出す母親である私に、
世間は特殊なものを見るかのような視線を浴びせてくる。
『早すぎるのでは?』
大半の人がそんな考えをお持ちのようである。
普通の子供を授かって普通に子育てができた人の意見
とにかく手におえない多動児を育ててきた私には、世間の意見などはそんな風に捉えてしまう。
肉体も精神もボロボロの子育てを経験してきた人には、私の思考が少なからずとも理解出来るかもしれない。
行動の激しさが手におえないだけでなく、我が家の多動児は聞かん坊という困った習性も強い。
親の言うことを聞いてしまったら死んでしまう病
おそらくそんな病でも抱えているのだろう。
親の言うことは聞きたくないという強い意志を持つ多動児との生活は並大抵のものではなかった。
しつけ全般はおおかた出来ていないだろう。
親の顔が見たい
世間様はそんな印象を最初に持つのかもしれない野生児は、
不思議なことに親ではない、よその大人の言うことはわりと耳を傾けるのだ。
それに気づいてからは、とにかく出来る限りたくさんの人との関わりを仕組んできた。
そこで学びを築き、何とか人間の様に成長してくれと願うしかなかったという流れ。
それが私の精一杯だった。
そんな不器用な私には、自分の限界が早期に見えていた。
私の側にいたらこの子はダメになる
なんとか限界が訪れるまでは精一杯に育てよう。
全てを注ごう。
だけどある程度の時期になったら誰かに委ねる。
息子が幼い頃に手放す目安を既に決めていたのだ。
この息子を人間にするにはその方法しかない。
ちょうど私の勝手な目安時期が訪れた頃、不思議と息子本人にも変化が見られた。
自立の時期が自然と訪れることになる。
海外へと視野を向ける真っすぐとした意思を見せてくれた。
母親が早期から手放す想定で接してきたのが影響したのか?
真相はわからない。
この聞かん坊が人間になる学びを得るには今しかない。
そんな確信が不思議と沸き上がった。
その確信が正しかったのかどうかは何年後にわかるのだろう。