【映画ネタバレ有】ダンスウィズミーとアナと雪の女王
この記事は映画「ダンスウィズミー」と「アナと雪の女王」のネタバレを含みます。
あらすじ
静香は子供の頃からミュージカルが大の苦手。しかし、とあるきっかけで音楽が聞こえるとミュージカルスターのように歌い踊り出すカラダになってしまう!スマホの音や日常に溢れる音楽に反応し所かまわず歌い踊りだすせいで、順風満帆な人生がハチャメチャに。恋も仕事も失った静香は、原因を探すため日本中を奔走する!
監督は「スウィングガールズ」や「ハッピーフライト」の矢口史靖監督。僕は「ウォーターボーイズ」しか見たことありませんし、ミュージカル映画は苦手な方ですが、非常に楽しめました。
全体のストーリーや描写
歌と踊りで表現することがメインの一つであり、口先だけの言葉より行動や表情を意識してるシーンがいくつもあった。
ミュージカル大嫌いと言いながら本当は上手くやりたい姪っ子と、昔は歌って踊るのが好きだったのに失敗を機にトラウマになってしまった主人公。後半で本当にやりたくないことに対して催眠はかけられない、とあるように本当はずっとやりたいことだったんだよね。
他にも主人公はイケメンエリートリーマンに対して同僚には「何をすればカッコいいか分かってやってる」とか言いながらシュレッダーのゴミで道塞いじゃってるとこ見られて落ち込んだり、チームに誘われて喜んだり。家族には上手くやってる大丈夫と言いながら相当仕事に対する閉塞感を抱いていたのがオフィスのダンスシーンでよくわかる。その象徴だったシュレッダーのゴミをぶちまけるんだよね。凄く見ていてスッとした。
やしろ優扮するフリーターが虚勢張ってるけどイケメンにすぐ靡いて騙されたり、暗っい顔して歌ってたシンガーがもう別れてる元彼氏の話したりとか。日本映画のミュージカルって前提で良いところ出しまくれたなって感じ。そりゃ海外の絢爛豪華なミュージカルには歌と踊りじゃ敵わないのかもしれないけど、そういった技術はとても良かったし少なくとも僕には刺さった。
ざっと他の人のレビューも見てみたけど、ストーリーの整合性がないところに評価を下げてる人が結構いたかな。こういうはちゃめちゃコメディってどこか突き抜ける必要があって、そこに突っ込みを入れまくるのは無粋な気がする。結局のところそこを気にならないくらい面白ければ良くて、面白くなかったら駄目なんだと思う。ちょっと身も蓋もないかもだけど。
アナと雪の女王との類似点
ダンスウィズミーではエリートイケメンにチームに誘われてラブロマンスを匂わせるも最終的に断って自分の道を行くことになる。女友達の誘いを優先する訳ですが、一連の人生観みたいなものがアナ雪と似ているなと思った。
アナも憧れの王子様とのロマンスに惹かれるも、悪いやつであることに気づき、エルサと力を合わせて国を守るために動く。まぁダンスウィズミーの王子様役はいけ好かないだけで特に何も悪いことはしてないけど。
それまでの生活が、良い地位、ポジションではあるものの閉塞感や息苦しさを感じているような所に王子様が現れて一気にパッと開けたような気分になる所も同じ。
アナ雪では山男のクリストフ、ダンスウィズミーではムロツヨシ扮する探偵が助けてくれるも、あくまで彼らではなく、主人公が道を切り開いていくんですよね。
ミュージカル調であることもあり、かなり意識させられた。女性の力強さの表現が現代的だなといった感想。もう女性の社会進出は前提で、いわゆる勝ち組が本当に幸せなのかってとこに来てる。
それとタイトルが「ダンスウィズミー」なんだよね。不特定多数に対する「私と踊って」なんだよね。愛する誰かに対するシャルウィダンス、踊りませんか?じゃないんだよなぁ。
雑感
主人公静香役の三吉彩花さんが凄くキャラクターとマッチしていて良かった。オーディションで決めたらしいが、バッチリだった。手足が長くてミュージカルによく映えるし、あの強気で気怠げで、マジで居そうなキャリアウーマン感。催眠術師役の宝田明さんもめっっちゃ胡散臭くてでもチャーミングで良かった。他のキャスティングも光ってた。
旅としての良さも盛り込まれていたように思う。歌いながら各地を転々とする旅。(北海道に車で行くときあんな感じで船に分けられて乗っていくんだ…と感心して見ていた)
前述したけどオフィスのダンスシーンがとても良い。曲も好きだ。これに加えてストーリー全体の旅を終えて会社に間に合ったときのエレベーターのシーン。死ぬほど画一的でつまんなくて暗い箱の中で唯一主人公だけ少し明るい服を着てて、一人だけエレベーターを降りずに外へ旅立っていく。ここ象徴的でゾクっとした。
ラストの学芸会のエンディングも良い着地だね。姪っ子に引っ掛けて過去の自分を舞台に引っ張り出す。大団円の終幕でハッピーな気分で映画館を出れた。スウィングガールズとかも見てみようかなと思いました。
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