「現場」SPとか
ごぶさたしております。QKSではからたばあおいと名乗っています。
久しぶりの書き物となる今回ですが、QKSドリームチャレンジで採用いただいた「現場」問題セットについて、作問時の意図・思考や投稿時の問題文などを記していきたいと思います。
最初に謝っておきますが、問題にひねくれている様子が見え隠れしてすみませんでした(正解者0人を2問出す、ホンダの問題に2輪も4輪も出さない、現場猫ではなく仕事猫を出すなど)。
でもまあ、作問時…ってったって1年以上前ですが、思考みたいなものは一応あったので、文章にしていきたいと思います。
何かの参考になれば幸いです。
6月22日ドリチャレ「現場」SP
出したかった問題と、ドリチャレセット化に必要な要素
1年以上前のことなので記憶に不確かなところはあるのですが、当時入念に問題文を推敲したりギミックを準備したりして作り込むことが難しく、「ジャンルを寄せた」セットでドリチャレに応募しようとしていました。
こういうときに必要なのはセットの核となる問題で、出したい問題があると、それを中心に方向性が似た問題の数を揃えることができます。
実は今回一番出したかった問題はこれでした。
マイナースポーツの大会名を問うという難問も難問なのですが、各種メディアでそれなりの頻度で触れられていることもあり、紹介したいという思いが勝って出題してしまいました。最悪正解者0人も覚悟の出題です。
Wikipediaの該当項目のページだけ見ても大会の特異性が伝わる記事内容だとは思うのですが、メディアの記事やNHKの特集番組などに触れると思い入れが増すと思うので是非試してもらえるとうれしいです。
さて、今回は、「現場」というくくりでもいくつか出したいと思える問題があったので、トランスジャパンアルプスレースの参加者に消防隊員が結構いるとか、このレース大会そのものが一般的なトレイルランニング大会と一線を画し登山のような現場対応力を要求しているとか、そういう言い訳を用意して「現場系クイズ」ということでまとめることにしました。
(使用時には「現場」SPと命名されています)
「現場」の問題としてはこのあたりの問題を最初に作っていました。
言葉として面白さを感じており、呼び方を紹介したかったものです。
Q1:尖ったものの先端を剣先などと言うので「剣スコップ」自体に納得はするのですが、スコップ自体が武器なのと、関東関西スコップシャベル論争の中「剣シャベル」とは言わないよね、みたいなことを思いました。
Q2:初めてこの単語を見たとき多くの人が「ほうめん」と読んだと思います。業界にもよると思いますが、テクニカルタームが湯桶読みでなかなか珍しいと思いました。投稿時は「土木工学」などと思ってサイエンスの問題にしましたがしっかり修正されました。
Q3:目録みたいな意味があるから、問題文中の用途3種類に使われるのはいいですが、意味するところが離れすぎていて、列挙すると面白いと思いました。
これらのような、タームそのものに出題価値がわかりやすく存在する問題はたいへん出題しやすいですし、できればそういう問題でセットを埋めたいものです。
実際にはなかなかそううまくはいかず、これを基に残りの問題を埋めていくことになります。当時の思考を言語化すると以下のような感じでした。
問題群のテーマを決めたので、「出すべき」といえる題材がある。それらは出題する。特に、仕事系の問題で構成してしまうと少なくなりがちなジャンルを補えそうなのはよいと思われた。
ドリチャレはプレミアムプレーでも2誤答が限度。回答者ゼロ想定の問題を1問仕込んでしまったので、概念や言葉そのものがあからさまに難しい問題はもう入れられない。各プレイヤーの脳内辞書にあるだろう単語をなんとか引っ張り出していく方向の出題をする。
出すべき問題
例えば「山」で10問作れ、と言われたら、結構な人が1問目を「なぜ山」「日本で一番」「世界で一番」のどれかにすると思うんですよ。そういう問題群です。
(1)当時伊沢ロイドに有名な台詞を言わせる遊びをノクスポ新宿でやらせてもらっていたので(表現に誇張があります)、「事件は会議室で~」を問題文中に入れ込む形で出題すると、出題者名から想像される予想に応えられるかなあなどと思いました。
(2)今回の問題作その1。
この問題文、結局「どうして」以降のくだり不要ですよね。
インターネットミームの現場猫を出題する形にすれば「どうして」を問題前段に持ってきてストレートな文章にできたのですが、
作問注意事項にあった著作権に配慮してくださいという一文を必要以上に意識してしまって、本質的にコラージュ画像である現場猫は出題が困難と感じ「仕事猫」を回答にしてしまいイジワル度が増しました。
仕事猫を回答にする場合、「現場猫」が回答ではないことをわかりやすくするために、冒頭で「現場猫」という言葉を使う必要があります。
反省点としては、仕事猫を回答にするなら、権利的にいろいろややこしい現場猫と別にキャラクターを作ることによってグッズ化などをやりやすくした、という誕生の理由に触れるべきでした(※)。
(3)ドリチャレは画面上で10人の回答が同時に表示されるので、あいさつやかけ声を正解にすると画面映えするという狙いがあり、10問目としてよい題材だと思いました。問題そのものはビジネス問題なのであまり変なことはしていません。(※)
(※)がついているものは以下も参照いただけるとよいかも
残りの問題について
ここまで7問、あと3問用意する必要があります。問題バランスの観点からできれば一次産業に関する問題を出したかったのと、あまり難しい問題はもう出せないことを念頭に残りの問題を用意していきます。
ただし、一次産業に関する知見はほとんどありません。
そんな状態で用意したのが以下の3問です。
(1)漁業に関する問いを1問するなら、漁法について問うと漁業者に有利な問題になるだろうというイメージがありました。それも地理教科やテレビで紹介されるような特色あるものでないならばなおさらです。
実は限定をきちんとかけられているか不安
(2)問題難易度のバランスから易問寄りの問題を用意する必要がありました。寅壱は紹介したかったので寅壱で振って鳶を回答にする問題がちょうどフィットした感じです。
(3)今回の問題作その2。
確か用意した回答一文字目が[ホ][ヤ][イ][ク]だったと思います。ホンダの他は三大農機メーカーの頭文字を持ってきており、読み切れば三大農機メーカーは消せる仕組みにしたのですが、①ヤマハの可能性が残る②そもそも三大農機の社史なんて知らない …ごもっともです。
実はヤマハは小型農機を作っていないのですが(除雪機は作っている)、まあホンダが小型農機を作っているかどうかも分からないですよね。
出題側としては、小型耕うん機や除雪機のシェアトップがホンダというのはかなり面白い事実だと思って出題している、ということは理解いただけると思います。その他のヒントの出し方に不親切さがあったとは思うのですが、いくら大くくりが「現場」だからといって後フリに「出前や郵便配達の代名詞ともいえる原付のスーパーカブ」みたいなどストレートを出すのも考え物で…
結局単問としての完成度とセットとしての適切な難易度の両立ができなかったというところです。
これで生存者なしだったりしたらものすごく後悔したかもしれませんでしたが、幸いとうちゅうさん生存で救われました。本当に救われました。
おわりに
勘づいている方もいると思うのですが、この現場SPの作問サブテーマ…というほどではないですが、ある種の意図がありました。
クイズプレイヤーのメイン層と思われる大学生高校生やかつてそうだった人たちが系統的に勉強しなさそうな分野(=クイズの勉強としては勉強しなさそうな分野)で出題する
何問かは1対1対応の知識はなくても正解にたどり着ける、悪く言えば指運を発揮しうる出題をする
クイズ王中のクイズ王でなければ生還できないという結果で、まあ目論見としては正直よろしくなかったんですけれども、壇上剣スコップ全員正解などを見るに、指運力はある程度発揮してもらえたのかなーなどと。
次があるならもっと練り込んで応募したいのでよろしくお願いします。