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エシカルデザイン ~より良い未来のためのデザインの考え方~
こんばんは、デザインシンカーのAoiです。 みなさん、最近、こんな経験はありませんか?
・SNSの通知が鳴り止まず、仕事に集中できない。オフにしたいけど、大事な連絡を見逃す不安がある
・Webサービスに登録する度に、大量の個人情報を求められる。本当に必要な情報なのか不安だし、どう使われるかもわからない
・子どもがスマホゲームに夢中で、知らない間に高額課金をしていないか心配。でも、完全に禁止するのも難しい
・両親がスマートフォンを使いこなせず、デジタルサービスから取り残されている。もっと簡単に使えるようにならないのかな
これらの悩み、どれも現代のデジタル生活でよくある問題ですよね。でも、こんな疑問が湧いてきませんか?「もっと使う人のことを考えて、こういうサービスは作れないの?」
実は、これらの問題には共通の解決策があるんです。それが「エシカルデザイン」という考え方です。エシカルデザインとは何か、どうすれば私たちの生活をより良くできるのかを紹介します。
エシカルデザインって何?
エシカルデザインとは、製品やサービスを作る時に、使う人や社会、環境のことを考えて設計することです。単に見た目が良くて使いやすいだけじゃなく、社会全体にポジティブな影響を与えることを目指します。
具体的には、こんなことを大切にするという考え方です。
・誰もが使いやすいこと(包括性と多様性)
・個人情報を守ること(プライバシーとデータ保護)
・ユーザーに正直であること(隠し事をしない、誤解を招かない)
・環境に優しいこと(持続可能性)
なぜ今、エシカルデザインが重要なの?
スマホやパソコン、Webサービスなど、デジタル製品が私たちの生活に欠かせなくなった今、このエシカルデザインの重要性がますます高まっています。特に日本では、以下の理由からエシカルデザインが大切になっています。
高齢化社会への対応
日本は世界でも特に高齢化が進んでいる国です。高齢者も含めて、誰もが使いやすい製品が求められているんです。 例えば、文字の大きさを調整しやすくしたり、音声操作に対応したりすることが大切です。テクノロジーの急速な発展
AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ビッグデータなど、新しい技術がどんどん登場しています。これらの技術を使う時には、プライバシーの問題や、AIの判断の公平性など、倫理的な課題にも気をつける必要があります。社会的責任への意識の高まり
最近の消費者は、環境や社会に配慮した製品やサービスに興味を持っています。企業も社会的責任(CSR)として、エシカルな取り組みを重視するようになってきました。
エシカルデザインの実践方法
では、具体的にどうすればエシカルデザインができるのでしょうか?いくつかのポイントを紹介します。
包括的なユーザー調査とペルソナ作成
多様なユーザーを理解し、考慮するための方法です。例えば:
・年齢、性別、障害の有無、文化的背景など、様々な特性を持つユーザーを対象に調査を行う
・調査結果をもとに、多様なペルソナ(架空のユーザー像)を作成する
・高齢者や色覚多様性のある人、外国人なども含めて考慮する
アクセシビリティの向上
誰でも使いやすくするための工夫をします。例えば、Webアクセシビリティ「JIS X 8341-3:2016」に準拠したデザイン。
・コントラスト比の確保、色以外の情報伝達手段の提供
・音声読み上げソフトへの対応
・キーボードだけで操作できるようにする
プライバシー・バイ・デザイン
個人情報を守るための仕組みを、最初からデザインに組み込みます。例えば:
・必要最小限の個人情報だけを集める
・ユーザーが自分の情報を簡単に管理できるようにする
・強力なセキュリティ対策を実装する
ダークパターンの排除
ユーザーを騙したり、望まない行動をさせたりするような「ダークパターン」を使わない。例えば:
・わかりにくい場所に解約ボタンを置かない
・ユーザーを誤解させたり、意図的に紛らわしい表現を使わない
・サービスをやめるのを難しくしない
持続可能性への配慮
環境に優しいデザインを心がけます。例えば:
・省エネになるデザインを採用する(例:ダークモード)
・不要な通知や処理を減らす
・軽量なデザインとパフォーマンスの最適化(例:画像とメディアの最適化)
・効率的なデータ処理とキャッシュの利用
3つの課題:お金、技術、文化
エシカルデザインを進めるには、いくつかの課題があります。これらの課題をどう乗り越えるか、それが今後のカギになります。
お金との戦い
会社にとって、儲けること(ビジネス目標)は大切です。でも、エシカルデザインは時に儲けと反対の方向を向いてしまうことがあります。
例えば、個人情報をあまり集めないようにすると、マーケティングに使えるデータが減ってしまいます。 しかし、長い目で見れば、ユーザーの信頼を得ることで、もっと大きな利益につながるかもしれません。経営者の人たちに、この考えを理解してもらうのが大切です。
新しい技術との駆け引き
AI(人工知能)やVR(仮想現実)など、どんどん新しい技術が生まれています。便利な反面、新しい問題も起こりそうです。
例えば、「AIが公平な判断をするか?」「VRの中でのプライバシーはどう守るか?」これらの問題を先回りして考え、対策を立てていく必要があります。新しい技術を使うときは、「これって本当に人々の役に立つのかな?」と立ち止まって考えることが大切です。
世界中の人々への配慮
今や多くの製品やサービスが世界中で使われています。でも、国によって文化や価値観が違います。日本人には当たり前でも、外国の人には違和感があるかもしれません。 だから、日本らしさを大切にしながらも、世界中の人々に使ってもらえるデザインを目指す必要があります。これって、まるで世界中の人々と対話しながらデザインするようなものです。
まとめ
エシカルデザインの実践は、すぐには難しいかもしれません。なぜなら、「利益をあげる」等のビジネス的な目標を達成することが疎かになるからです。でも、常に倫理的な視点を持ち続け、長い目で見れば、会社の評判を良くし、ユーザーからの信頼を得ることにつながります。そして、より良い社会づくりに貢献できるじゃないかと思います。
つまり、「ユーザーの人生にポジティブな影響を与えているのか?」を常に意識すればきっと少しずつ良い方向に変えていけるじゃないかと信じています。
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