「原始神母」の「原子心母」完全再現LIVEがとてつもなく凄かった。
↑上の動画は2016年のものです(参考に)
「原子心母」は「atom heart mother」の直訳にして秀逸な日本語タイトルだと思っている。ピンクフロイドで一番好きなアルバムだ。アルバムジャケットが牛のヤツね。特にその一曲目、アルバムタイトルの「原子心母」は壮大なオーケストレーションが素晴らしい名曲だ。
ピンクフロイドでは「狂気(the darkside of the moon)」が全世界で5,000万部以上売れたし、15年間もチャートインし続けたお化けアルバムで日本でも一番人気が高いみたいだけど、僕は原子心母と「the wall」が双璧だと思っている。
「原始神母(Pink Floyd Trips)」という名前のピンクフロイドトリビュートバンドがフジロックで人気を博したことは数年前に聞いていたけど、「所詮はトリビュートバンドでしょ」と取り合っていなかった。ところが。
ある時、ライブ映像をたまたま観て衝撃を受けた。「原始神母」が演奏する「原子心母」は、演奏はもちろんコーラス隊もレーザー光線を駆使した照明も本家(生で観たことないけど)を上回るのではないかと思う圧巻のステージだった。
2019年の秋、神戸チキンジョージで初めて生でLIVEを体感した。一曲目がいきなり「原子心母」だった。元レッドウォリアーズのシャケ(木暮武彦=杉咲花さんの父ね)の叙情的なギター、ベースの扇田裕太郎のトランペット、デビッドボウイを彷彿とさせるボーカルのケネスアンドリュー他、スーパープレイヤー揃いの男性陣に絡むコーラスとダンスの女性ふたりも素晴らしく、縦横無尽に煌き輝くレーザー照明も相まって終始圧倒された。そしてシャケから「来年は原子心母50周年で完全再現LIVEをやる」との宣言を聞いてココロして待っていた。
本来なら2020年秋にアルバム「原子心母」リリース50周年を記念した「完全再現LIVE」が行われるはずだったがコロナ禍で断念。時期は半年ずれ込んだが、先週土曜日(2021.4.3)に遂に本家も数えるほどしか演奏していないというフルバージョンでの公演が行われた。残念ながら全国6箇所の予定はクラブチッタ川崎のみとなり、対人支援の職務上の制約もあり、遠征はせず配信で視聴したが三部構成、休憩を挟んで3時間45分のLIVEは予想に違わず壮大なものだった。
第二部が「原子心母」アルバム再現で、11名のブラス隊、9名のホーンセクション、チェロとコンダクターのゲストミュージシャンを迎えた総勢約30名が奏でるタイトルナンバー(約30分)はそれはもう荘厳なオーケストレーションとライティングの渦に巻き込まれたようなもので、配信でこれだけ感動するんだから生で観たら一体どうなるんだろうというくらい圧倒された。
シャケ曰く「冥界の交響曲」まさにそんな感じだった。元々一回限りの公演で終わるつもりで始めたという「原始心母」、シャケは1960年生まれで僕より半年ほど年上の61歳。まだまだ衰えちゃいないテクニックとエネルギーで僕らをtripさせてくれる彼らのステージをまた生で見せて欲しい。